● 操り人形 - Tips ●

 「操り人形」をプレイしていていろいろと感じたことを書いていく、恒例のコーナーです。 この文章は5人プレイを前提に書いています(作者もベストは5人だといっています)。 名称の和訳は、私がゲームを入手するだいぶ前に英文ルールを読んで独自につけた物なので、 メビウスさんの訳と違う場合がございます。あらかじめご了承下さい。 それだけ早い時期から、このゲームは面白そうだと目を付けていましたわけです。

 なお、このゲームは対戦プレイヤーによってだいぶゲームの流れが異なってきます。 ここに書かれている内容は、考え方の1つだと思っていただければと思います。


1. ゲームを始める前に

 他のプレイヤーとの読みあいをするゲームでは、前後のプレイヤーが大きく関わってくるものがあります。 このゲームもそうなので、プレイ前に席順をランダムに決めておくことをおすすめします

 私のまわりで行われている席決めの方法(5人の場合)を紹介します。

● 人物カードの4〜8をよく混ぜて、各プレイヤーに1枚ずつ引いてもらう
● 4を引いたプレイヤーは動かず、最初のスタートプレイヤーになる
● そのほかのプレイヤーは番号に従って時計回りになるように場所を移動する


2. 人物について

 このゲームで重要な人物について、特徴やプレイしていて気づいたことを書いていきます。

1) 暗殺者

 暗殺者は結構人気があります。特筆すべき特徴は一番最初に行動できることと、 絶対暗殺されないこと、盗賊にお金を盗まれないことです。 お金をたくさん持っていて、建物がちゃんと建てられる場合や、 すでに7軒建物があって、8軒目も建ちそうなときにはいいカードです。

 本来の能力として他の人物を暗殺できますが、これはテクニックを要します。2番目で取って、 1番目のプレイヤーを暗殺したり、4番目で取って、3番目のプレイヤーを暗殺するのは、 1/2の確率で成功します(相手に渡ったカードをちゃんと覚えていればの話ですが)。 逆に、3番目のプレイヤーへの暗殺の成功率は最高でも1/4しかありません。

 暗殺されると、その人物のターンは回ってこないのでかなり強力ですが、 失敗すると何も起こらないか、関係のないプレイヤーが休みになってしまうという事態が起こります。 責任重大です。

 最初に動けることと暗殺以外は何もないので、 自分のカードやお金(以下、 資源という)を増やすのには不向きです。 とはいっても、暗殺成功率の関係で取らざるを得ない場合も出てくるのですが。

 最後に、スタートプレイヤーが王を暗殺し続けることについてですが、この戦法はあまりよくないでしょう。 理由は、前述したように暗殺者だけをやっていたのでは資源は増えないということと、 王以外の人物は行動できるので、他のプレイヤーにより多くの資源が渡ってしまうことです (商人も建築家も素通しするわけですから)。

 資源が豊富な場合でも、今度は魔術師や傭兵の攻撃が防げません。それだけ弱点があるのです。 まわりでこの作戦を使っているプレイヤーがいたら、 ぜひ試してみてください (ちなみに私は、ハメ技的な作戦は好きではありません)。

2) 盗賊

 暗殺者と違って、そんなに人気はありません。特徴は、2番目に行動できることと、 泥棒の対象にならないこと、能力の地味さからあまり暗殺されないことです。 自分のお金は盗まれたくないが、暗殺者がもういない場合にはいいでしょう。

 読みあいに盗賊が絡むと、いろいろと複雑になります。ほとんど役に立たないことがあるからです。 盗賊で行動させるのは嫌だけど、盗賊以外で行動されるのはもっと嫌だという具合になります。

 お金を盗む能力ですが、これはかなり使いにくいです。 これにはいくつか理由があります。 1つは入手のタイミングです。せっかく盗んだお金も自分のターンには使えないので、 次のターンに泥棒の対象になりやすいといった難点があります。

 もう1つは対象の狭さです。お金がなければ話になりませんし、1枚を盗んだところでたかがしれています。 暗殺者を対象にとれないのもかなりマイナスです。お金を持っているプレイヤーが暗殺者を取らない保証は、 どこにもないのですから(逆にお金を持っているときに暗殺者を取ると安全だともいえます)。

 このように、地味でよく最後まで流されやすい人物ではありますが、相手のお金を大量に奪ったり、 読みあいでうまくいって8軒を建てきったときの爽快感など、 いぶし銀の魅力があるといえるでしょう。

