● JAGA 2002年 9月 のレポート ●

 ボードゲームの遠征レポートは、たいてい掲示板ですませているのですが、今回はいろいろとあったのでレポートとしてあげることにします。
 JAGA(日本ゲーム協会)は、かなり昔からあるゲームサークルで、私の場合は 10年くらい前にモノポリーの本で存在を知りました。毎月 1回例会を開催しておりさまざまなゲームがプレイされています。
 JAGA のいいところは、ゲームの豊富さでしょう。今ではすでに入手できない絶版ゲームから新作ゲームまで、かなりのタイトルがあります。
 今回は、時間を追ってプレイしたゲームの紹介を中心にしようと思います。

● ニューメロ

 13:00 の開始直後に会場入り。まだそんなに人が集まっていないこともあって、同行者といっしょに私の持ち込んだ「ニューメロ」をプレイしました。脇では、製品版が初谷されたばかりの「ワードバスケット」がプレイされており、取材までされているようでした。
 「まさか、こっちに取材が来ることはないだろうな」と内心びくびくしながらプレイしましたが、そんなことはありませんでした。
 ちなみに、「ニューメロ」は手札の数字カードを使って、同じ数字の場札のカードを取るというトランプのカシノとか花札に似た系統のゲームです。ただ、場札のカードは好きに組み合わせて足し算ができます。
 このゲームの一番のポイントは、特殊カードでしょう。特殊カードには場札の数字に対して引き算、かけ算、わり算、平方根、2乗などの演算ができます。これによって複雑な計算が要求される場合があります。
 √((13 + 8) × 2/3 + 2) = 4 といって、場札の 5枚のカードを 4のカード 1枚でとることができたりします。実際にやってみると場合によってはかなり頭が痛くなってきます。いわゆる「脳力」系のゲームですね。大量にカードが取れると爽快感があります。
 ただ、テーマがテーマだけにかなりプレイヤーを選ぶゲームかもしれません。私の所有ゲームの中ではかなり「濃い」ゲームに入るでしょう。
 プレイ時間は 20分程度。プレイ人数は 2人が適当ですが、3人でもできないことはないと思います。ルール自体はそんなに難しくありませんが、演算が複雑になる場合があります。

● シュテルネンヒンメル

 ちょうどメンバーが増えたので、いつも通り「シュテルネンヒンメル」をプレイしました。12星座に勢力の書いてある星をおいて、星座の中で上位 2 勢力をとると大きく得点が入ります。最終的には得点の多いプレイヤーの勝ちというゲームです。
 簡単にプレイの内容ですが、いきなり最初の星座でトップタイをやってしまいました。トップタイになると得点が激減してしまうのです。その他にも 2位タイを 1回やってしまったので、それでかなり出遅れてしまいました。中盤以降は読みがかなり当たって盛り返したのですが、結局追いつきませんでした。
 このゲームは、適度な読みと戦略性が必要な面白いゲームです。プレイ時間は 45分くらい、4〜5人がお勧めです。ルールはそこそこで、戦略性が必要なのである程度のゲーム慣れは必要でしょう。絶版ゲームで今では入手不能ですが、ドイツゲームを始めた初期にプレイしたゲームだけに、思い出深いゲームなのです。

● ヘキサゴン (クイズ)

