けんちゃんのお喋り

2000年10月1日
 『レンタカー料金の謎!』について。

レンタカーのご利用経験はありますか?
その時、レンタル料について疑問を抱いた方…
いらっしゃいますよね。
その謎をチョットだけ、解き明かしましょう…!
(通常、単価とは1台・日当たりのレンタル料を言います。)

レンタカー業には『収益と1:1対応するような、いわゆる変動費』は、ありません。あとで例示する『台数に比例するコスト』も台数がレンタル稼動のたびに変動するわけはなく、ある程度の期間をとるとレンタル稼動台数が保有車輌台数に相関するのみです。相関しない場合のリスク(=保有・在庫リスク)は言うまでもなくレンタカー会社負担です。そこで、単価設定は次のようなプロセスをたどります。
T.『台・月当たり総コスト』を洗い出す。(過去データ等)
※)台数に比例して変化するもの
車輌償却費、自動車関連税金・保険料、車輌整備代等
U.『台・月当たりレンタル料収益』を利益率等を勘案して、T.を基に設定する。
V.目標稼働率を設定する。
点検・事故・修理、洗車・清掃、乗捨て時の回送、不返還などの貸出不能期間の影響も考慮
W.『目標単価(台・日当たり)』を以上T〜Vより算定する。
たとえば…
T.総コスト
¥200,000/台・月
U.レンタル収益
¥210,000/台・月
V.目標稼働率
70%
W.1稼動目標単価
¥10,000/台・日=¥210,000/70%/30日)
目標稼働率を上げると…
単価は下がり、お客様が増加する一方、整備不良などのクレーム・帰着遅れによるオーバーブッキング等のリスクも増加します。
逆に下げると…
言うまでもなく高すぎてお客様がいなくなります。時間的余裕からクレームは減少します。
上記の計算によって「理論値」、単価をいくらに持っていくかといういわば「着地点」が決まります。
さて、実取引において、単価はどのように決まってゆくのでしょうか。
まず前提として利用目的別にレンタルを次のように区分けします。
T.個人(レジャー)利用
:休日等に利用が集中し、季節変動等が大きい。一契約(レンタル)毎に料金を取り決める。
U.法人(ビジネス)利用
:企業の営業活動に利用するため、季節変動が少ない。休日の利用は少ない。料金はレンタル
の都度ではなく、前もって「約定料金を決め」個々のレンタルはこれに基いて行われる。
V.損保(代車)利用
:(今回は割愛)

それでは、料金決定の実取引に話を進めましょう。
『駐車場に停まっているより1円ででもレンタルしたほうが得、同じ貸すなら1円でも高い程、得』という『レンタカーの定理(勝手に命名)』が存在します。
T.個人(レジャー)利用の場合、この定理を念頭に…
レンタカー利用の依頼がお客様から入る度にレンタル車輌が需要に対して『余っていれば低めに、不足していれば高めに』予約を受け・貸渡すことで目標の数値に漸近させます。その過程で個々の契約単価が決まります。
U.法人レンタルの料金も先程の定理を、またまた念頭に…
法人(ビジネス)需要は個人(レジャー)需要に比べ、『季節変動が少なく、年間を通して均一な需要が期待できる(年間の稼働率が高くなる)ため』、個人よりも低めの単価設定になります。
「2週間」などレンタカーとしては比較的長期の場合も、『次の利用者までの(電車の乗り換え待ちのような)「空白の時間」が減る確率が高く、その分稼働率が高くなるため』、単価は低めに提示されます。マンスリー(月極)レンタルは更に低くなります。
このようにレンタカー料金はその一契約の『利用時間の長さ、季節(需要期・閑散期)、曜日、時間帯などの要素で決定され』、同一の車輌でも時間単価は大きく変化します。

いよいよ、『レンタカー料金の謎!』の核心です。
象徴的な例ですが、需要期には予約受付のタイミングによって次のようなことが起こります。
【 利用2ヶ月前 】利用日の予約は全く受け付けが無くレンタル車輌が余る可能性がある。
→低めの料金設定(弱気!)
【 利用1週間前 】利用日の予約はかなり受けており在庫の危険性はほとんどなくなっている。
→高めの料金設定(強気!)
【 利 用 日 】台風が襲来し、大量の予約キャンセルが発生し在庫の危険が極端に増加した。
→極端に低めの料金設定(超・弱気!)
当然、既に受け付けた予約の料金はお客様から指摘が無い限り変更していません。
『同じ店舗で同時に出発・帰着して同一の車輌を利用しても料金が違う現象』はこうして起こるのです。
『レンタカー料金(単価)の謎!』少しは解けましたか?


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