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● 自宅18JP-T会のレポート ●

 2010年9月5日、おおよそ半年ぶりに自宅ゲーム会です。だいたいは横浜か、JAGAに出るかと行ったところですが、今回はスケジュールの関係などもあってということになりました。タイトルにあるとおり 18JP-T をプレイしたので、その様子をレポートしましょう。


●18JP-T

 夏のイベントで入手した 18xx系の同人作品です。舞台は東京都心を中心とした首都圏ですね。ちなみに 18TK とは全く別の作者が制作した作品です。18xxシリーズの紹介はここでは省略しましょう。

 基本的なルールは 1830 に準拠しています。登場する大規模会社はなんと 11社もあります。JRは登場せず、大手民鉄各社+北総+TXという構成です。マップは、都市の数が多いのと、初期配置で現実に近い形に設定された横浜、田園調布、蒲田、そして、都心にあたる 7つのT都市があります。このあたりがマップ上の特徴ですね。

 列車は 2〜6列車と、D列車が入っています。D列車は数字列車からの改造はできないものの、6列車登場後に購入することができます。パーマネントは 5列車以降、ただし、D列車が登場しなければ 4列車は生き残ります。

 個人会社は 6社、能力のないものから株式のついているものまでありますが、基本的にはシンプルです。ただし、1830とルールの差分がないので、大規模会社は個人会社の購入ができます。この要素自体がそれなりに経験を求められるところだと思っていたりとか。

 株式は、特に特徴的なものはありません。カラーゾーンは黄色のみ、終盤の上がり幅はそれなりに大きいですね。

 このゲームの特徴的なところは、T都市の扱いにあるかと思います。首都圏の場合山手線内はJRと地下鉄のみしかいないため、そのあたりの扱いが現れています。初期は1830のニューヨークのように1タイル2都市で行き止まりですが、緑タイルでトークンスペースが増えて、一方だけ道が増える形に、茶タイルで2都市が1都市に合併、灰タイルで道が1つ増えます。

 1830のエリー湖近辺のOO地帯のような複雑な状態がゲーム序盤に発生し、それが展開によってはゲーム終了時まで影響が続くというのが特徴です。自由度の高い上野はともかくそれ以外でつながりそうなのは1か所くらいと、都心が分断される確率が高そうです。

 会社の特殊能力についてですが、過半数は特定の盤外都市の収益が2倍になるというシンプルなものです。対象の盤外都市は1回しか使えないようになっているようです。他の特殊能力として、東武、西武、東急がそれぞれそれらしいものを持っています。

 ルールの記載はありませんでしたが、18xxの通念として都市が合併したときに、同一都市にトークンが置かれていた場合は一方を取り除くことになるかと思います(破棄されるか、会社に戻るかはゲーム依存だったはずですが)。あと、灰タイルの配置についてもD列車登場後に配置可能ということにしました。


 ここからは実際のプレイの様子を。今回は、4人で、初期の個人会社を逆順で選ぶクイックスタートを使いました。こちらでプレイする場合、おそらく個人会社がそこまでの値段がつかなさそうだという判断もありました。

 ルールとマップを見て気づいたのが、東武の扱いです。東上鉄道購入で 30%、銀行に 30% が置かれているため最初から設立されており、必然的に初期株価は 100円になるのですが、収益が上がるまでに時間がかかるという難点があります。浅草にトークンが置かれてからは、1ターンに2回建設という強力な能力がありますが、そこまで持ち込むのに最短で3ターンかかります。

 2社目としては、初期株式が出ているのと序盤会社向けの能力がある西武鉄道です。会社に資金がどんどん転がり込んでくるのですが、初期状態ではまともに収益を上げるまでにやはり時間がかかります。川越鉄道で会社から資金を吸い出して、能力で補完するということになりそうです。

 もう1つは、10%株式が転がり込んでいる京成ですが、設立当初あまり走れないというのが難点です。あとは、すぐ目の前に北総の本拠があり、事故が起こるとボーナスのある成田に出られなくなったりします。

 4人プレイで、資金に余裕があるので、もう1社設立しそうな感じですが、序盤で強そうなのは都市がある程度完成している東急が筆頭にあがりそうです。

 今回は、帝都+東京都交通局→川越鉄道+西武10%→軍用線+京成10%→東上鉄道+馬車鉄道+東武30%という取られ方でスタート。そのまま東武は100円設立、京成、西武と東急が設立しました。

 東武の序盤は浦和から大宮の収益を先にあげるコースへ。2-2-3という列車構成に。西武は川越鉄道を吸収して 2-3、京成は路線の関係上 2-3、東急は東急側の蒲田にトークンを置いて 2-2-2-3 という序盤会社らしい買い方をしました。京成が上野方面に抜ける路線を作り、地下鉄が脱出可能な形になりました。

 2社目ですが、西武所有者は現金を引き出したことが幸いして、地下鉄を設立。東急は渋谷、田園調布、蒲田、目黒の路線を完成させたあとは、横浜方面に足を伸ばしトークンを配置。4両で 320の高収益が出ましたが、逆に会社の資金が尽きかけていたので無配当で安定化させる方向へ。この頃ようやく東武が浅草に到着し、倍速の建設権を獲得しています。