3) 魔術師

 魔術師は、そこそこ人気があります。特徴はやはり手札交換能力です。

 手札は多いけどいらないカードばかりの時(特にスタート直後)は、 いらないカードを捨ててしまいましょう(建物カードについては後述します)。 こんな悪いカードを引いたんだと誇示することも、一応できます。

 逆に手札が少ない場合は、他のプレイヤーと交換しましょう。これは、 自分のカードを建設に使った直後が効果的です。また、対象にプレイヤーを選べるのが強力です。 お金を4枚以上貯め込んで、あまり建設しないプレイヤーは、 ろくなカードを持っていないと考えることができます。 そのようなプレイヤーはあまり狙わない方がいいでしょう(もちろんそうでない可能性もありますが)。

 このようにそこそこ強力ですが、 全体的に手札が少なくなる中盤には若干使い勝手がよくありません。 相手の手札を当てにするわけですから、それなりのリスクはあります(手札がない状態よりはましになりますが)。

4) 王

 王のように追加収入のあるカードはある程度は人気があります。 特徴は次のスタートプレイヤーになれることです。

 追加収入のある金色の建物はコストが 3〜5 の高い建物しかないので、数多くは建てられませんが、 その反面壊されにくいともいえます。 お金 1 の臨時収入でもだいぶ違ってくるはずです(紫色以外の建物のコストは平均で 2.5 くらいです)。

 次のスタートプレイヤーになれるという点ですが、この能力は一長一短あります。 スタートプレイヤーは確かに好きな人物を選べますが、 暗殺者や泥棒の対象になりやすい危険な場所でもあるのです。

 次のターンに8軒目の建物が建ちそうな場合や、自分がトップでなく妨害されそうにないときは、 スタートプレイヤーになっておくと有利です。また、 誰かがスタートプレイヤーを移動したくないと思っているときに、王は暗殺されやすくなります。

 王は、スタートプレイヤーの移動という点で、 ゲームの流れを変えることでしょう。

5) 牧師

 牧師は、能力の地味さと追加収入の使いにくさから、追加収入のある人物の中では人気のないほうです。

 追加収入のある青の建物は、コストが 1〜2 の安い建物が多いので、 得点につながらず壊されやすいといった欠点があります。 また、5色集めたときのボーナスがあるせいか軒数が多くなることもそんなにありません。 収入額はたいていの場合は 1〜2 になるでしょう。

 能力は傭兵の攻撃の対象にならないだけです。 この能力は7軒目を建てる際には有効ですが、 それ以外にはちょっと使いにくいです(安い建物はいずれ壊されるので)。 また、傭兵以外の対象にはなってしまうので、防御手段としては頼りないです。

 7軒目を建てるとき以外は、単純に臨時収入のために使うのがいいでしょう。 また、能力が地味なことからノーヒントの状態では暗殺者の対象になりにくいという、 利点もあります。

6) 商人

 商人は、強力な追加収入の能力があるので人気があります。

 追加収入のある緑の建物は、まず数が他の建物の倍くらいあり、コストも 1〜5 まで幅広くそろっています。 それだけ、数多く建てることができるわけです。収入額は自動的に 1 もらえるものも含めると、 2〜4 くらいになります。建物の最大額は6ですから、自分のターンでお金を 2 もらえば、 ほとんどの建物が建つわけです。

 この人物は、高い建物カードが手札にありお金が欲しいときに取ります。 ただ、効果が強力なため(手札にある使いにくい高い建物を建てやすくするので)、 よく暗殺者の対象になります。明らかに暗殺されそうなときは取らないほうが無難です。

 自分が出遅れたときは、このカードを取るチャンスになります。特にスタートプレイヤーのときが、 チャンスです。また、商人の一番のライバル、暗殺者がいないときには安全に取ることができます。

 商人のカードは暗殺の危険性があるため、最後のプレイヤーに暗殺者とセットで回ってくることもあります。 このような場合も商人を安全に取ることができます。

 お金がたくさんあれば、どんな建物でも建てることができるのでかなり魅力的ですが、 常に暗殺される危険性があるというのを忘れないでください。

7) 建築家

 建築家も、建物に関する強力な能力を2つもっているので、 かなり人気があります。

 建物カードを2枚補充する能力は、中盤のカード不足を解消する手段になります。 普通は建物カードを2枚引くのに2ターンかかるうえに、収入を2回分見送らなければなりません。 それを一瞬のうちに行えるのですから強力です。

 そのうえ、3軒まで建設できる能力もあります。この能力は5軒以上建てていれば、 一気にゲームを終了させることも可能になります。それ以外にも、 建物の軒数での遅れを取り戻すことができます。

