トップ > アナログボードゲーム > 雑記
ひさしぶりにゲーム会のレポートがないのと、最近は鉄道ゲームをプレイする機会が多いのでひさしぶりに、ホームページで、まったりゲーム紹介の記事を書くことにしました。
2006年の冬のイベントで似たようなものを寄稿していますが、今回紹介するのは入手可能性などを一切考慮せず、プレイしていいと思った鉄道ゲームとか、なかなかプレイできないが時間を取ってやってみたいものの紹介をと思っています。最近の傾向だと、アメリカ横断鉄道ゲーム会の影響が大きいかもしれません。
適正人数、プレイ時間、難度といったデータ的なものを残しておきますが、主観で書いているのであくまでも参考程度にどうぞ。
適正人数:3〜5人、プレイ時間:60〜120分、難度:★★★〜★★★★★
最初に押さえておきたいゲームは、「乗車券」シリーズです。今回紹介する中では、これを書いている時点で唯一入手可能、かつ、日本語版も出ているという状態です。
カードを使って路線を引き、チケットに書かれた2つの地点を結び得点を稼ぐというのが大きな流れです。手番にできる行動は、基本的に「カードを引く」「線路を敷設する」「チケットを引く」の3つだけです。やることはシンプルですが、路線は早い者勝ちだったり、手札は限られていたりと攻めるタイミングが悩ましいゲームです。
ボードゲーム初心者が、数ゲーム目くらいでプレイするくらいにちょうどいいルールの分量と思いますし、上級者がコアにプレイしてもそれなりに楽しめる作品だと思います。これ自身は長時間ゲームではありませんが、長時間鉄道ゲームの玄関口としていかがでしょうか。
初代「乗車券」は、日本語版が「チケットトゥライド」として出ています。ボード、カードの材質は本家よりも若干悪いものの、値段の安さと日本語化されたボード、説明書は魅力的ではあります。地名が読めるのと読めないのでは、プレイの雰囲気も断然違ってくると思うのです。
個人的におすすめの組み合わせは、日本語版「チケットトゥライド」に、エキスパンションの「乗車券:USA 1910」をつけることです。この組み合わせだと、扱いにくい日本語版のカードが、質もよく、サイズも大きい、インターナショナル版のカードに置き換わります。
また、チケットの枚数も増え、従来の「乗車券」も「USA 1910」も両方とも楽しめるようになります。末永く楽しみたい方にはおすすめのセットです。
「乗車券」シリーズと銘打っているので、他にも何作か出ています。
「乗車券ヨーロッパ」はヨーロッパの都市を舞台としたものです。かなり広いマップと、ゲームの要となる長距離目的地、駅舎、トンネル、フェリーの要素が追加されています。機関車カードがよく使われるようになるため、ねらい所がより難しくなっています。プレイ時間も、難度も若干ですが「乗車券」よりも上がっています。
「乗車券メルクリン」は、ドイツを舞台としたもので、得点チップと乗客、国外の土地、4+の機関車が要素として追加されています。乗客の存在により、これまで価値が低いとされていた短距離路線をつなげることに大きな意味を持つようになります。
ちょっと要素を加えただけでこんなにゲーマーズゲームになるのというくらい、かなり悩ましさがアップしています。プレイ時間も 2時間クラスに上がっていますし、難易度も完全にゲーマーズゲームの域に達しています。
「乗車券:USA 1910」は、前述の通り「乗車券」の拡張カードセットです。チケット達成のボーナスが追加されたことで、長距離路線を引くパワープレイで勝ちきることが難しくなりました。
未プレイですが、3人まで限定の「乗車券:スイスマップ」が最近リリースされました。日本語説明書付きはまだ入荷していませんが、じきに入荷されることでしょう。トンネルや、新しいタイプのチケットが追加されています。
また、北欧限定の北欧マップも出ているとのことです。こちらも2〜3人用のようです。
適正人数:5〜6人、プレイ時間:150分程度、難度:★★★★★★
さて、ここからが長時間の鉄道ゲームに入っていきます。最初に紹介するのは「蒸気の時代」です。
鉄道会社を運営し、路線を延ばし、都市をつなげ、荷物を運ぶことで収益を上げていきます。最終的な勝利得点は、収益と、引いた路線数をベースに、発行した株数がマイナスされます。
このゲームの特徴は、なんといってもシビアな経営にあります。お金は毎ターンの収入で入っていきますが、最初のうちは路線敷設コストがペイできない状態になっています。そこで、株式を発行し資本金を得るわけですが、株を発行すると配当を出さなければならず、下手をすれば自転車操業が始まってしまいます。
