● 西湘ボードゲームサークル 2002年 10月 のレポート ●

 2002年10月26日、のごさんの主催する西湘ボードゲームサークルにおじゃましました。今回は、プレイしたゲームの紹介を中心に、写真を交えて簡単にレポートしたいと思います。
 なお、今回のテーマは「ビジネスゲーム」ということで、私の好きな経済ゲームがたくさんプレイされました。それ以外にもいろいろとプレイしたのですが。

● カルカソンヌ 2

 ちょっとしたアクシデントで、会場入りが遅れてしまいましたが、ぎりぎりでゲームに参加することができました。ゲーム会がエッセン(ドイツのゲーム展示会)の翌週ということもあり、なんとそこでの新作をプレイすることができました。
 今回プレイしたのは、2000年のドイツゲーム大賞を獲得した「カルカソンヌ」の続編です。ルールを聞くのは初めてでしたが、「カルカソンヌ」を知っていればかなり簡単に覚えることができます。

 前作からの変更点ですが、道に対応する川、都市に対応する森、平原の3つの得点要素と、水源に対応するものが増えています。前作では引くと何かとうれしかった修道院がなくなっていました。ただし、得点計算が大幅に変更されています。
 川と森は未完成の場合は 0 点になりますが、少ないマス数でもある程度の得点が取れるようになっています。川の場合は、両端の魚の数が得点に加わることで 2タイルで 4点〜6点をとることができます。また、森も 2マスから 4点入るようになっています。
 平原の得点は動物の数の 2倍の得点とかなり押さえられています。今回はコマの数も減っているということがあって、細かく得点を稼ぐことが重要になってくるでしょう。20点を超える大量得点はほとんどありません。
 タイルはというと、前作よりも変な形のものが多くなっています。平原が切れやすいのがポイントですね。このため、平原で大逆転ということも起こりにくくなっていると思います。
 タイルのイラストの雰囲気としては、秋色といった感じでちょっと見づらくなっているような気がします。前作は私好みのドリス氏のイラストでしたが、今回は違います。
 追加の要素として、森タイルの中に金のマークが入っているものがあり、そこで得点計算を起こすと、得点計算をしたプレイヤーに追加のターンが与えられます。このときに引くタイルは、普通のものとは分けられており、より強力なものが多く入っています。とはいっても、やはり他人の得点を与えてまでとるものではないようです。
 初プレイでは、いきなり魚のある川タイルを大量に引いて、川が強いのではないかという雰囲気が流れていましたが、ただ単に序盤に偏って出ただけのようでした。特殊タイルもそこそこ強力だという印象がありましたね。無理に引くと役に立たないものがでることもあるのですが。
 最後の得点計算は、かなり分かりやすくなっていました。このあたりのルールの整理が今回のゲームのポイントになっていると思います。
 この日は 2回プレイしましたが、得点計算のバランスがよくなっていて接戦になる展開でした。一つひとつの得点をしっかりととるのが大事になっていると思いました。
 1日に 2回プレイしただけのことはあって、かなりいい仕上がりだと思いました。ちゃんと「カルカソンヌ」をやっているという感じもしましたし、正統な続編だという印象を受けました。これは、日本で発売されたらおそらく買うことでしょう。
 前作と同様 3〜4 人でプレイするのがいいと思います。プレイ時間は 60分程度でしょうか。難易度は、前作とほぼ同じかちょっと難しいくらいで、多少経験があれば大丈夫な程度です。

● フォーセール

 すでに入手困難になってしまったゲームですが、手軽に楽しめる競りゲームです。ゲームは 2つのラウンドに分かれており、前半は建物を競りで購入して、後半は競りで買った建物を使ってお金を獲得していきます。
 前半の競りでは建物が人数分出され、負け抜けで価値の低い建物から競り落とされます。ポイントになるのは、直前のプレイヤーと同額をつけることができるのと、最後に落札した人以外は半額(端数切り捨て)のコストですむことでしょう。これによって、抜けるタイミングがシビアになっています。
 後半は、人数分の小切手が出され、全員で建物カードを 1枚ずつ同時にオープンしていきます。建物の価値の高い順に、高い小切手を入手することができます。読みあいの要素がありますね。
 最終的に手に入れた小切手の価値の合計と、前半で残ったお金の合計が得点となり、最も多いプレイヤーの勝ちになります。
 カードの出方によってかなり状況は変わってきますが、競りと読みあいというおいしい要素をおさえた手軽なゲームといえるでしょう。3〜5人でプレイでき、15分程度とかなり手軽なゲームです。そんなに難しいゲームではありませんが、ゲーム経験があった方が楽しめるでしょう。


● マネージャー

 これも入手困難なゲームです。ビジネスゲーム特集にふさわしい、本格的な経済ゲームです。簡単にいえば、会社の経営者になって製品を売ってお金を稼ぐゲームです。このゲームは、どこかのページで紹介されていて気になっていたのだけに、プレイできてかなりうれしかったです。

