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● 実際乗車券のできるまで ●

 2008年7月5日、「実際乗車券」がおこなわれました。この企画は、2008年のゲームマーケットで出展した「東京乗車券」を利用して、実際にゲームで作った路線を回ってみようという、ある意味非常に贅沢な企画です。

 「実際乗車券」の企画の起こりから、実際のプレイの様子までを総括としてこのページでまとめていくことにしようと思います。企画から東京乗車券の部、実際乗車券の部までをすべてまとめるのには時間がかかりますし、まだ現時点でデータも集まっていない状態なので、何回かに分けてお送りすることになりそうです。

 第1回目は「実際乗車券」のできるまでということで、企画段階の話を中心にしていこうと思います。


- 事の起こり -

 事の起こりは、「東京乗車券」のテストプレイがあらかた完了した2008年1月19日のJAGAですね。人数調整に若干時間があったので、今後の生産計画なども考えるためマップを広げていたのですが、そのときに、せっかくの首都圏マップなので自分で引いた路線を実際に乗ってみたら楽しそうだという、うっかりした発言があったのがきっかけでした。

当初の企画は2日制で、1日目に「東京乗車券」をプレイして、2日目の朝集合で 8時間で実際に引いた路線を回るというものでした。

 通過した駅の駅名掲示板を写真にとってメールで送る。目的の駅に行かなかった場合は減点、時間オーバーの時も減点と、大まかなルールはこの時点でいろいろと上がっていました。最後に「東京乗車券」の得点と合計して、総合得点を競うというのも、の時点で決まっていましたね。


- 検討フェイズ -

 とりあえず、アイデアをもらったので、8時間で本当に回れるのかというのを検討してみました。プレイの参考に終了時の写真を撮っていたので、その中から特に回りにくそうなデータを持ってきて、路線検索でシミュレーションしてみたところ、7時間ちょっとで回れることが判明しました。これをやったのは 1/25ころですね。

 企画自体は行けそうだという確信を持ったので、あとは掘り下げていく段階です。

 「東京乗車券」はゲームの都合上、北千住/南千住を千住、南浦和/武蔵浦和を浦和と一部の駅を集約させたり、複数の路線を1つの路線と見なしたりという部分があったのでその処理をどうするかがありました。

 これについては「許容駅」として、乗り換えに使えそうな駅のうちどれか1つでも通っていればOKということにしました。自分で乗ったことのある路線はいいのですが、当然あまり行かないような場所も多く、許容駅としてどんなものがあるかと、東京からの所要時間を調べました。これをやったのが 2/6 ころ。この時点で企画の原案はできた感じです。

 所要時間から、得点の分布を変えて、目的とそうでない駅で得点差をつけるようにしました。このあたりで、関係者にはまとめた企画を出したのですが、いくつか意見をいただきました。

 ひとつは、「東京乗車券」をプレイした翌日に「実際乗車券」では、下調べができてしまうのではという点でした。もうひとつは、ゴールをどこにするかです。これもあらかじめゴールまで分かってしまうと、それを元に計画が立てられてしまうというのが理由としてあります。

 前者については、あとになっていろいろとアイデアを考えたのですが、今回は時間帯をずらすことで無理矢理詰め込んで解決しました。

 後者については、5人プレイを前提に、ゴール駅の候補を決めて、そこから消去法で決めていくという方式を思いつきました。最初に1駅分の情報があるので、スタートからある程度戦略を立てられますし、全員の情報が集まらないとゴールが決まらないという仕組みになっています。

 このあたりまで考えたところで、だんだんゲームマーケットの作業が忙しくなり、しばらく計画を寝かせることになりました。


- 第2検討フェイズ -

 ゲームマーケットが無事終了し、しばらく「東京乗車券」から離れていたのですが、ネタとして暖かい時期にやろうと検討を再開しました。ちなみに、計画当初はゲームマーケット前にやって宣伝効果も狙おうという話もありました。

 あとは、しばらく意見をもらうフェイズになると思っていたのですが、関係者からあまり意見も出なかったので自分から動かないとというのもあり、再開させたというのはありますね。このあたりは「東京乗車券」も同じだったりします。

