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● 横浜ゲーム会 2019年9月 (2回目) ●

 2019年9月14日、横浜ゲーム会に参加してきました。3連休の後ろ2日は急用が入ったため、連休中唯一のゲーム会になりました。今回もレポートをお送りします。


●ここからのディスタンス

 手始めはこちらの作品から。OKAZU brand の秋向けの作品です。

 コミュニケーション系のゲームで、お題に対し、ここからの距離が近い順に並べ替えていくという流れです。プレイする場所によってのバリエーションと、持ち主がそこまで強くならないのがポイントです。知識も問われますが、全員の共通認識に合わせる必要があります。

 お題のバリエーションがあるので、実物を見てのお楽しみですね。なお、ゲームマーケット当日の試遊宅では、青海展示場からの出題になるので、なかなかレアな体験ができるかと思います。

●Point Salad [ボドゲーマ] [BGG]

 その次は、まさに、届いたばかりの作品をプレイすることに。ルール自体はあらかじめBGGで読んでいましたが、素読みでプレイすることに。

 得点条件のカードと、野菜カードが両面になっているカードを使って、得点を獲得していくことを目指すゲームです。得点をとるためには、野菜もとらなければならないので、バランス感覚が必要になってきます。プレイ感覚は非常に軽いです。

 ゲーム終了条件が、すべてのカードを取るまで続くので、最終盤でマイナス得点のカードを引き取らされる可能性もあります。手前のプレイヤーと方向が被らないようにうまく調整しながらという感じでしょうか。Amigo箱で成り立つゲームですが、アメリカからのゲームは箱が大きいですね。

 ルールで疑義があった点について、BGGフォーラムを確認したので、こちらにも書きましょうか。

 個数を比較する most / fewest は、全員の中で特定の野菜の個数を参照します。「0個」でもボーナス点の対象になります。また、単独最多/最小である必要はなく、同数でも得点が入ります。

 even / odd については、0個の野菜に隊しては得点の対象になりません。数学的に 0は偶数なので、0個の野菜は偶数個の野菜になるのですが、得点になりません。(任意の整数 n に対して、偶数は 2n、奇数は 2n+1 で表すため、0も偶数です)

●フォワード トゥ イースタン ワールド

 その次は、こちらの作品をプレイ。秋向けの作品です。

 今回も、なかなか出目が伸びない展開になりました。2ラウンド目で大量得点をとった場合でも、次のラウンドでしっかりと狙えば逆転できる可能性はあります。最終到達点のバランスも変更後は、少し難しくなっています。1つだけ、変更点をもらったので、切り戻す形で対応する予定です。数値バランスはよさそうなので、制作に入ります。

●City of the Big Shoulders [ボドゲーマ] [BGG]

 こちらも気になっていた作品を。18XXシリーズとワーカープレイスメントを合わせた作品です。10年1ラウンドで、全5ラウンドで、シカゴ発祥の企業を運営し、株式の配当でお金を儲けていくゲームです。

 会社数は 10社で、実際に存在する会社名になっています。業種は 4業種ありますが、会社数にばらつきがあり、Dry goods (布、衣料品、日常雑貨) の会社が多いですね。なお、dry goods はイギリス英語では乾物で、アメリカ英語とは違います。London でいうところの Mercer (絹物商人) が dry goods store に当たるようです。

 会社運営の部分は、18XXのような感じですが、10株会社で、社長株は 30%、社長以外が買える 優先株で 20%株が1枚、10%株が 5枚の構成です。30% から運営開始可能で、上場価格は $35〜$60、会社の資金は株式の時価で貯まっていきます。1846 のような incremental 方式です。初期資金は $175 なので、設立資金はうまくできています。持ち株制限もありますが、人数が多い方が制限も多いです。

 会社には、必要な材料と、できあがる製品数、必要な労働者数があり、製品を業種ごとに売却して、得られた利益を配当するか、無配当にするかを選びます。材料の売却は、業種ごとに供給タイルで見えるようになっており、途中の段階でボーナスがあります。タイルが尽きると、半額でしか売れなくなります。

 会社の運営の前に、プレイヤーごとに建物タイルを1枚プレイし、そのあとで、ワーカープレイスメントのようなアクションフェイズがあります。自分が社長の会社に対して、特殊なアクションをとることができますが、労働者の雇用や、機械化など、このフェイズでしかできないアクションもあります。

 会社の運営は、材料を購入し、工場を動かし、製品を売却し、配当を出して、株式を調整します。株価チャートは 1次元で、1倍以上の配当で 1段階アップ、2倍以上で 2段階、特定の株価になっていれば 3倍以上で 3段階アップします。端数が出た場合は、1株あたりの配当額の決定時に切り捨てられます。