 ゲームの特徴は、独特な売却システムでしょう。ディスクを使って売却価格を秘密裏に決めるのですが、一番安い値段を付けたプレイヤーから順に売却し、次に安い値を付けたプレイヤーは、直前のプレイヤーから +1000 以内なら売却することができます。
 例を挙げると、5人プレイで 5800 - 6300 - 7200 - 7400 - 8100 とつけた場合は、全員売却することができますが、5800 - 6100 - 7200 - 7400 - 8100 となると、2人目の 6100 までしか売却できません。
 この売却システムは、話を聞いたときに面白そうだと思っていたのですが、実際にやってみると悩む要素と、売れたときの爽快感が得られるという、かなり来るもののある売却システムです。これは本当に面白いですね。
 その他の要素は、材料費が抑えられる工場建設と、株式の購入だけです。株はプレイヤーに対応しており、売却に成功すると、安い方から順に 1 〜 3 段階株価が上がります。失敗すると 1段階だけ下がります。
 自分の会社の株は確実性があるのですが、ダンピングをかけようとするともうけは出ませんし、株価の上がりもどうしても鈍くなってしまいます。株との兼ね合いも売却価格を決める大きな要素となっているようです。
 ゲームの展開ですが、1ラウンド目から 5900 - 7200 - 7300 - 7400 - 7400 といかにもゲーマーらしい値付けが飛びました。そう、下から 2番目にはあまりなりたくないという意識が働くのです。
 あまりに早く設備投資に走ると、株でもうけられないし、設備投資が遅れると売却時にもうけが出ないといったジレンマと闘いながらゲームが進んでいきました。このゲームの場合、株価が最高額近辺で極端に上がるようになっているので、終盤の読みあいも重要になってきます。
 最終的には、最高額まで上がった株を相乗りしつつ、他の株で稼いだプレイヤーが目標の金額に届き勝利しました。私も自社株でがんばっていたのですが、株価の上がりが鈍く 2着で終わりました。
 プレイ人数は 4〜6人がいいのでしょうか。プレイ時間は人によりますが 90〜120分ほどだと思います。ルール自体は単純ですが、ある程度のゲーム慣れは必要だと思います。経済ゲームが大好きな人にはかなりお勧めできるゲームでしょう。値付けでこれだけ盛り上がるゲームもないですからね。

● オリジナルゲーム

 経済ゲームが続いて煮詰まってきたところで、参加者のりんちゅさんが用意した、オリジナルゲームをプレイしました。ひらがなの書かれたサイコロをいくつか振って、出た文字を使ってより長い単語を作っていくゲームです。

 ゲーム的に面白いと思ったのが、1文字だけ好きなものを補うことができることでしょう。これによって、面白い単語ができあがる場合があります。
 例えば出た目が「と」「き」「よ」「う」「う」だったら、そのままの文字で「東京(とうきょう)」ができますし、「そ」を補って「徒競走(ときょうそう)」ということもできます(濁音、半濁音、拗音はもとの文字があれば自由に作れます)。
 単語が思いついたらすぐにいいます。一番長い単語を早くいった人に、使ったサイコロの数だけ得点することができます。
 これは、ワードバスケットとはまた違った面白さがあります。文字がある程度固まっているので、パズル的な要素が強くなりますね。かなり面白かったので、なんとか形になればと思っています。
 あとで思いついたのですが、似たようなものが昔の「マジカル頭脳パワー」にありましたね。確かひらがなの書かれた 16枚のパネルを使って、早い者勝ちで単語を作っていくやつで、使われた単語がどんどん消えていくというやつだったと思います。一番長い単語を作った人にボーナスがありましたね。

● スチーブンソン・ロケット

 西湘では 2回目の「スチーブンソン・ロケット」です。ルール説明をやったのですが、これまでプレイしていたルールが間違っていたことに気づいてかなり焦りましたね。合併のルールが間違えていて、どんどん合併の起こるゲームだということが分かりました。
 イギリスの都市を鉄道で結び、産物を獲得したり、駅舎を路線に取り込んだり、鉄道会社の株を入手したりしながらお金を稼ぐゲームです。会社の合併などは「アクワイア」を彷彿とさせますが、1ターンの重みが違いますね。
 お金を入手できる要素は 3種類あるのですが、どれも重要です。しかし、どれかに偏っていたのではなかなか勝てません。このあたりがライナ・クニツィーアの作品らしいといえるでしょう。

 これまでルールを間違えていたので、かなり新鮮な雰囲気でプレイすることができました。他のプレイヤーが序盤、極端な産物集めに走っているうちに主要路線を延ばしていき、序盤の収入をキープしながら合併で収入を稼いでいきました。
 合併が起こるのはともかく、拒否権がどんどん発動したのも特徴的でした。持論では、2人で経営したほうが会社として安定するのですが、合併が極端に起こるとなるとそうもいっていられないのでしょうか。株と駅舎の 2つの要素がありますが、どちらも重要なのには代わりありません。
 最終的に、19000の配当が出るほど大きな会社に育ってゲームが終了しました。今回は大きな会社が 1つだけとかなり派手な展開になりましたね。最後の会社は株数トップと駅舎 2位タイをとっていたのでそれで、なんとか勝利することができました。
 プレイ人数は 4人がお勧めで、プレイ時間は 75分程度です。やることがシビアなゲームで、経験者向けですが株式の扱いなど戦略的な要素が好きなプレイヤーにはお勧めです。本格的なゲームなので、じっくりとやるのがいいと思います。


 最後にもう一度カルカソンヌをプレイして、時間切れになりました。今回は、経済ゲームということで珍しいゲームを楽しんでこれればと思ったのですが、新作あり、名作あり、オリジナルあり、新しい発見ありと実に盛りだくさんでした。
 このようなゲーム会を開いてくださった、のごさんを始めいっしょにプレイしてくださった 9人のみなさまに感謝します。ゲーム会終了時に「カルカソンヌ 2」の落札会がありましたが、上から 2番目の値段を付けた人が落札という、ゲーム会ならではの落札システムでしたね。私は最高値をつけたので、入手できませんでしたが。


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