 ルールなどはほぼできあがっているので、実現に向けた問題点を洗い出すことから始めました。ここで出てきた問題点は、「東京乗車券」のプレイをどこでやるか、集計係は誰がやるのか、全員のスケジュールをどう合わせるかの3点でした。

 1つ目は、結局はいつものゲーム会と同じような感じにしました。開催時期が遅れたのは、状況が落ち着くのを待ったというのもありますね。

 2つ目は、Blogでのリアルタイム更新が使えそうだということで、自分でセッティングすることになりました。実際には、いろいろとアクシデントがあったのですが、このあたりはあとで書く、反省会の部でということになりそうですね。なので、あまり参考にしない方がいいかもしれません。

 3つ目は、もうスケジュールをざっくりと決めて、全員の調整を進めるだけです。なにせ朝早くから夜遅くまでかなりの拘束時間、体力、運賃を要する企画なので、下手をすれば調整が難航する可能性もありました。

 とりあえず、3つとも解決しそうな感じだったのであとは、当日の準備ですね。


- 当日までの準備 -

 当日は、時間もぎりぎりになるということで、事前の準備は大切です。非常時のためにノートPCを持っていくことを考えていたので、荷物もあまり大きくできず、「東京乗車券」本体を依頼したり、データに残すための機材の準備もしてもらうことにしました。

 最終的なルールの調整もおこないました。得点差がつかないというのは判明していたので、地域ボーナスのルールをざっと作ることに。シミュレーションにも時間がかかりますし、テストプレイのしようがないので、本当にざっとしたルールにしています。まあ、バランスとりは実際にやってからというのはありますからね。

 作ったルールをまとめて、企画書とともに全員に配布しました。

 集計シートもあらかじめ作っておき、さらに最終目的地の集合地点と、全体の地図、東京乗車券の地図をプリントアウトして当日配付資料にしました。さらに集計用シートと意外と事前に作るものは多いのです。あと、忘れていけないのは、最終目的地のカードです。これは元のゲームのチケットを利用して書き下ろしました。

 演出面では、Blogでの説明用の簡易版ルールと、ミッション用のメールの文章などを作っています。

 Blogのセッティングも含め、残り1週間から作業を進めていきましたが、時間的にはギリギリという感じでした。そんな状態で、当日を迎えることになったのです。


 とりあえず、できるまでのお話はこんな感じです。とにかく、実際にやってみないと分からない企画だっただけに、手探りで進めていきました。


- デザイナーズノートのようなもの -

 ここからは、デザイナーズノートのようなものということで、コンセプトなどを。

 実世界を使ったゲームというのは、ロマンがあっていいですね。TV番組でもいろいろと企画がありました。24時間制限時間のかくれんぼだったり、鬼ごっこだったり、「逃走中」だったりと見ていて楽しくなります。こういうのを見ると自分でもやってみたいと思ったりすることはないでしょうか?

 「スコットランドヤード」風のこともリアルでできないかという話もありましたが、ちょうど作っていた「東京乗車券」でそういう企画が出てきたので、これはチャンスだと思い進めていったのがきっかけですね。時間も、お金もそれなりにかかる贅沢な企画ですが、やってみたいと思うメンバーはそろいそうだというのはありました。

 あとは、ゲームと実世界をどうリンクさせるかですが、これは企画段階でほぼ決まったようなものでした。雰囲気を楽しむようなゲームなので、得点バランスはとりあえずざっくりと取って、破綻しないようなルールになっていればという感じですね。

 一番の心配は、プレイ中のアクシデントでした。乗車ルールを守ることはルールでも明記していますが、写真撮影は必ず列車から降りてから、さらに、待ち合わせがない限り、今乗った列車に戻ることをルール上禁止しています。

 逆に、リアルタイムでの意外性もあるので、交通手段の制限は逆にあえて設けませんでした。実世界を使うのでこのあたりは柔軟にできた方がというのがありましたから。

 今回は、企画のひとつとして特定少数のメンバーでプレイするようにしたため、性善説で動いてもらうというのを前提にしています。本当に、今回の企画は、この時期の、このメンバーがいないと実現しえなかったのではと思います。


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