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● アメリカ横断鉄道ゲーム会 ●

 2007年9月15〜16日にかけて、アメリカ横断鉄道ゲーム会を行いました。発案は非常にうっかりしたところから始まりました。北アメリカを舞台にした鉄道ゲームをまとめてプレイするという企画で、あっという間に開催の運びになりました。

 プレイしたことのあるゲームから、そうでないゲームまで盛りだくさんでお送りしましょう。なお、この企画は大会形式になっており順位点がつけられています。


●トランスアメリカ [play:game]

 はじめにプレイしたのは、トランスアメリカです。目的地をいち早く路線で結んだら勝利というシンプルなゲームです。ターンの行動も線路を引くだけというきわめて簡単なゲームですが、いつ他のプレイヤーと手を結ぶかの駆け引きが重要になってきます。

 ヒストリカルな設定はありませんが、ボックスアートを見るにゴールドラッシュ(1848年ころでしょうか)を思い起こします。

 プレイを始める前に、作者の Franz-Benno Delonge氏が 9/2 に亡くなったとのことで、黙祷をしてからの開幕になりました。「ビッグシティ」などが代表作でしょうか。

 必要なターン数はおおよそ、目的地の組み合わせで決まるわけですが、他のプレイヤーがうまく路線を引いてくれれば短縮されるかもしれません。特に、路線をつなぐのは自分からつなぐよりも、誰かにつないでもらった方がいいということで、それとなくおいしそうな振りをして、自分の利益を追求するという感じになっていきます。

 川や山を渡るときには、手数がかかってしまうためなるべく効率のよい引き方をするようになっていきます。アメリカの地形は、東海岸はすぐに山にぶつかり、西側には大きな山脈があります。中心日はミシシッピー川、ミズーリ川が走っておりますが、大平原が広がっているという感じです。

 このあたりの地形の特徴は、別のゲームでも関わってくるということで、アメリカを舞台にしたゲームをプレイするときには覚えておいて損はないでしょう。

 プレイの結果ですが、2戦目で大きなアンダーが見られましたが、ほぼ順当に西海岸の目的地を制したプレイヤーが勝利していました。ロサンゼルス、サンディエゴあたりが目的地に選ばれたりすると、人数の関係で厳しくなることが多いようです。

●乗車券 USA 1910 [play:game]

 お次は、60分クラスでは定番でしょうか。「乗車券」です。バンダイの日本語版マップに、USA1910を組み合わせてプレイしています。

 1910年のアメリカを舞台にしており、アメリカ全土を鉄道で旅行し、目的地を踏破してポイントを稼いでいくというものです。旅行といっても、コマが動くタイプではなく、コマを配置して行くタイプのゲームです。

 このゲームのポイントは、目的地をいかにうまく達成するかにあるでしょう。路線を引くには力を蓄える必要がありますが、1ターンに1本しか路線を引けないのと、路線は早い者勝ちなので、攻めどころが難しかったりします。多人数の場合は妨害されることもあったりします。

 あとは、中盤以降のチケットの引くタイミングも重要になってくるかもしれません。長距離路線を一気に引いてとにかく時間を短く、路線効率をよくして勝負する方法もありますし、チケットで目的地を達成してボーナスで差す方法もあります。

 今回は、チケットが引かれる展開になりました。東西に延びる路線を引いたプレイヤーが、チケットを引いたところ 3枚とも獲得したということで、一気に時間のかかる展開にシフトしたようでした。これは、どちらかというと長距離路線を引けたプレイヤーが長期戦に持ち込んだため、必然的にそうなったという感じですね。

 こうなると、いかに効率のよい路線を引き、いかにチケットを引けるかがそのまま勝負を分けました。チケットの達成枚数がそのまま順位にというゲームになりました。

 このゲームの場合、マップは各都市の位置関係と距離感がポイントになってきます。マップのすみにあるマイアミは入れる場所が決まってくるので、早めに通る必要があります。また西海岸に抜ける山脈は路線が長めに設定されております。南北の国境近辺も長距離路線が多いですね。

●ユニオンパシフィック [play:game]

 3戦目は、ユニオンパシフィックです。ユニオンパシフィック(Union Pacific)は、1865年の設立されたアメリカの鉄道会社で、今では 23の州を走る北アメリカ最大の鉄道会社です。

 ゲームの内容ですが、ユニオンパシフィックと、それ以外の架空の会社の鉄道網の勢力争いを示した、配置決算系のゲームです。「乗車券」シリーズと同じ Alan R. Moonの作品で「エアラインズ」からのリメイクになっています。

 基本的に、株式を公開していき、公開した株の会社を成長させていくという感じですが、公開か成長かはどちらかしかできないので、そのあたりが悩ましいところです。また、決算のタイミングはランダムに決まるということで、どこで公開したらいいかがさらに難しくなっています。

 序盤は、比較的まったりとした感じでしたが、大会社にあまり絡めず、小さな会社を独占で伸ばしていくような展開に。それでは終盤厳しくなるので、ユニオンパシフィックの株を持つことに。