 これは、市販されたゲームではなく、TV番組のやつをそのまま移植してきたというものです。主催、進行は 4月の豊洲でお世話になって以来ときどきゲーム会でお会いする、たかのさんでした。問題をノート PC で準備したりとこのあたりの企画の作り方、盛り上げ方は参考になるところが多いと思いました。
 親以外のプレイヤーが、出題されたクイズに答え、親は不正解者を当てるというものです。うまく不正解者を指定した場合は、その不正解者に 1ダメージが入り、再指名権があります。ただし、正解者を当てた場合は親が 1ダメージを受けてラウンド終了です。
 残り全員が正解だと思ったら「セーフ」をコールすることができます。成功すれば、好きなプレイヤーに 1ダメージを与えることができますが、失敗すると親が 1ダメージになります。一定のダメージを受けたプレイヤーがゲームから抜け、最後のひとりになったプレイヤーの勝利です。
 このクイズの面白いところは、分かっている問題をわざと外して「セーフ」を妨害することでしょう。このあたりの駆け引きが難しくもあり、面白くもありますね。
 プレイの方は、苦手ジャンルからねらい撃ちされてしまい、早々に脱落してしまいましたが、このクイズはギャラリーもなかなか面白いのです。最後に残った問題でボケ解答合戦をやりましたが、これもかなり面白かったですね。回答者は 6人 + 司会 1人でプレイしました。時間は 60分弱でしょうか。

● ワードバスケット

 時間的に「ブロックス」大会が近いということで、軽く終わるゲームで「ワードバスケット」をプレイしました。製品版が発売されたばかりで、JAGA の小林さんが制作ということで、会場で作者本人が販売していました。すでにプロトタイプ、製品版を持っていましたが、記念にということで購入してサインをいただきました。
 「困ったらリセット」というありがたい言葉とサインをバスケットの底面にしていただきました。本当に記念に残ると思います。「ワードバスケット」もかなりいいゲームなのでどんどん広めていきたいですね。
 ゲームの方ですが、プロトタイプ版を使って通常のルールでプレイしました。最近けっこうプレイする機会の多いゲームなのですが、やはりプレイヤーによって出てくる単語が違うということで、いろいろな方とプレイするのが面白いと思いました。
 あと、慣れたプレイヤーはワイルド 5、ワイルド 6、ワイルド 7+ の使い方がうまいです。各プレイヤーにある程度「ワイルドカード辞書」というものがあるとは思うのですが。ワイルドカードの攻撃を断ち切るのにはリセットも効果的ですね。
 プレイ時間は 1ラウンド 3分程度。プレイ人数は何人でもいいのですが 4〜5人が混乱せずにできてちょうどいいと思います。ルールは簡単で、ゲーム慣れしていない方でも十分に楽しめます。お子さまが入るときは、単語の条件を緩くしてあげるといいでしょう。

