解せないバイク駐車取り締まり
 2006年4月より、民間駐車監視員や短時間での駐車禁止取り締まりが始まった。その結果、これまで路上駐車とそれによって引き起こされていた渋滞が一夜にして雲散霧消して驚いた。警視庁の調査によると、都内の主要10路線の渋滞の長さは、法施行後14日間で前年比約35%も短くなったという。
環境負担の少ないバイクが取り締まられる
 と、ここまでは文句がない。ライダーにとっても、事故を誘発する違法駐車車両が一掃されるのは歓迎すべきことだ。ところが、その一方で、バイクの駐車取り締まりを巡ってトラブルも発生している。バイクを停めようとしたのを咎められた男が、駐車監視員に暴行して逮捕される事件まで起こっている。暴行は論外だが、ライダーにしてみれば理不尽な取り締まりが行われているのも事実だ。
 例えば港区のある広い歩道に停められた数台のスクーターには、すべて駐車違反のステッカーが貼られていた。歩道の幅員は3メートルくらいあるから、バイクが即通行の妨げになるわけではない。それでも機械的に切符は切られていく。車よりも環境負担が遥かに少なく、誰の邪魔にもならず、駐車場が用意されていないバイクの駐車を取り締まって、一体誰が得をするのか?
 答えは簡単で、警察とそのOBが天下りしているファミリー企業。取り締まりの実績が上がるほど儲かる。画一的で理不尽なバイク駐車取り締まりは、機動性が高くてエコなバイクの代わりに、混雑した電車に乗るか、倍もガソリンを消費する車を使うことを奨励しているようなものだ。
 もちろん、バイクだろうと駐車違反は車と同じであり、迷惑なバイクもたくさんあると言われるだろう。僕もバイクだろうと迷惑な駐車は許されないと思う。ただ、その前に二輪車用の駐車場が整備されないといけない。特に公共のそれだ。僕が住民票などを取りに行く市役所の支所には、車と自転車の駐車スペースはあるが、バイク用はない。ほかの地域でも同じようなものだろう。
バイク用駐車場が無い
 最近、渋谷の道玄坂に大きな駐車場ができた。バイク用のスペースも80台以上用意されているそうだ。しかし、こうした動きはごく一部。この駐車場にしても、「パーク王」が運営しているからバイク用スペースが設けられたが、普通はこうはいかない。パーク王の株主はアイケイコーポレーションといって、二輪車買い取りの「バイク王」を運営する会社だ。
 以前からバイクの路上駐車が多かった秋葉原では、UDXビルやヨドバシカメラなどの駐車場にバイクを停められる。ただし、ヨドバシカメラの二輪駐車料金は車と同じ。全く解せない。数年前まではバイクで秋葉原に出かけることはしばしばあったが、今後バイクでは全く行く気がしない。
 バイクの駐車禁止取り締まりについてさらっと書くつもりが長くなってしまった。道路交通法の改正には良い面がたくさんある。僕自身、渋滞解消の恩恵を受けているし、自宅のカートポート前にいつも違法駐車してた車両は一発で切符を切られ、それ以来姿を見なくなった。
 だが、やはりバイクの駐車禁止取り締まりは公共の利益を勘案しつつ柔軟性を持って運用されるべきであり、バイク用駐車場を早急に整備しなければならない。同時に、繁華街において車の1/4程度の駐車料金であれば、ライダーはコスト負担する覚悟も必要だ。

2006年9月21日追記:
JR秋葉原駅前にバイク用も含む駐車場が新設された(右写真)。駐車するとバーが上がってくる仕組みのようだ。これは公社が運営する駐車場。同様のバイク用公共駐車場が増えるのは大歓迎だ。
TOKYO PUBLICのバイク用駐車場

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