 商人は建物の質を上げるカードですが、 この建築家は建物の量を増やすカードだといえます。 どちらの能力も、時間を2ターン分くらい節約できるのでかなり強力です。

 欠点としては、やはり能力が強力なので暗殺者の対象になりやすいことです。 また、せっかく増やしたカードも魔術師によって相手に持って行かれる可能性もあります。

 建築家は強力な分だけ、ライバルも多くなっています。 商人以上にハイリスク・ハイリターンだといえるでしょう。

8) 傭兵

 傭兵は牧師ほどではないのですが、能力が地味なので人気はあまりありません。

 追加収入については牧師と同じです。赤の建物と青の建物のカード構成は全く同じになっています。 ただし、もう1つの能力でお金を使ってしまう分、 お金を稼ぐ目的では使いにくいでしょう。

 建物を破壊する能力ですが、これも使い方が難しいです。 基本的には5色のボーナスを崩すために、安い建物を壊すことになるのですが、 妨害のためにいくらまでお金を使えるかがポイントになるでしょう。 コストが 1 の建物は無料で壊せるので問題はないのですが、3 以上の建物は自分の動きも止まってしまうため、 壊しにくいでしょう。

 また、建物を8軒建ててしまったプレイヤーは攻撃の対象にならないというルールもあります。 傭兵は最後に行動するので、 8軒目の建設は絶対に阻止できないことを忘れないでください。 ちなみに8軒目の建築を阻止できるのは、暗殺者(ターンを回さない)、盗賊(建築費を奪う)、 魔術師(建物カードを奪う)の3つです。

 当たり前の話ですが、自分が傭兵になれば自分の建物を壊される心配はありません(ルール上はできるのですが)。 そのため、7軒目の建物を建てる際に傭兵になっておけば、安全にあと1軒の状態にすることができるわけです。 その点では、もう1枚の牧師としての働きもあるわけです(ターン順が遅いのがデメリットになります)。

 傭兵は、建物を壊すという重要な役割を持っていますがそれ以外の能力がないので、 ある意味自己犠牲のカードといえるでしょう。


3. 建物について

 このゲームのもう1つの要素である建物について、解析した内容をもとに書いていきます。

1) 使いやすい建物は?

 使いやすい建物は、コストがあまり高くなく、なおかつ壊されにくいものが挙げられます。 具体的にいうと、コストが 3〜4 のものが使いやすいでしょう。

 ただ、高い建物も、安い建物も使い道がないかというとそうではありません。 コストが 1 の建物は、ゲーム終盤に5色をそろえるのに役立ちます。 ゲーム終了条件の8軒目ならば壊される心配はないからです。 また、建築家で一気にゲームを終わらせようとするときにも役立ちます。 5色の3点と、8軒建てきりの4点ボーナスが入れば、建物自体が安くても何とかなります。

 コストが 2 の建物はその色の2軒目に最適です。 追加収入が 2 になるとだいぶ楽になります。 ただし、安い建物ばかり作ってしまうと勝利点が低く、長期戦では不利になってしまいます。 壊すのにも費用がかかるので、ひょっとしたら助かるかもしれません。

 コストが 3〜4 (4は数が少ない)の建物はバランスのいい建物です。 前のターンにちょっとお金を残していたり、追加収入などがあったりすると、 比較的容易に建てることができます。そのうえ壊されにくいので、 確実な資産になるでしょう。

 コストが 5〜6 (6は紫にしかない)の建物は建てにくいですが、資産価値はかなり高いです。 ただ、手札が高い建物ばかりだとかなり動きにくくなってしまいます(安いのばかりでもやりにくいのですが)。 そんなときは、魔術師で捨ててしまうのがいいでしょう。

2) 色別の解析

 建物カードをよく見てみると、カード構成からいろいろなことが分かります。

 まず、色ごとの構成ですが、緑がほかの色の倍くらい入っています。 そのほかの色はほとんど変わりません(元のフランス語版ではすべて同じで、 ドイツ語版では金色のコスト 5 のPalast[宮殿]が1枚多く入っているそうです)。 商人の追加収入が大きくなるのはそのためでしょう。

 全体的にいうと、高い建物の枚数が少ないという傾向がありますが、 色別にも性質があります。

 緑は 1〜5 までのすべてが入っています。なかでもコスト 2 の建物は 2種類あり枚数が最も多いです。 コスト 3 と 4 は同じ枚数だけ入っています。

 金は全体的に高い建物が多く、コストが 3〜5 の建物があります。約半数はコスト 3 の建物で、 資産としては比較的安定です。ただ、終盤で金の建物が足りないと5色そろえるのに苦労するでしょう。

