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● JAGA 2003年 10月 ●

 恒例の JAGA レポートは、今月もやります。来月の JAGA は所用のため出られないので、ゲームパーティーに向けた最終調整のつもりで行ってきました。

 速報レポートでけっこう書き込んでしまっているので、今回は軽く加筆を加えた程度でまとめてみたいと思います。


 ひさしぶりに OKAZU さんが JAGA に来られるということで、新宿で待ち合わせて YS によってきました。気になる作品として GameWright の 12 minute GAMES というシリーズが出ていましたね。なんだかんだで、13:30 くらいに会場入りしました。

● ニューメロ

 最初は、肩慣らしということで久しぶりに「ニューメロ」をプレイしました。計算をしてカードをとっていく 2人用のカードゲームです。分数やべき乗、平方根など変わり種があるのがこのゲームの特徴です。

 珍しく均衡した展開になったのですが、最後に引き離しました。レアな作品で、所有者も少ないのですが、たまにやってみると普段使わないような部分を刺激するのでいいものです。まあ、万人向けのゲームではないですね。

 今となってはすっかり入手難になりました。怖いもの見たさでプレイしたいという方がいらっしゃいましたら、リクエストをどうぞ。

NUMERO, Rev Frank Drysdale, Prim-Ed, 1998

● 頭足類

 「ワードバスケット」の作者の小林さんから誘いを受けてプレイしました。JAGA の会誌でルールは見たことがあったのですが、実際にプレイするのは初めてでした。

 お題となる 5文字の言葉 2つから、それぞれの文字をあたまとおしりに持つ 25個の言葉(名詞)を作ります。作った言葉が誰ともかぶっていなければ得点になります。回答の制限時間は 15分で、時間がきたら答えあわせになります。

 今回のお題は、頭が「おとこやま」(日本酒の銘柄だそうです)で、足(おしり)が「やじろべえ」でした。「べ」はかなり出現頻度の低い文字で難しい構成になっています。

 最大の難所、足が「べ」の回答例を手元の資料からちょっと調べてみました。

「お」(候補 20):
おおなべ[大鍋、実際に描いた答え]、おしゃまんべ[長万部]、おしべ (このあたりは出ていましたね)

「と」(候補 10):
とうふなべ [小林さんの回答でした]、ともべ[友部、茨城県の町、常磐線沿いですね]、とりしらべ[取り調べ]

「こ」(候補 13):
こうべ [神戸、実際に描いた答え、言うまでもなく重複しました]、こてしらべ[小手調べ]、こんくらべ[根比べ]、こうあつぼんべ[高圧ボンベ]

「や」(候補 7)
やまべ [山辺]、やながわなべ[柳川鍋]、やみなべ[闇鍋]、やきなべ[焼き鍋、炒めたり焼いたりするのに用いる鍋]

「ま」(候補 3)
まどべ [窓辺、実際に描いた答え]、まくらべ[枕部、まくらもと]、まじきりかべ[間仕切り壁]

 実際に調べてみると、かなりの難所であることが分かります。重複を避けるため、4文字以上を狙いたくなりますね。

 ある程度の慣れは必要かもしれませんが、答えあわせの時間が楽しいゲームです。語彙だけではなく、ひらめきと駆け引きも必要で、なかなか面白いゲームでした。

頭足類, (Generic Game)

● インスタント・サクセス

 ここで合流したメンバーと、私のオリジナル「インスタント・サクセス」をプレイしました。ここ最近の登場頻度が多い、ゲームパーティー出展予定の作品です。詳しいルールなどはオリジナルゲームのコーナーで。

 今回は 5人だったのですが、何回かピタリ賞が出たりとなかなか面白い展開になりました。計算力とメンバーのカードを入れる早さにもよりますが、ぎりぎり計算できそうな感じでしょうか。ちなみに、いろいろな方に指摘されている「6と9が見づらい」件ですが、これは仕様です。アンダーバーではなくドットにしてあるのです。