 地下鉄は渋谷にトークンを置き 3-3 という列車構成に。収益的には、2列車が大量に走る東急が圧倒的でした。東武所有者は株屋になり、東武の株が売り切れ上がりの状態に。60%-40% という完全依存型になったのでした。

 次の株式ラウンドで、京王と北総がたちました。東武所有者はまだ動かず。ここで 4列車が登場し、東急の時代は終了。ここからは定収入時代に入ります。京王は東急の2列車と3列車を買い現金輸送をし、北総もそれに習う形で京成の2列車と銀行から4列車を購入、これで冬の時代に突入しました。

 地下鉄の 3×2両が一番収益がありましたが、かなり成長も鈍化しています。長津田車両基地を持っている東急が4列車を割引価格で購入したりとかもありました。

 ゲーム中一番のポイントとなる、次の会社設立ですが、西武/地下鉄所有者は3社目の京急を選択、東急/京王所有者は3社目の小田急を設立、動きのなかった東武所有者はここでTXを設立させました。これでパーマネント列車が出ることがほぼ確定です。

 京急は最後の4列車を購入し、小田急のターン。4列車+5列車でパーマネントを引っ張り出すと、東急は自分の列車のみで、4列車止まりの会社が1つできてしまうことが判明するも、そのまま京王の3列車でお茶を濁すと、西武、地下鉄、京急に 6列車が出てしまい、6列車3両を含む安定的な体制を作られることから、4列車+5列車でゲームを動かすことにしました。

 TXはうまく資金移動させると、東武が D列車を購入できる形になっていたようですが、東急の 60%-40%の株状況がそれを阻止していました(列車も資金もない東急の経営権が飛んでくるため)。TXは 5列車を購入。次のオペレーションで東急が 6列車を購入。結果としてこれが運命を分けたようです。

 後続の西武は無配当で資金不足で100円程度の自腹、地下鉄も無配当で資金不足のため 200円程度の自腹、東武も3列車のみのため無配当で 6列車購入と、無配当を出していない会社が相次いで無配当をだし、先行の無配当の分の差を詰めました。京成は 6列車を購入、北総は列車購入せず 4列車のみの体制で、中途半端にお金が余った状態で 4列車+5列車を持つ小田急のターンに。

 時間がかかりそうなのと、パーマネントの安定化という観点で、ここの収入を無配当にしました。以降、途中で株式を挟む物の、京王が東急の6列車をほぼ全財産で購入、東急が小田急の5列車をほぼ全財産で購入。この資金で小田急がトークン代を残して 6列車を購入しました。これで 6列車、4+5列車、4+6列車とフルパーマネントの盤石の体制で 6列車が売り切れました。

 この時点で相鉄は出ていませんでしたが、株に余裕のあった京成/北総所有者は、4列車単体の北総がいるためD列車を出した時点で 1100円の自腹が確定。東武/TX所有者は、パーマネント2両の東武の株を売ってまで相鉄を建てる理由がなくなったことから、この形で安定しました。

 結果として、安定状態のまま 5回運営ラウンドがあり、小田急の無配当分をそのまま運営利益で抑えきった形になりました。D列車が登場しなかったため、首都圏は東西分断されたまま、お台場も海のままという残念な状態でゲームセットでした。結果は、大東急連合が500円ほどの差で逃げ切りました。2位は自腹を切らなかった東武/TXの所有者でした。プレイ時間は 6時間ほどです。


 雑感ですが、やはり Tタイルがいろいろな意味でこのゲームらしいところですね。

 西武の特殊能力は、ある意味引っかけかもしれません。2社目をうまく活用するとか、20%まで株を売ってしまう焼き畑戦略とかになるのでしょうか。といってもD列車がありますし、銀行には 50%までしか株式が回らないのでどこまで有効なのかは未知数です。

 D列車が出るような展開になりませんでしたが、Tタイルの自由度が低いため周辺をぐるぐる回るということになるのでしょうか。建設権の多い東武の所有者に向いているかと思いますが、どこまで稼げるかは今ひとつ読めません。

 気になったのは、マップ上のボトルネックが何か所かあるところです。北総の本拠の高砂は、京成の出口になるため、下手をすれば封鎖戦略が取れてしまいます。同様にTタイルによる地下鉄の閉鎖、下北沢での小田急、京王の閉鎖が形として考えられます。Tタイルから外に出る手段が多ければまだいいのですが。

 あと、今回は茶色の時代まででしたが、この時点で Tタイルが 2枚緑のままで確定したことも挙げられます。出口の関係上アップグレードのタイルは 1パターンしかないのですが、たまたま1パターン使われないのがあり、そのまま確定してしまいました。デザインによるものもありますが、もう1枚くらいはアップデートできるようになっていてもよさそうです。


 そんなこんなで、たっぷりと楽しみました。自宅ゲーム会ではここのところ 18xxシリーズばかりやっているような気もしますが、たまにはじっくりと楽しむのもいいですね。


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