 赤と青は全く同じ構成です。コスト 1〜3 と 5 の建物が入っています。 使い勝手のよいコスト 4 の建物がないうえに、3 の建物も 1と2 と同数しかないので、 コスト 2 でもいいから建ててしまったほうが5色ボーナスは取りやすそうです。

 紫の建物は全体的にコストが高く、コスト 2, 3, 5, 6 の建物があります。 しかも、コスト 5 と 6 のカードが多数を占めています。建物別の解説は後ほど行いますが、 5 色集めるときに一番のキーポイントになるでしょう。

3) 紫色の建物について

次に、特殊な効果のある紫色の建物について解説を行います。 紹介順はコスト→ドイツ語のアルファベット順です。

● Geiststadt [幽霊都市], コスト 2
 この建物は、5色ボーナスの際に好きな色に変わります。 しかし、コストの安さゆえにとても壊されやすい建物です。 元のフランス語版ルールでは、最後のラウンドにこの建物を建てた場合、 特殊能力は働かないそうです(紫色として扱います)。 紫の建物の中でもっとも安いですが、かなりリスキーな建物といえます。

● Wehrturm [やぐら], コスト 3
 この建物は、傭兵の攻撃の対象になりません。 また、紫の建物の中でこれだけは枚数が2枚あります。 紫の建物にしては価格が手ごろなので、色をそろえる際にかなり役に立ちます。 特殊能力はないですが、紫の建物のなかでもっとも使い勝手がよいと思っています。

● Friedhof [共同墓地], コスト 5
 自分の建物が傭兵の攻撃を受けたときに、お金を 1 支払えばそのカードを手札に戻すことができます。 地味な効果ですが、そこそこ役に立ちます(お金を持っていなければ行けませんが)。 ただし、壊されているうちは建物の数が増えないので、結局は建物を壊されない工夫が必要になります。

● Laboratorium [研究所], コスト 5
 1ターンに1回、カードをお金に変えることができます。 これもそこまで派手ではありませんが、終盤の建設時にかなり効いてきます。 建築家や魔術師、カード系の能力を持つ建物とのコンボはけっこう強力です。 使える場面が限られているせいか、存在を忘れてしまいやすいので気をつけて下さい。

● Schmiede [鍛冶屋], コスト 5
 1ターンに1回、お金を払ってカードを引くことができます払う額が 3 と少々高価なので、使いにくいような気がします。 結局建物を建てるのにもお金を使うわけですから。 ただ、お金 2 をもらうことをあきらめてカードを 1枚引くことを考えると、 そこまで効率が悪くはありません。商人などの追加収入のある人物とのコンボがあります。

● Sternwarte [天文台], コスト 5
 自分のターンでカードを引く場合、引ける枚数が3枚になります。 これも単体では、そこまで強力ではありません。終盤で欲しい建物があるときは、 そこそこ役立ちます。図書館とのコンボはかなり強力ですが、なかなかできないでしょう。 単純に、追加収入のある人物との相性がいいでしょう。

● Bibliothek [図書館], コスト 6
 自分のターンでカードを引く場合、2枚入手することができます。 天文台と比べると、こっちのほうが効果が派手になっています。 手札が増えれば、それを使う手段はいろいろと用意されているので、 かなり使いやすいでしょう。魔術師と組み合わせて手札を操作するもよし、 商人と組み合わせて高い建物を建てるもよし、研究所と組み合わせて換金してしまうもよし、 といろいろなコンボにつながる建物です。 コスト 6 を払って建てる価値は十分あります。

● Hexenschule [魔法学校], コスト 6
 追加収入を計算するの際に好きな色に変わります。 これもかなり強力な建物です。持っているだけでだいぶ収入が増えるはずです。 建物自体もコストが 6 あるので、長期戦になるほど実力を発揮することになるでしょう。 これもコストに見合った効果はあると思います。

● Drachenhort / Universität [ドラゴンの守り / 大学], コスト 6/8
 勝利点が8点です。 建物1つで8点はかなり大きいですが、他に特殊能力がないので、 無理して建てるほどではありません。お金が 6 たまりそうなときだったら建てる価値はありますが、 他のコスト 6 の建物ほど重要ではないでしょう。


 以上がプレイしていて気づいたことです。あとは、誰が何を取ったかという読みあいになりますが、 こればかりは対戦相手に依存しますので、何ともいえません。 他の人の動きを読むところがこのゲームの醍醐味だと思います。


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