春の日差しに  
   
3月の昼休み 3月の昼休み
まだ、風は冷たい そとで食事はまだ寒い
コートが無いと振るえてしまう 春物コートじゃ頼りない
   
ビルの谷間の日溜りは ビルの谷間のざわめきは
間違えなく春を告げている 前より少し楽しそう
歩道に敷いた煉瓦の分子を 握ってもらったお握りも
ひとつひとつ、輝かせている 前よりきっとおいしくなった
   
行き交う人も前よりは 毎日、握ってくれていた
ウキウキして見えている 今朝も握ってくれたのに
ベンチに座って一人いて 明日はもう、貰えない
春が来たなと呟いていた 気さくな隣のばあちゃんに
  1人でそっと礼をいう
握ってもらったお握りを  
公園の木漏れ陽に照らして ありがとう
行き交う人を眺めては 喪服が春に揺れている
春が来たなと一人で食べる  
   
  2001.2.26
   
  けんちゃんの詩集