2002年の 4月に Fantasy Flight Games から「操り人形」の英語版(Citadels)が発売されました。うまく、英語版を入手できたので、ルールなどの変更点を中心に紹介したいと思います。

　英語版「操り人形」はドイツ語版と比べて箱が大きいです。詳しくは下の写真の通りです(左：英語版、右：ドイツ語版)。

　ボックスアートは変わりませんが、かなりイメージが違います。箱に関しては、ドイツ語版のほうが機能的に優れていると思います。英語版は、同じ Fantasy Flight Games の箱と並べてみるとしっくり来るのではと思います。持ち運ぶ際は、別箱か袋に入れることになりそうです。

　中身についても写真を撮りました(左：英語版、右：ドイツ語版)。

　まず、英語版で増えているものがあります。ボーナス点マーカー(+2, +3, +4)と、キャラクターマーカーです。後者は、後で述べる追加のキャラクターが入るときに使います。

　カードについては、サイズはドイツ語版と同じです。材質は、ドイツ語版のほうがいいと思います。ちなみに英語版は、MAGIC のカードと同じようなにおいがしました。

　よくシャッフルされるキャラクターカードは、スリーブに入れたほうがいいと作者がいっていました。サイズは同じなので、小さい方の TCG のスリーブだといい感じです(写真では、両バージョンともスリーブに入っています)。

　お金ですが、英語版は紙製です。テーブルに置くとちょっと取りにくくなるかもしれません。これは、甘露飴のドイツ語版の方に軍配が上がります。

　スタートプレイヤーマーカーですが、英語版は厚紙になっています。風で倒れにくいとか、大きすぎないといった点で、英語版のほうがいいかと思います。ただ、ドイツ語版には同じ会社の「サムライ」の宣伝カードをマーカーにすることができるのですが、当然ながら英語版ではできません。

　あと、ドイツ語版に入っていたサマリーカードが英語版ではなくなりました。どちらにせよ、日本語ではないので私たちにはあまり関係しないのですが。その分キャラクターカードが増えたと思えばいいでしょう。

　ちなみに値段ですが、ドイツ語版は 2000円程度、英語版は 3200円程度です。定価も輸入形態も違うので高くなるのはしょうがないでしょう。まあ、予想の範囲内だと思います。ドイツ語版の 2000円はかなり安いと思います。

　基本ルールは、フランス語版やドイツ語版とほぼ変わりません。ちなみに、日本でプレイされているのはドイツ語版の初版のルールが元になっています。

- ひとりのプレイヤーが同じ種類の建物を 2つ以上建設できない

　これは、フランス語版(つまり原作)に収録されていたルールです。このページの FAQ にものっています。ゲームを大きく変えるようなルールではないので、採用するかどうかはおまかせします。

　従来のキャラクターの特殊能力もほんの少しだけマイナーチェンジされています。これも、急に変えるとプレイしにくいので、採用するかどうかは場の承認を得てからにしてください。

　特殊能力を説明する上で、ひとつだけ用語の定義しておきます。自分のターンに、山札からカードを 2枚引き、そのうちの 1枚を手札に加えるまたは、お金を 2 もらうのどちらかの行動をとることを、補充と呼びます。補充した後で建設をするのがターンの流れになるわけです。

- 魔法使い(3)
「カードを捨てて引き直す」能力を選んだとき、もとのカードは山札の一番下に入れる。

　これは、英語版から入ったルールです。ゲーム上の影響は少ないので、オプション程度にとらえればいいと思います。

- 国王(4)
国王が暗殺された場合でも、ラウンドの最後にキャラクターカードを公開し、次のスタートプレイヤーになる。

　これは、ここで紹介したバリアントルールが正式ルールになったものです。スタートプレイヤーを意図的に固定するのを防ぐ働きがあります。このルールを採用するかどうかはメンバー次第ですね。

