未実現投資損益
 
 最近、新聞紙面上で「金融商品の時価評価」という言葉を目にします。これって一体なんでしょう。
 感覚的には理解できますよね。株式投資で儲かるとか損するとかそれを決算期の金額で置きかえるんですよ。そう言う意味では皆さんの感覚は正しいのですが・・・企業会計上の手続きとしてどうでしょうとなると話はややこしくなります。上場株式を保有する会社の会計処理を例にお話します。
 まず、ある会社の株を東京証券取引所を通して
1,000,000分
買いました。これが決算期の価格で新聞によると
1,300,000に
成っていた。やったぁ
 300,000
儲かった。所までは良いのですがさて、まだ株は手元にあります。この株を売らない限りこの30万円は会社に入ってきません。「仮に売っていたら儲かっただろう」の状態です。「だろう」の状態で決算書上「儲かった」と表示して良いのでしょうか。外部から見た人が「儲かってる会社だから投資しよう」と判断しますが実際に株を売ったとき「500,000」でしか売れない場合も当然ありますよね。だから株を持っていてそれで儲かったか損したかは会社の成績とは直接関係無いものなので損益計算書にはこの儲けを反映させません。
 でも時価会計をしなければ成りません。どうしよう。
 そこで会計士さんは考えました。苦肉の策です。決算書には「資本の部」というところがあります。そこの数字は普通「増資」など商法の規定に基づいて厳格な手続きを踏んだ場合と「利益がでた」時にしか動きません。会計処理的に動くと言うより結果として変化する部分です。この「資本の部」を直接動かしてしまいます。損益計算書を作成した結果動くべき数字を会計処理的に「エイヤ!」と変える事で「有価証券」の金額を変えることにしたのです。
 しかし、この「エイヤ!」がいくらあるのか分からないのは先述の会社の成績を分からなくするので「資本の部」に「未実現投資損益」という科目を設置して明確に表示することでその問題を解決しました。
2001. 1.25
けんちゃんのお喋り