 中盤は、比較的競争は低かったものの一緒に伸ばすプレイヤーも出ずに、収入額に若干の不安がありました。ユニオンパシフィックは票読みができたのですが、公開できないタイミングで決算が立て続けに2枚出て、2位タイという結果に。

 最終盤は、大会社に絡めず、収入が減らないうちに早めに終わって欲しいと思ったら、比較的ベストなタイミングでゲームセットでした。

 ふたを開けると、要所で得点を稼いでいたのと、小さな会社の独占決算が立て続けに出たこともあり、トップで終了していました。

 ユニオンパシフィックがあるので、中盤まではゲームが重くなりますが、売り切れた後は必然的にゲームが進むので、読めない終わり方に心を悩ませるという感じになりますね。決算のタイミングが読めないのは好き嫌いが分かれそうですが、以前「エアラインズ」をプレイしたときより、そのよさが分かったような気がしました。

●レイルバロン [BGG]

 4ゲーム目はレイルバロンです。鉄分の日などでも何回かプレイしています。目的地に向かって移動し、賞金を稼ぐゲームです。ここまでの説明だと初代「桃鉄」に近い感覚かもしれません。ポイントは、鉄道会社の購入にあります。他人に鉄道を使わせると大きな収入になるのです。

 このゲームの特徴は、大小あわせて 28の鉄道会社があることです。鉄道網も東から西へと延びてきたことがあり、会社の編成は地域によって特徴があります。

 ニューヨーク近辺は、小規模な会社がそろっています。この地域は目的地になる率が高いのですが、外からニューヨークに入れるのは、PAとNYCしかありません。この2社はそれなりに値段が高く重要な路線になっています。ボストンを結ぶ NYNH, B&Mはごくごく短い会社ですが、目的地の率の高さが光ります。

 フロリダ近辺は、SOU, SAL の2社で構成されています。マイアミに入る会社は1社しかありません。中部は、中小会社が多く存在し、ルートどりも豊富に用意されています。シカゴは交通の要所で多数の会社が入り込んでいます。シカゴより西と東で大きく分かれるような感じです。

 西海岸は一気に発展したこともあり、UP(ユニオンパシフィック)、AT&SF(サンタフェ)、SPの3社が大きなシェアを持っています。価格もゲーム中で一番高い部類に入ります。北部は、CMSTP&P、NP、GNの3社ですが、どこからつながっているかなどが微妙に違い、他の会社との相性もあります。

 最初の目的地と、会社経営は重要で、主要路線がどんどん取られていきました。今回は大事故に遭うプレイヤー破損なにいなかったものの、サイコロので目での事故が結構大きく、4社だけといううっかりした展開になりました。

 このゲームで強いとされている PAと、AT&SFはバラバラの所有状態になりました。1人ものが買えていないプレイヤーが出て、厳しい展開を強いられましたが、それ以外はそれなりに回れる感じになりました。

 ゲーム中盤あたりから、いかに自分の路線で稼ぐことができるか、いかに変なところが目的地にならないかがポイントになります。こちらは、4社で SAL, NP, SP, CRI&P という所有状況。西側は、ほぼカバーしていますが、目的地になりやすいニューヨーク近辺が全く所有できなかった状態に(タイミングで B&Oがとれませんでした)。

 マイアミコンボや、利用されやすいSPの配置で収入を獲得していったのですが、目的地の兼ね合いで出入りが激しい感じに。一番最初に 150000を超えましたが、そこから難所が続き、西海岸でハズレとなるラスベガスを引いたため、最後の足が鈍り 3位で終了でした。

 トップは、他社経営だったものの、西の所有が極端に薄いプレイヤーが取りました。目的地でサンフランシスコとかを全然引かなかったのが勝因だったかもしれません。西側は、走らされるとかなりの出費が出てしまいますから。NYCも強いといえば強いですが、終盤に2連続でNYCの独占路線を獲得したのが一番だったかもしれません。

 プレイヤーもけっこう慣れていたこともあり、思ったよりも時間がかからずに終わりました。このゲーム目的地の妙は結構ありますが、まったりと楽しめる作品ではないかと思われます。


 1日目は、この時点で 20:00 を回ったため、1830の説明をやって終了となりました。ちなみに、ゲーム紹介を中心にやっていったので幕間でプレイの状況などを。

 今回は、開幕前からいろいろとネタが飛び出したりしましたが、ゲームごとの勝者に「ついにニューヨーク」の旗が、敗者に「東京直行」の旗が自分の席の前に置かれるようになっています。

 特に午前中は、トークも思いっきり飛ばしていますね。全体的にテンションが2割ほど高いのではと思われます。長時間ゲームですから、淡々とプレイするよりもある程度卓を暖めてという感じになりますね。


 というわけで、2日目です。ゲーム数が多く残ってしまったので 10:00集合でスタートとなりました。

●エンパイアビルダー [play:game]