 株式周りの動きは 18XX シリーズとほぼ同じです。なお、緊急資金調達として会社の株を売ることもできますが、株価が 1段階余計に下がります。株売りは 10% につき1段階ダウン、ストックフェイズ終了時に株が売り切れたときは 1段階アップです。

 最初は、ランダムで順番がきまり、アクションフェイズは既定の順番で、会社の運営フェイズは、名声が高い順で行動します。1ラウンド目の最初は、アクションフェイズの逆順で、1社目を選び、設立させる必要があります。

 ゲームとしては、最初にプレイする上では、手がかりがほとんどないですね。会社の種類はありますが、業種の 2番目以降は若干弱くなります。$35設立だと 50%まで株を持つことができますが、$40 だと、40%までの代わりに、3段階アップの条件になる $60 に1ラウンド早く届くことになります。

 会社の運営ですが、名声を上げることが非常に重要に感じました。運営フェイズのアクションの先着が非常に強く、必要な材料を確実に購入できたり、より高く売却できるようになったりします。あとは、設備が保持できない会社はかなり弱いです。薄利多売から、少数精鋭まで様々な会社がありますが、名声が低いと、安定して高い配当を出すのが難しくなります。

 5ラウンドのゲームなので、立ち止まったら負けくらいのバランスではあるのですが、立ち止まる可能性のある要素がいろいろとあり、デザインとしては荒いといわざるを得ません。

 1つ目は建物タイルの優劣がかなり分かれており、他のプレイヤーに使われると現金収入があるため、使ってもらえないようなタイルを引くと、それだけ残念なことになります。名声を上げるタイル、配当を出すタイルは強い印象がありますが、同じ時代でもかなりの強弱があるようです。

 2つ目は、名声のバランスの悪さです。名声を上げるためには、アクションフェイズの行動がベースですが、追加のアクションとなるパートナーコマの獲得条件の1つは、規定値まで名声を上げること、もう1つは工場のフル稼働ですが、名声が高いほうが有利です。ワーカープレイスメントなので、アクションが少ないとかなり不利になります。

 3つ目は、会社運営で必要な材料が、簡単にロックできることです。材料はマーケットに並びますが、特定の枠が空にならないと補充されないので、1つ残すと、後の会社に材料を絞ることができます。同じ材料2つで、他の材料1つと交換できますが、それでも足りない場合は、どうしようもなくなります。材料が足りずに生産できないと自動的に無配当になります。

 作者が言うには、材料が絞られることも読みながらプレイすべき、材料を絞るほど現金が余った会社は運営がうまくいっていないとのことですが、材料のカットはそこまでお金がいりませんし、材料を入手できるタイルを獲得すると、その分、他のアクションができなくなるので、人気の上昇などが遅れることなどもあります。現金が足りずに、材料が買えないは仕方がないのですが、十二分な現金があるのに材料が買えないのはバランスとして、問題がありそうです。

 あとは、材料のストックが切れたタイミングで、特定の材料が交換で入手できない可能性もあります。こちらは完全な事故なうえに、対策のしようがなく、インパクトが非常に大きいため、デザインとしてはよくないですね。

 今回は、このあたりの事故で 2強2弱の展開になりました。株価がものすごく下がりやすいので、4ラウンド目から仕手戦に入ることに。焦土作戦に近い形で株を下げましたが、それでも 3ランクアップがあるので下げきらない感じです。とはいえ、3段階アップの条件を割らせられれば、かなり鈍化させることができるようです。

 名声を下げる手段はなく、18XX のような Train Rush もなく、アクションが早くに増えやすいので、名声のある会社がそのまま走りきってしまうという感じになりそうです。少なくてもうまくいっている会社は売り切れ上がりをさせてはいけないでしょう。

 このあたりはBGGフォーラムでも議論されています。材料の保有制限と、購入可能な材料が 3個以下になったときは、$20と$30に1つずつ材料を加算するというものや、必要な材料がない場合、すべての材料を空にすることで、予約領域の材料を $40 で購入できるというのもあります。事故の可能性を考えると、$50〜60 で好きな材料を 1つ入手できる、くらいのルールがないと、根本解決にはならなさそうな気がしています。ここまで値段が高いと、相当会社に資金がない限りは購入しきれませんし。

 ルールブックを見たところ、$10 の材料は買えるだけ買うことをお勧めするとのことなので、会社のアクション終了時に $10 の材料をすべて流すのが、想定されたバランスではないかと思います。

 目標タイルも、ボーナスがそれなりにあるわりに、会社の選択などでとれる条件が限られたりするので、ちょっと微妙かと思ったりとか。タイブレイクに優しい作りになっていますし、株の持ち方にも影響しますし。

 ルールの読み違いがなく、現状のバランスだとすると、18XXゲームとしてはプレイ困難なレベルに入ります。


 というわけで、気になった作品を中心にプレイできました。来週はお休み、以降は作業期間になりそうです。


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