収支の折り合いがつくのはゲームが終盤に入ってからで、それまでは規模を小さく運営するか、大きな利益を狙って大規模に運営するかの選択を迫られます。
また、運ぶべき荷物も、十分な量はなく、プレイヤー間で取り合いになります。そのため、下手をすると運びたい荷物がなくなってしまう可能性もあるわけです。
各種行動は、決められたプレイ順でおこないますが、このプレイ順を決めるのは「競り」です。先行はいろいろな意味で有利ですが、その分のコストが経営を圧迫することも十分に考えられるのです。
路線を引いていくタイプのゲームなので、路線を引く楽しさはありますが、中盤以降は荷物を運ぶための都市に入る権利が重要になる場合もあります。交通の要所に路線を引けば他のプレイヤーが使ってくれるかもしれません。
安定経営が最初は絶対にできないという経営難度の高さはありますし、見た目よりも抽象的なゲームなので最初は勝負の勘所が分かりにくい(将来を見据えて荷物を遠くへ運ぶか、維持費を小さくしてそれなりの距離で運営するのかでしょうか)というところはあります。
ただ、このゲームの魅力は、これだけボリュームのあるゲームが 2時間30分くらいで終わるというところにあるかと思います。
現在、第2版が生産されていない状態で、世界的に品薄な状態になっています。第3版リリースのうわさは流れていますが、今のところ発売時期などの情報は入ってきていない状態です。3版ではルールの変化などもあるかもしれません。
適正人数:4〜5人、プレイ時間:4〜5時間、難度:★★★
お次は、アメリカ横断鉄道ゲームのレイルバロンです。プレイヤーは鉄道会社を次々と運営していき、目的地へと列車を移動させお金を稼いでいきます。鉄道会社を購入し、他のプレイヤーがその路線を使うと高額の料金をせしめることができます。最終的に目標金額に達成し、スタートの都市に戻ったプレイヤーが勝者となります。
ゲーム自体は、サイコロを振って目的地を決め、サイコロを振って出た目の数だけ列車を動かすという流れなので、非常にまったりとしていますし、サイコロので目に翻弄される場面も多々あります。
このゲームの面白さは、25を超えるバラエティーに富んだ鉄道会社の存在でしょう。わずか数マスの小さなから、西海岸を覆うような大きな会社まで、いろいろと用意されています。会社によっては特定の都市に独占的に乗り入れており、運がよければ目的地になったプレイヤーから運賃を確実に奪うことができるのです。
勝負が中盤になり、すべての会社が売り切れると運賃が倍づけになり、さらに勝負が派手になっていきます。最終的に目標金額に達成したら、スタート地点に戻るわけですが、このときに他のプレイヤーに捕まると、大量の現金を奪われてしまいます。勝負は最後の最後まで分からない、というわけです。
プレイ時間は、4〜5時間程度とそれなりに時間もかかりますし、厳密な戦略というより、ダイスに翻弄されながら、どれだけうまく会社を購入することができるかという所がポイントなのではと思います。
会社は、東西で全く性質も違います。目的地に選ばれる可能性が高いニューヨークのある地方は、マップの端の方に位置しており、到達できる会社が少ないというのも特徴です。あと、シカゴは交通の要所ですね。西海岸の方は、大きな会社数社で占められており、他人の路線でロサンゼルス行きは地獄だったりします。
気合いを入れてプレイするというより、まったりとプレイするという感じが似合うゲームなのではと思います。やや少ない人数でプレイするといいのかもしれません。
適正人数:3〜5人、プレイ時間:4〜6時間、難度:★★★
だんだん時間のかかるゲームになってきましたが、こちらもどちらかといえばまったりとしたゲームです。アメリカ、カナダの一部とメキシコを舞台とした、路線を引いて荷物を運ぶタイプのゲームです。クレヨンゲームといわれています。
そう、このゲームにはクレヨンがついてきており、路線を引くときはボードに直接クレヨンで線を引いていきます。これがこのゲームの醍醐味なのです。そして、クレヨンは消えやすいので時折線路を補修したりする必要があったりします。
ゲームの流れですが、3枚のカードに書かれている契約を次々とこなして行くという感じです。契約には運ぶべき荷物と、目的地が書かれており、マップ上を移動して目的地まで荷物を運ぶとその分の収入がもらえます。最初は、まっさらな状態なので荷物を運ぶための路線を引かなければならないのです。
