キャッシュフローって何?
ちょっとおしゃべり
2001年6月29日
キャッシュフローって何?
最近、「キャッシュフロー経営」だとか、「キャシュッベース」だとか新聞の経済欄を見るとやたら「キャッシュフロー」と言う言葉を目にします。「キャッシュ=現金」、「フロー=流れ」なので、キャッシュフローとは「現金の流れ」をさすことはなんとなくイメージできます。しかしわざわざ「キャッシュフロー経営」などといわずとも会社とはもともと「お金(キャッシュ)」を稼ぐことを目的に設立される財団法人です(かつて商法が制定されるまで民法上の財団法人の一部でした)。それがなぜいまさら、これをことさらに取り出すようになったのかここで考えてみます。
これを考える上で会社の儲けを計算する方法を簡単に説明します。
会社の儲けを計算した紙を「損益計算書」といいます。これと「貸借対照表」は対をなしその他の付属明細書を合わせて「決算書(類)」といいます。損益計算書を作成する上で基本となる考え方は「発生主義に基づく期間損益対応の原則」です。物を仕入れて売る場合、仕入れの段階でお金は仕入先に支払われますが売上は仕入れた後にしか上がりません。さらにお金の回収はその後です。この場合の会社の儲けを計算する方法はまず会計期間中の売上を集計して売上を計上し、仕入額のうち売ったもに相当する金額を売上原価といって「売上―売上原価」を計算します。この答えは「売上総利益(損失)」といわれます。さて、たとえば、今年@100円のりんごを100個仕入れて@110円で70個を売ったとします。今年の儲けは
110×70−100×100=−3000――@
ではありません。正解は
110× 70−100×70=  +70――A
です。売ったのは70個なので売上原価も70個分となるのです。よって、今年この会社は70円儲かったと株主や債権者その他利害関係人に報告します。あとの30個分は来年売るのでそのとき売上原価と計算されます。この考え方は正しいでしょう。実際りんご1個を考えると100円で仕入れて110円で売ったのですから10円儲かっています。これを70個売ったのですから700円儲かっているはずです。Aの結果と一致しています。儲かったので金庫のお金を数えたらきっと増えているだろうと数えてみるとこの1年で減っていました。当然です。仕入先へ支払ったのは100個分、売れたのは70個なので売れ残って倉庫にある30個分の仕入れ代金と儲けの差額だけお金は減っているのです。減った金額は
100×100−110×70=2300
です。儲かっているのにお金は減っている。しかし翌年、仕入れをせずに残りの30個を売りきると儲けは
110×30−100×30=300
お金は仕入れていないので売った分が全部増えるので
110×30=3300
とそれぞれなるはずです。1年目と2年目を比べると1年目のほうが儲かっているのに2年目のほうがお金は増えている。会社の決算書ではこんなことが多数起こります。しかし、1年目と2年目の儲けの合計とお金の増減の合計は一致します。数字の割り付け方がお金ベースと儲けベースでは違うのです。
 長い目で見れば儲けベースで考えたほうが1個1個の損得を反映しているので優れています。なので、会社の決算書は儲けベースで作成するように義務付けられています。
 これは長い歴史の中で本当の儲けを計算する方法を考えた結果、儲けベース(売上に原価が対応しているので費用(原価)収益(売上)対応)を基本的な会社の成績表として用いるようになったのです。お金の増減を数えるだけではわからない会社が本当に儲けているのか損をしているのか判断できるので非常に優れた方法だといえます。
 しかし、物を買うにはお金が要ります。そのお金は儲けて手に入れるか借り入れるしかありません。売り上げて儲けるより先に仕入れが必要なのではじめは借り入れてお金を手に入れるしかありません。会社は必ず借入をしています。借りている以上返さなければなりません。返すにはお金が必要です。これは儲けて返すことになります。さて、儲かればお金が手元にあるとは限らないという話を先ほどしました。そう、借りたお金を返すためにはお金の増減も注意しなければいけないのです。また、会社がさらに大きな商売をするときも借り入れをします。このとき貸す側はどれぐらいずつ返す能力があるか考える必要があります。借り手が済できないような回収計画は借りての破産を呼んで不良債権のです。お金をいくら増やす力があるかを知りたいものです。
 さて、会社の儲けとお金の出入りを少し考えてみましたがこのうちお金の増減を計算したのがキャッシュフロー計算書と呼ばれるものです。最近まで会社が作成する義務は無かったのですが証券取引法上、2000年4月1日以降開始する会計年度から義務化されました。キャッシュフロー計算書は発生主義をやめて、期間損益対応をやめてお小遣い帳と同じように支払・受取ベースで計算した会社の成績表のことなのです。
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