- 商人(6)
補充後に、追加の収入 1 を得る。

　これは、タイミングの問題です。もとのルールでは「ターン開始時」だったはずです。ゲーム上はほとんど影響がありません。

- 建築家(7)
補充後に、カードを 2枚引く。

　こちらもタイミングの問題ですが、勝利条件に大きく関わる部分なので、ゲーム上の影響は大きいです。どちらのルールを採用するかはよく検討してください。

　特殊な紫色の建物も、ルールの変更や新カードの追加があります。

- 幽霊都市
最後のラウンドに建てた場合は効果を発揮しない。

　これは、フランス語版のルールと同じです。ただでさえ、幽霊都市は使いにくい(安いのですぐに壊されてしまう)ので、どちらでもいいような気がします。

- 天文台
カードを引くときに選ばれなかった 2枚は山札の一番下に入れる。

　カードを戻す場所の問題です。これも、ゲーム上はほとんど影響がないと思います。

- 城壁 [Great Wall] (新カード)
傭兵があなたの建物を破壊するのに必要なコストは 1 増える。

　新カードには仮の訳を当てておきます。傭兵対策のカードですが、使い勝手はそこそこいいと思います。これで、1 の建物でも安心して建てることができますから。

　使い道としては、早いうちに城壁を建設して安い建物で逃げ切るということが考えられます。建築家でのラッシュもけっこう効きそうですし。

　このセットの目玉でもある、追加キャラクターの入ったエキスパンションです。ゲームを再現されない程度に、軽くキャラクターの紹介をしようと思います(詳しい数量などはわざと省いてあります)。

- Witch [魔女] (1)

　簡単にいうと、指定したキャラクターを乗っ取る能力があります。魔女自体の能力を使うと補充までしかできませんが、指定したキャラクターがいる場合は、そのキャラクターは補充までしかできず、そのあとは、魔女がそのキャラクターの特殊能力を使って、自分のターンの続きをプレイできます。

　もちろん、指定したキャラクターがいなければ、魔女の行動は再開できません。

- Tax Collector [税収吏] (2)

　プレイヤーがこのターンに建物を建てた場合、税金としてお金を奪います。

- Wizard [魔術師] (3)

　プレイヤー 1人のカードを奪い、手札に加えるかすぐに建設するかを選べます。この建設は自分のターンの建設には含まれません。

- Emperor [皇帝] (4)

　黄色の建物にボーナスがあります。自分以外の誰かにスタートプレイヤーを指定します。指定されたプレイヤーはお金かカードを皇帝に払わなければなりません。

- Abbot [僧院長] (5)

　青の建物にボーナスがあります。最もお金を多く持っているプレイヤーから、お金をもらいます。

- Alchemist [錬金術師] (6)

　建設に使ったお金が、ただちに手元に戻ってきます。

- Navigator [航海士] (7)

　このターン建設できないかわりに、カードかお金を大量に入手することができます。

- Diplomat [外交官] (8)

　赤の建物にボーナスがあります。自分の建物と他のプレイヤーの建物を等価で交換することができます。

- Artist (芸術家) [9]

　お金を払って自分の建物の価値を高めることができます。

- Queen (女王) [9]

　女王が国王の隣に座っていれば、お金をもらうことができます。

　個人的な疑問点なのですが、キャラクターの能力は使うかどうかを選択することができるというルールがあります。たとえば、魔女の能力を使うと途中でターンが終了してしまいますが、使わないことだってできるわけです。

　このあたりは、ルール上明記されていないのですが、どうなのでしょうか？ 使わないことができるなら、魔女でとりあえず最初に行動するとか、航海士を取ってフェイントをかける(能力を使わなければ、建設ができるので)ということも可能なわけです。

　英語版の FAQ が作者のサイトで掲載されていました。必要な部分をまとめたので、参考にどうぞ。

　以上が、英語版「操り人形」の簡単な紹介でした。まだプレイはしていませんが、ゲーム的に面白いキャラクターが多いみたいです。機会があるかどうか分かりませんが、プレイしてみた感想なども載せたいですね。

　英語版の方は入手が多少難しいので、遠征に持っていくこともリクエストがあれば考えています。そのためにも、持ち運びやすい形態にまとめたいですね。