● ブロックス

 今回のメインイベント「ブロックス」の大会です。このゲームも先日発売されたばかりということで、販売元のビバリーも協賛の大会になりました。
 最初にゲームの紹介をすると、20×20マスのボードに、1〜5までの面積を持つピースをできるだけ多く埋めていくゲームです。通常は 4人プレイで、最初はボードの角からスタートし、1ターンに 1つピースを埋めます。「自分のピースの角と接しており、かつ自分のピースの辺どうしが接しない」ように配置していきます。
 ピースをどんどん置いていき、最終的に手詰まりになった時点でゲームが終了します。残ったピースの面積が失点になり、失点の一番少ないプレイヤーが勝者となります。
 ルールはこれだけとかなり短いですが、奧の深いゲームです。初プレイの感想はあとで書きます。プレイ人数は 4人がいいでしょう。時間は 20〜30分くらいでしょうか。ルール自体は単純ですが、考える要素が多いゲームなので難易度はある程度あります。しかし、子供でも楽しめるゲームだと思います。
 実は、どんなゲームかだけ知っていて全くプレイしたことはなかったのですが、ほぼ全員参加と言うこともあってエントリーしました。結局 40人 10テーブルという、ものすごい人数でプレイすることになりました。
 1回戦は 16人勝ち抜けということで各テーブルのトップ 10人と、2位以下の中から上位 6人が勝ち残りというルールになっています。
 初挑戦ということで、見よう見まねにタイルを配置し、なるべく手詰まりにならないように気をつけながらプレイしていきました。なかなか外に攻めることができなくて自分のところを守るのが精一杯でしたが、他のプレイヤーが比較的早いうちに手詰まりになったのが救いでした。
 結局パーフェクトをとられてしまうものの、私は 4マスのタイルを 2つ残し -8点でした。他のテーブルの状況を見ると、パーフェクトはなかなか出ないゲームなので -8点ならまず 2回戦進出できそうな感じでした。結局、得点順 3番目で 2回戦に進出しました。
 2回戦は、JAGA のなかでもかなり強いプレイヤーと当たってしまい、なおかつ序盤の突破のところで妨害に走ってしまったため、かなり厳しい状況になりました。突破口は 1箇所しかないと思ったのですが、そこがうまく通ったので、大きなタイルをさばくことができました。
 あと、侵入に対してまるまるブロックできたのも大きかったです。自分の領土がなかったら間違いなく手詰まりになっていましたから。最終 3ターンは、本当にパズルみたいな感じになりました。相手は 5マスのタイルが 2個あり、私は 4マスが 2個、5マスが 1個残っていて、かなり僅差でした。
 一番点数が減る方法は、4マス 2つを残して -8点でしたが、それだと相手に大きなタイルを置かれてしまうことが分かり、作戦変更。同点の場合は自分が後手番のため、タイブレーク勝ちになることから、自分の得点を 1点義性にして、相手を徹底ブロックする作戦に変えました。結局、1点差で決勝進出になりました。
 2戦目が終わった段階で、かなり疲れましたね。ゲームをやっていてここまで疲労するのもなかなかないですから。休憩時間が思ったより長かったのが救いでした。
 最終戦は、ビデオに撮られるという状況でプレイしました。決勝卓とあって、なかなか白熱した試合になりました。私は、早いうちに止められる側になってしまったため、領土が手狭になり 5マスのタイルが 2つ置けないことが確定してしまいました。
 終盤にかけては、得点が減らない範囲でなるべく邪魔になるように打つことに徹しました。最終的には、パーフェクトをとられてしまいますが、私ともう一人のプレイヤーが -10点で同点。私は行動順が最後だったので、タイブレークで 2位になりました。
 ゲームが終わり、表彰式が行われました。決勝卓に残ったプレイヤーには商品として「ブロックス」が送られました。前日の買い物で、箱が大きかったので敬遠したのですが、結局今手元にあるわけです。本当に何が起こるか分からないですね。
 大会終了後に、「ブロックス」の即売会が行われましたが、こちらも大盛況(買えない人が出るくらい)でした。実際にプレイした後に、ゲームが売られているとやはり宣伝効果は大きいですね。
 「ブロックス」をプレイした感想です。もともとアブストラクト系のゲームは苦手な方ですが、プレイヤーが 4人もいて 2手先の自分がどうなっているかはほとんど読めないことと、いわゆる「確定」の状態があってそこは後回しにできることと、「適度な制御」ができるゲームだと思いました。
 この「適度な制御」の加減は、私の好きなゲーム「砂漠を越えて」に似ていると思いました。だから、そんなにドツボにはまることもなく、そこそこ早打ちもできるのでしょう。単純だけども、プレイヤーとの関係があるので奧が深いといった印象を受けました。
 ルール自体は簡単で、1回やればだいたいどんな感じかが分かるので、怖がらずにプレイしてみるのがいいと思います。これは新しい世界が見えるゲームだと思いますね。話を聞くよりも、やってみると面白さが分かる気がします。かなりいいゲームでしょう。
 長くなってしまいましたが、ブロックス大会の結果でした。あれほど「ブロックス」をやったのにもかかわらず大会の後に JAGA で 1回、他のところで 1回プレイしました。一日に何度もやると、正方形のタイルが 2色に色づけされていると、あいだに入るピースを考えてしまうくらいになります。やりすぎ注意ですね。