 最後の最後が24というのはいいオチになりました。カード 3枚で終わりになることが多いですからね。

 この前のミニオフの時でもそうだったのですが、準備体操に使われるようになりました。軽いゲームとして作ったのですが、これまでの作品ではなかった領域かもしれません。この、1〜9までのカードと決算の組み合わせは、元から考えていたのも含めて、もうちょっと増やそうと思っていたり。

インスタント・サクセス / Instant Success, Hammer, Hammer Works, 2003

● Vernissage(ベルニサージ)

 お次は、私のまだプレイしたことのない作品 Vernissage(ベルニサージ)をやりました。いかにも経済ゲームといわんばかりのコンポーネントでしたが Klaus Teuber の経済ゲームで1993年の作品だそうです。

 私は、もともと経済ゲームは好きですし、まだやったことのない作品と言うこともあってプレイしました。画家の絵を集めてお金儲けをするというゲームです。

 画家には名声があり、名声が高ければ高いほど絵の価値が高くなります。一定以上の名声になると決算が起こり、絵に対して配当が入るようになるのです。各ターンの行動で、名声を上げたり下げたりがありますが、一定の条件を満たすと個展を開くことができ、一気に名声を上げるチャンスになります。

 行動カードや絵は、何枚かのカードの山に分けられ、お金を払うことで 1つ山の中のカードを全部見て、好きなカードを 1枚とることができるのです。このあたりがいかにも Teuber らしい感じですね。

 実際にプレイした感じですが、一昔前のゲームを彷彿とさせるのですが、いかにも Teuber らしいと思いました。ゲームとしてもまとまっていますし、Kniziaのようなカツカツさもないので、プレイしやすいと思いました。

 ただ今回は、いきなり一人の画家が脱落したので展開がまったりになりましたが、普通はもうちょっと荒れそうな気がします。折りを見てプレイするのにはいいかもしれません。

Vernissage, Klaus Teuber, TM-Spiele, 1993

● メディチ

 その後は、リクエストがあったので 6人で「メディチ」をプレイしました。久しぶりのプレイでしたね。ちな
みに、私の周りでは 5人でやることがほとんどなのです。この時点でこの「メディチ」がものすごい展開になろうとは予想していませんでした。

 メンバーのかねあいとか、カードの出方から 1ラウンド目からかなり濃密な展開になりました。一番最初から 10とコショウ 2枚という荒れたビッドでしたし、毎回のビッドの値付けもちょうどいいところを突いてきて、みんなで悶絶するような展開になりました。

 一発勝負のビッドというのもあるのですが、今回は本当に相手にいちばん言われたい値段を言われることが多かったので、悩みどころが多かったです。あまりにポイントになるところが多かったので、文章にまとめることすらやりにくいくらいです。

 本当に序盤から終盤まで目のはなすことができない、ものすごいゲームだったと思います。これまでプレイした中で一番濃密な「メディチ」なのは間違いありません。

 Knizia の競りゲームには「モダンアート」もありますが、よりすっきりとしていて、一発勝負の妥協が許されないビッドを要求される「メディチ」の方が個人的には好きですね。人気があるのもうなずける作品です。

 5〜6人でやるのがおすすめで、プレイ時間は 60〜90分くらいです。上級者向けのゲームには間違いありませんが、競りのゲームが好きな方には一度は体験していただきたい、キレのいいゲームです。

 個人的には「難しい」ゲームという難易度をつけていますが、もう一ランク上げてもいいのかもしれません。今回の展開が毎回続くなら、間違いなく最高ランクの「ものすごく難しい」になるのですが。

メディチ / Medici, Reiner Knizia, Amigo, 1995
(現在日本で入手可能なのは Rio Grande Games , 1998 の英語版です。ゲーム内容はボーナスが増えています。ボードの見やすさなどで Amigo 版のほうが好きですね)

● グランドタワー

 経済ゲーム続きだったのですが、ここで出さないと出す機会がないと思って、暖めておいたオリジナルゲーム「グランドタワー」を出しました。

 自分のビルをどんどんのばしていって、自分で踏んで得点を稼ぐというゲームです。得点の伸びが加速度的に伸びていくのがポイント、のはずでした。

 外に出したのは初めてだったのですが、ルール説明の時点で方向性が散漫だということに気づきました。説明するといろいろと見えて来るというのは、よくある話なのです。

 確かに、テストプレイでは 100点近い得点がそこそこ入っていたのですが、今回は勝者の得点が 300点以下と、かなり展開がまったりしてしまったのもあるのですが、それを差し引いたとしても処理が多くて、しまりのないゲームになっていますね。