 5戦目は、エンパイアビルダーです。初プレイのゲームですね。こちらも北アメリカが舞台ですが、メキシコも含まれます。いわゆるクレヨンゲームです。クレヨンを使って路線を引き、引いた路線に列車を走らせて荷物を運び届けてお金を稼ぐという Pick up and Deliver のゲームです。

 全員が初プレイというのもありましたが、序盤は特にどう路線を延ばしたらいいかが分からず、主に路線引きに時間がかかっていました。平地は、コストが安くすみますが、山に入ったり、川を越えたりすると値段が跳ね上がります。この路線を引く感覚がたまらないのです。引き間違ったときのためにティッシュが必須なゲームでもあります。

 探りながらのプレイですが、初期配置で中南部からメキシコ方面に一気に路線を延ばしたのが、結果として神の一手になりました。比較的効率のいい路線ができあがり、早々に移動力を挙げることに成功、軌道に乗せることに成功しました。

 このゲーム、荷物は遠くに荷物を運ぶと収入が高くなっていますし、一部レアなものは収入が高めに設定されています。それらをいかにうまく運ぶかがポイントになってくるのです。

 メキシコはというと、(取ったのは中盤ですが)コーヒーが唯一とれる場所ですし、織物(textile)も他ではとれません。あとは、タバコ、ボーキサイトなどの生産地を押さえていたのが後まで響いてきました。

 大都市の侵入は遅れましたが、カンザスシティ、シカゴを足がかりに五大湖を渡ってニューヨーク入り、シカゴから一気にカナダを通って、西海岸への道と大陸全土にネットワークを広げることになりました。当初は、メキシコ方面からロサンゼルス入りと思ったのですが、いろいろな兼ね合いがあったので。

 サンフランシスコ入りしてからは、サンフランシスコの銅、ポートランドのニッケルが主な収入源になりました。南部に戻って、タバコを運んでという感じでドル箱路線ができつつあったのです。

 終盤、目的地の関係でロサンゼルス入りした方が得になるということで、路線を延ばしてぐるぐる回れるような形になりました。これにより、多額の建設費がかかり、出遅れたもののコーヒーで 70万ドル、ニッケルで 70万ドルとドル箱路線になっていました。

 一方で、こちらが引いた路線を使って 50万ドル使って 100万ドル以上稼ぐという戦法を使われ、トップ争いが怪しくなってきました。目標金額突破寸前で微妙な二択をかけられたり、全交換連発で、列車が止まったり、デッキが尽きたり、川が氾濫したりと大きな動きがありました。

 最終的には、変なカードを引かれず、コーヒーをカンザスシティに運んでゲームセットでした。

 プレイ時間は実に 7時間30分もかかりました。序盤は路線引きに時間がかかるのと、主にメキシコの地名でどこに何があるか分からなかったり(グアダラハラとかは、桃鉄USAでもでましたね)が一因だったようです。

 ボードも多少検索しにくい悪いこともあり、それを改善して慣れればもっともっと短くなるでしょう。これも、時間がかかるゲームですが、名作といわれるだけのことはあると思いました。

●1830(ショートゲーム) [play:game]

 時間の都合により、ショートゲームでの1830になりました。これがラストゲームです。最近よくプレイしていることもあり、説明は若干省略します。文字通り 1830年からのアメリカの東海岸を舞台にした鉄道会社運営ゲームです。レイルバロンで登場した、NYC, PRR(PA), NYNH, B&M, B&O, C&O が登場します。

 ショートゲームは、銀行の持ち金が半分ですが、それ以上に 6までしか列車が登場せず、4の列車が消えないのが大きいです。序盤は、B&O, NYNHに加えて、PRRが設立され、3社の展開に。しばらくしてPRRの会社所有権が飛んで、NYCが立ち、さらに配当金の関係で B&Mが設立されるかなり早い展開になりました。

 ニューヨーク近辺は早めに育ち、B&O, PRR が協調する形になりました。配当は、列車2つの会社が 200後半から300台をたたき出し、それ以外が 200強という感じでしょうか。

 早い展開なのと、列車が飛ばないのが確定したせいか、株の持ち方が固まり、あっという間に最後のオペレーションラウンドになりました。最後に設立された C&Oはシカゴ効果で収入をぐんぐん上げたものの、若干遅かったですね。逆に、ニューヨーク近辺が固まった状態になり、長い展開だとじり貧になっていたことでしょう。

 結局、100ドル設立と、ゲームを通して 2両以上が走り、ニューヨーク入りができて優秀な配当を出していた B&O の所有者が逃げ切りました。会社乗り換えのために売られた株をひろって経営できたのと、PRRとの協調姿勢がとれたのが勝因でしょうか。


 2日目は、21:00過ぎくらいに終了しました。エンパイアビルダーがかなりの長時間になったため、1ゲーム少なくなってしまったのですが、十分に堪能できたのではと思います。ちなみに、高配点のエンパイアビルダーで勝利、1830は2位で、優勝旗を持ち帰りました。

 今回の企画は非常にうっかりしたところから始まったわけですが、2日で3日間くらい楽しんだ感があり非常に満足です。やはりアメリカの鉄道ゲームは夢がありますね。


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