GEN MUTO'S HOMEPAGE > Cell_雀公式サイト > 不定期コラム | |
Cell_雀 不定期コラム 第十二弾! |
|
企業というより個人商店に近いその会社は、ビフォーアフターに出てくるような木造長屋の一角にありました。 これまた同番組で取り上げられそうな急で狭い階段を上がっていくと、六畳ほどのこじんまりしたオフィスが出現します。 そのコンパクトなオフィスに所狭しと六つも机を並べているのでほとんど空きスペースがありません。ですのでオフィスの備品たるもの全て壁掛けです(笑)。 電話からスタンド、ティッシュペーパーに至るまで、ありとあらゆるものが壁に据え付けてありました。(これがまた強烈な圧迫感をかもし出しています) 社長さんがみえ、名刺交換をしたあと「ここじゃなんだから、おもての喫茶店で…」と我々に外に出るよう促します。 営業と私は再びあの急な階段を必死になって下り、会社の向かいにある喫茶店に入りました。 チリリ〜ン♪、社長の登場です。 席に座るやいなや、お冷を持ってきたネーちゃんに、 「あ、オレ冷たい水ダメだから!ぬるいの持ってきて!」 間髪いれずにそー言います。 「どうも少し難しい人みたいだな…」 早くも私の心の中に暗雲が立ち込め始めました。 「とにかくね!ウチの商品は特殊なの!特殊!だから他に競合相手もいないの!!」 開口一番、社長さんがそう言います。 おお、それはすごいじゃないか。独自性のある商品はそれだけでかなりWEB向きです。 「とにかくね〜ほんと特別なんだから!ネット販売したらガバガバ儲かるんじゃないかな?」 いや、それはちょっと性急すぎるんじゃ…。と思いながら、 「その商品の特殊なトコロというのは具体的にどんなとこですか?」 そう質問します。 「いやね、とにかく特殊なのよ。だから…口ではうまく言えんわなあ!」 …(汗)。口でいえないのではWEBで説明のしようがありません。 「えっと…。商品のチラシとかパンフとかいったものはありますか?」 そう続けて質問すると、 「ああ、そういった類いのものは一切なし!なにしろ特殊な商品だからね。黙ってても売れるのよ!」 困りました。これでは具体的な商談に入れません。 黙り込んでしまった私を見て、社長が言います。 「ああ!そういえば前に雑誌広告を出したことがあったなあ…」 なんですと!それだけでもあれば、なんとかなりそうです! 「その雑誌、ぜひとも拝見できないでしょうか…」 「ああ…でもあれダメね。お客さんの感想しかのってないのよ。商品の説明は一切ないから」 それって怪しい商品なんじゃ…。そんなセリフが頭の中をよぎります。 弱り果てました…。今までの中でも最悪に近いケースです。 営業が、楽天の月額利用料金を社長に提示します。 「えっらい高いなあ!ウチはアイテムの数、十個くらいだから十分の一くらいにならんのか?」 なりません。さらにWEBサイトの製作料はもちろん別途見積もりです。 「ああ、でもアレだなあ…ホームページ作ると問い合わせのメールとかくるだろ…あれうっとーしいなあ!無視したらアカン?」 営業と顔を見合わせて苦笑いです。この人、本当にネットで商売する気あるのでしょうか? 「社長!そういうのは若い社員にまかせとけばええんですよ!」 間髪いれずに営業が答えます。 「若いの?ああダメダメ!あいつら俺よりバカだもん!日本語だってまともに入力できないから!」 社長の言ってることがもし本当なら、ネット通販より先にそちらを何とかするべきです(汗)。 「ま、俺ならメールくらいうてるけど…。あーでも机に一時間以上座ってると頭痛がしてくるから…やっぱダメだなー」 こちらの頭が痛くなってきました。この段階で完全にやる気無しと判断した私は、 「今、ネット販売で成功されている方は、元々そういったことが大好きな方でアフターケアやサポートをこまめにされている人ばかりですよ」 皮肉を込めてそういうと、 「ああ…。でもアレだ、なんたってウチの商品は特殊だから…」 ま・た!ソ・レ・か・よ!!(怒) この後も、アー言えばこう言う、コー言えばああ言うといった感じで、できない・やれないのオンパレードです。 疲労もピークに達した頃、ふと時計を見ると商談はすでに二時間に及んでいました。 「よーし!ネットの話、前向きに検討すっか!さっそく見積もってちょーだい!!」 マジっすか…?この人とは一緒に仕事をしたくない。モーレツにそう思いました。 客先からの帰り道、営業とボソボソ話します。 「強烈な社長ですね…」 「ウン。変人で有名なんだ…」 「どうすんですか?今日の話の内容じゃ…WEBの見積もりすら出ませんよ…」 「あんま受けたくないなあ…この仕事…」 まだまだ寒い三月の街角で二人同時に溜息をつきました。 たとえ受注金額が少なくても相手に熱い情熱が感じられれば、なんとかこの人の役に立ちたい!がんばって協力したい!という気にもなります。 しかし楽して金儲けしたいという根性がミエミエの相手に、単価以上の仕事をしてやろう!という気には、残念ながら毛ほどもなりません。 と、このとき気がついたんですが…社長の言ってた「特別な商品」。どんな商品かついに分からずじまいでした(爆)。 できれば永遠に知る必要が無いよう、祈るばかりです(笑)。 |
|
>> 次の話にすすむ |
|
|