最初のうちは、短距離の仕事をこなし、収入が増え路線が発展してきたら、長距離で実入りの大きなものにスイッチしていきます。荷物も地方ごとに、マップの端の方にレアな荷物があり、これを遠くに運ぶことで大きな収入を得ることができるのです。
また、お金を稼ぐと列車を改造して、移動力を上げたり、荷物の積載量を増やしたりすることができます。特にスピードは少ないターンで仕事をこなすのに重要になってきます。
こうして、路線を引き、荷物を運びを繰り返し、最終的に大都市を規定の数だけ自分の路線網でカバーし、目標金額に達成した時点でゲームが終了します。
慣れないうちは、どうやって線路を延ばしたらいいのかとか、特にメキシコの地名に苦しむことが多く、時間がかかりやすいですが、終盤になってくると、完成した路線を淡々と進むのでゲームのペースは断然速くなってきます。1ターンにかかる時間にこれだけ差が出るゲームも珍しいかもしれません。
サイコロを振るタイプのゲームではないものの、これも目的地の組み合わせによるところが大きく、まったりと楽しむという感じのゲームに仕上がっています。終盤にかけて、大仕事で一気に逆転ということもありえるので、あきらめずいい荷物を運べるようにするのがいいのかもしれません。
適正人数:4〜6人(?)、プレイ時間:5〜6時間、難度:★★★★★★★
最後に紹介するのは、長時間鉄道ゲームの王道のひとつと思われる「1830」です。18xxシリーズの基本とも言える作品で、アメリカ東海岸を舞台にした鉄道会社経営ゲームです。
このゲームのポイントは、プレイヤーの資産と、鉄道会社の資産が完全に分かれていることにあるかと思います。会社を運営していくためには、まず会社を設立させなければなりません。その会社の株式を公開し、過半数が市場に出回った状態で会社が設立します。
会社の運営権は、社長が握ることになります。会社の株式を最も所有しているプレイヤーが社長になります。社長になると、路線を引くことや、列車を走らせて収益を上げることができます。収益を上げた場合、株主に配当を出すことで、プレイヤーにお金が入ってきます。また配当を出すことで株価も上がります。
会社の運営は、簡単ではありません。1830年代の鉄道馬車から始まり、ディーゼル車までの時代を歩んでいくわけですが、古い列車は時代遅れとなり廃棄されてしまいます。列車は会社のお金で買う必要がありますが、いつまでも持てるようなものでもないのです。
また、会社を運営するためには必ず列車が必要になります。時代遅れで列車がなくなってしまった場合、どこかから調達しなければなりません。資金不足の場合は社長が責任を取って自腹で列車をお買い上げいただくことになってしまいます。
会社の資本金は、設立時に決めることができます。安い資本金で設立すると早く会社が建ちますが、資金繰りに苦しくなります。逆に高い資本金で設立すると、時期は遅れる代わりに、豊富な資金を持つことになります。
さらに、鉄道会社にはトークンがいくつかあり、これを都市に配置することで他の鉄道会社の通り抜けができなくなります。また、自分の会社は、必ずトークンを通って運行しなければなりません。路線引き、トークン配置は収益を上げるために重要です。
ゲームが進むと会社間で列車を買うことができるようになります。このとき、相手の同意が得られれば、金額は自由に設定することができます。なので、自分で2社持っていれば、うまく列車を移動させることで現金を移動させて、厳しい会社を助けたりすることもできるのです。
最終的に、誰かが破産するか、銀行の資金がなくなってターンが終了した時点でゲームセットです。このときに総資産が一番多いプレイヤーが勝者となります。
運の要素が全くない、シビアなゲームではありますが、路線を引く、運営するなど分かりやすい要素になっていて、運営している実感があります。
プレイ時間は、5時間〜6時間くらいでしょうか(展開に依存します)。時間的にもかかるゲームですし、ボリュームもかなりあるゲームですが、充実感は十分に得られるゲームだと思います。絶版なのが非常に惜しいゲームですね。
というわけで、今回は最近プレイした鉄道ゲームから、重いゲームを中心に紹介していきました。鉄道ゲームは何とも言えないロマンのあるゲームが多いですね。プレイ時間のかかるものも多いですが、じっくりとプレイするのにいいのではと思います。
トップ > アナログボードゲーム > 雑記