 テストプレイでは、だいたい 300〜600点の範囲に収まっていました。1回ものすごい展開で勝者が 900点を超えたというのがありましたが。

 数値バランスのためのテストプレイで 20〜30回くらい回してはいますが、その段階で処理になれてしまったのが原因なのかもしれません。下層から練り直す必要があったみたいです。これはひとりでテストプレイをすると陥りやすい部分ではあるので、外に出すことは大事だと改めて思いました。

 一通りの感想を聞いて、しばらく暖め直すことにしました。なのでゲームパーティーには登場しません。コンポーネントを作らなくて正解だったかもしれませんね。

 テストプレイに参加してくださったみなさんに感謝です。一発ネタはあまり出さないのですが、それにしてもリスクがあるというのが分かります。

グランドタワー / Grand Tower, Hammer, (Original Game), 2003

● Think Twice (考え直せ)

 残り時間もあまりないということで、カワサキさんが持ってきてくださった Think Twice をプレイしました。ものすごく単純なルールのダイスゲームということで、前々から気になっていたのです。

 ダイスを振って、出た目の組み合わせで役を作り得点を稼ぐゲームです。とった得点は、倍率ダイスを振ることで、リスクはありますがさらに増やすこともできます。

 いかにも、アメリカ生まれのダイスゲームらしい作りですが、なかなかおもしろくまとまっていると思います。倍率ダイスは、カワサキさんのアイデアの方を使ったのですが、確かに 1倍はない方が盛り上がりますね。

 数字役の High と Low, Even と Odd では High が頭ひとつリードしているような感じですし、Same は夢がありますが、意外と難しい Different は得点がそんなに入らないのです。ただ、ボーナスのダイスと倍率ダイスがいい味を出していると思いますね。

 役の関係で、多少手を加える要素はありそうな気もしましたが、ダイスゲームの魅力は十分に引き出せていると思います。確かに、終了条件は 500〜800点くらいが無難かもしれません。このゲームの場合もグリードなどと同じ終了条件にして、逆転のチャンスを増やしてもいいと思います。

Think Twice, Maureen Hiron, Playroom Entertainment, 2003

● ハイ・ソサエティ

 最後に「ハイ・ソサエティ」をプレイしました。Essen で Einfach tierish! というタイトルでリメイクが出ます。こちらも Knizia の競りゲームですが、いわゆるオークションタイプの通常の競りです。

 ほとんどのカードが出きってしまう、長期戦になりましたが、最後は 1点の差で勝負が決まりました。個人的には 4人くらいでやった方がカードがばらけなくていいのかと思いました。

 Knizia独特のカツカツさも兼ね備えた、短時間で終わる競りゲームで、リメイクが出るだけのことはあると思いました。Amigo からの発売なので、発売されたら購入することになるのでしょう。ちなみに、Uberplay でもそのままのタイトルでリメイクを出すそうです。

ハイ・ソサエティ / High Society, Reiner Knizia, Ravensburger, 1995


 終了後は、カワサキさん、偽善者さん、OKAZUさんと私で夕食会になりました。オリジナルゲームの話で盛り上がりましたね。

 このページでは、「サクリファイス」が紹介されていますが、OKAZUさんの作品もなかなか面白いものが多いです。紹介し切れていなかった部分も、時間が許せばものから作り直してみたいものです。他にも、オリジナルゲームの話題が中心でした。

 途中までカワサキさんと同じ電車だったので、カウンターの話とか、ワードバスケットの話とかを少々。なるほどと思うことが多いですね。

 今回はふたを開ければ経済ゲーム中心、ほとんど数学的なゲームという構成でしたがこういうのもいいものです。ゲーム数も最終的には 8タイトルといつも通りでしたね。今回は、本当に濃いゲームが続いてかなり充実していました。一緒にプレイしてくださったみなさんに感謝です。


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