● グラディエーター

 私が先日個人兵器として購入して、まだプレイしていなかった「グラディエーター」をプレイすることができました。グラディエーターのチームを操って他のチームや動物を倒していくという、何とも破壊的なゲームです。
 プレイした感じですが、初期配置からクニツィーアらしい迷わせる要素がありました。チームが 4人しかいないので、どれかの能力を犠牲にしなければ行けないのです。基本的にはダイスゲームなので、誰と対戦するかさえ間違えなければ、そんなに考える要素はありません。
 あと、面白いと思ったのは、脱落したプレイヤーの処理です。動物を操ることになるのですが、終盤の消耗したチームを削るのにはちょうどいいのです。しかも相手を倒したらちゃんと得点になるので、逆転ということもあり得ます。逆に、動物はグラディエーター 2人分の得点になるので、ハイリスクハイリターンなのですが。
 そんなに時間もかからず、ダイスゲームの面白いところがきれいに出ているゲームだと思います。運の要素は強いですが、盛り上がりたいときにはいいゲームなのではないのでしょうか。
 プレイ時間は 45分程度。人数は 4〜5 人がお勧めだと思います(未確認ですが 3人でも面白いかもしれません)。ルールは戦闘の処理だけなのでそんなに難しくありません。ゲームにそんなに慣れていない人でもプレイできますが、テーマ的にはゲーマー向けかもしれません。

● セット

 時間が余りないので、一発ネタでいろいろとやることにしました。1つ目はラベンスバーガー版が出たばかりの「セット」です。形、色、数、塗りつぶしという 4つの属性を持つ 81枚のカード(3の 4乗 = 81 なので重複はありません)を使ったゲームです。
 カードを 12枚表にして、その中から「各要素について全く同じか全く違う」3枚のカードの組を探すゲームです。例えば、形と色と塗りつぶしが同じ「赤の長方形の塗りつぶし」で、数が 1個、2個、3個、とすべて違っている 3枚のカードはセットになります。
 この文章では伝わっていない部分も多いと思いますが、このゲームかなり図形認識能力が問われます。明らかに「脳力」系のゲームです。素早く探す必要もありますからね。
 実際にプレイした感想ですが、色が赤、緑、紫、カードのバックが白で、けっこうトーンが強い色なのと塗りつぶしのテクスチャに「テレビの砂嵐」みたいなものがあって、始め見たときは目がちかちかしました。でも、慣れてくると意外とセットが見えてくるものです。見つけると気持ちがいいというのはこの手のゲームならではですね。
 プレイ時間は 20分程度、人数は何人でもいけそうですが 2〜6人くらいでしょうか。ルールを理解するのにちょっと大変かもしれませんが、難しいゲームではありません。

● ハンズアップ

 最後のゲームは、「ハンズアップ」というパーティーゲーム色の強いゲームです。カードに描かれた手の形を一斉に作り、一番最後に作った人にペナルティがあるというそれだけのゲームです。
 カードの中には「腕を交差させて、手の甲を上に向けて、内側に両手の親指を出す」という絵が描かれているものもあります。実際に試すと分かりますが不可能なはずです。このような場合は決められたポーズをとります。
 絵だけで判断するので、適度にパニックになり、うっかり指が出ていたり、できない手の形を一生懸命作ろうとしたりと面白いことが起こります。これまでプレイしたアクション系のゲームの中で、「楽しさ」という点ではかなり上位に入ると思います。
 プレイ時間は 20分程度ですが、カード枚数で調整は可能です。人数は 4〜7人くらいでしょうか。多すぎると判定が難しくなりますから。パーティーゲームなのでゲームになれている必要は全くありません。ネタとしては十分すぎるくらい面白いと思います。
 書き忘れていましたが、熱中しすぎて指を痛めないように気をつけてください。たまに変な形の指を出す場合がありますから。


 以上が JAGA でのレポートでした。今回は「ブロックス」大会で思ったよりもゲーム数が少ないと思ったのですが、こうして書いてみるとけっこうプレイしていることが分かりました。今回は、じっくり考えるゲームあり、笑えるゲームありとなかなかメリハリが利いていたと思います。


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