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● 惨敗ゲーム会 (2006年4月) ●

 2006年4月1日、エイプリルフールではありますが、ウソは全くなしで、先週のゲームマーケットで惨敗したゲームをプレイする「惨敗ゲーム会」を実施しました。さっそく、レポートをお送りしましょう。


●乗車券メルクリン [play:game]

 最初は、プレイしたかった作品からということで、乗車券シリーズの最新版「乗車券 メルクリン」をプレイしました。

 「乗車券」は、カードを集めて路線を引き、チケットに書かれた地点をつなげてポイントを稼ぐというゲームです。ルールはシンプルですが、路線を引くのは早い者勝ちということもあり、どこでカードを引いて、どこで路線を引くかというタイミングが重要になってきます。

 「乗車券 メルクリン」は、鉄道模型会社のメルクリンとのタイアップ版で、ドイツを舞台としたゲームになっています。基本的なルールは「乗車券」と同じですが、新しい要素がいくつか追加になっています。

 まずは「乗客」です。路線を引く際に乗客を配置することができ、1ターンを使って自分の引いた線路沿いに乗客を移動させることができます。乗客を移動させると得点が入るという仕組みになっていますが、早い時期に移動させたほうが高得点なのです。また乗客カードを使うことで、他人の路線を借りることができます。

 あとは、機関車のバリエーションです。4本以上の長い路線限定の「機関車4+」が増えました。従来は、機関車を補充するときはカード2枚として扱っていましたが、機関車4+は1枚として扱います。これにより、長距離路線が若干引きやすくなりました。

 細かいところとしては、タイアップ版ということで、カードに書かれている鉄道模型の絵が全部違います。パッケージにDVDが入っていたりと、本当に力を入れてきていると思います。

 ゲームの方ですが、今回の参加者は全員「乗車券」経験者ということもあり、ルールの説明自体はかなりスムーズにできました。

 問題になるのは、やはり乗客の扱いです。首都のベルリンは高得点ですが、ベルリンに至る道は長距離路線なので引きにくいというジレンマがあります。西側は短距離で色指定のない路線が多く、そこそこ得点のはいる都市がそろっています。乗客の争いはこのあたりが激戦区になってきているのです。

 私が最初に乗客を動かしたのですが、一番最初にある程度の長さを移動させるのが効率がよさそうな感じですね。となると、線路を作るタイミングまで重要にも関わってきて、悩ましさが格段に上がっています。

 あとは、マイナーチェンジとして目的地カードの扱いでしょう。短距離、長距離が分かれているのはヨーロッパ版と一緒ですが、短距離路線は西側に固まっているようで、路線の得点が低いのを十分に補えるような作りになっています。

 私の場合、長距離路線が効率よくこなせそうな感じ(2枚で 40点くらい)だったので、以降の目的地争いには参加しなかったのですが、このあたりは戦略の幅が広がっていると思います。今回は長距離路線の数が多いので、路線の得点で稼ぐというやり方も十分に考えられます。

 乗客を動かし切った後は、乗客カードはいわゆるハズレカードになってしまうので、山札から引くという行動も抑制されているのではと思います。中盤から終盤にかけての展開は、シリーズ随一の悩ましさになっていると思いました。

 今回は、異なる方向性での得点争いという感じになり、結局2点差の勝負になりました。プレイ時間は 2時間弱だったでしょうか?

 これは、うわさ通りよくできていると思いました。乗客の要素が入り悩ましくなったため、プレイ時間は 90分クラスと見ていますが、ボリュームたっぷりの作品に仕上がっていると思いました。ゲーマーズゲームという観点でいえば、すばらしい作品だと思います。

 「乗車券」は初心者からでも楽しめる作品ですが、こちらはすっかり上級者向けの作品になっています。「乗車券」→「乗車券ヨーロッパ」→「乗車券メルクリン」という、同じシリーズを軸にしたステップアップの図式ができあがってもおかしくないかと思います。


●クォーター・クエイク

 昼食をはさんで、お次は国産ゲームから「クォーター・クエイク」をプレイしました。

 サイコロ4つを振って、出た目に応じて土地を獲得し、決められた形の建物を建てていき、最終的に自分の土地すべてに建物を建てて行くのを目指すゲームです。Windows版のシェアウェアとして出ているものの、アナログ移植になります。

 実は、このゲーム発売が決まるという情報を入手してから、体験版を10回近くプレイしています。デジタル版の場合、処理は全自動なのですが、アナログ化したときにどこまで重くなるかというのが見所かと思いました。

 ゲーム自体はというと、ダイス運によるところは多分にありますが、ある程度の形になってからの攻めどころがポイントになるのです。建物の選択、立て替えのタイミングなどが肝ではありますが、惜しむらくは何回かプレイしないと勘所がつかみにくいところでしょうか。

 やはり、デジタルゲームをそのままアナログにしているので、何かと処理が重くなりがちです。Revolutionでカード切り直しというのが一番面倒な気がします。

 ゲームの方ですが、全員何らかの建物が建ったのですが、私が振り込み先行になってしまいいわゆる「かわいそうなプレイヤー」になってしまいます。勝負の形に持ち込めずに、Revolutionで粘ったものの破産終了になってしまいました。

 終盤は、実質 2人の争いになりましたが、最後は 25マスの建てきりで決着がつきました。収入2倍の効果であわや、ゲームセットにならないという事態も起こり、このゲームらしい終わり方になったのではと思いました。

 私は、Windows版を何度もプレイしていたので、対人戦の面白さもちゃんとあると思いました。できれば、Windows版を何度かプレイして、勘所をつかんだ状態にしておくといいでしょう。

 こんなゲームで、こんな楽しさがあるというのが分かっていれば、納得できる出来の作品だと思いますが、処理の重さはかなりマイナスポイントになっているかと思います。この手のゲームであれば、60分クラスであれば十分楽しめると思うのですが、実質のプレイ時間は 2時間くらいかかりますね。

 序盤の作業時間を短くするという点では、「同じブロックには1つ」という制限で、カタン式に初期配置をするのがいいかと思います。プレイ時間の兼ね合いで行くと 2〜4巡くらいでしょうか。

 あとは、振り込みの時のゲンナリ感をどうにかしたいところでしょうか。お金が減ると建物が建てにくくなるので、「同一ブロックの空いているマスを1つ獲得できる」くらいのメリットがあってもいいかもしれません。どちらも、想像の範囲を出ませんが、プレイ時間を短縮する働きは少なからずあるのではと思います。

 プレイ時間の練り込みは甘い感じがしますが、クラシックなゲームとして考えると名作になりうる要素を持っているかと思います。15〜20年くらい早く出ていたら、また違っていたのかもしれません。


●犬夜叉アクションダイス [play:game]

 アニメ「犬夜叉」をモチーフにしたダイスゲームです。なんとKnizia原作のゲームです。

 ボックスからキャラクター満載のゲームですし、ダイスゲームということもあって、縁起物なんだろう、とは締めは思っていました。ルール説明を聞いても今ひとつ勘所がつかみにくいという印象がありました。

 簡単に言えば、ダイスを使った Majority and Conqure (多数派支配) のゲームです。ダイスの目に応じて敵にダメージを与え、より多数のダメージを与えた方にポイントが入るという仕組みになっています。なので、仕組み自体は非常に単純です。

 単純な仕組みの割に、ダイスに特殊な目が多く、効果も若干分かりにくいということがあるわけで、とりあえずやってみてからという感じになりました。

 もともと 2人プレイで、4人の時はチーム戦になります。ついたては 2つしかついていないので、ボックスのふたと、裏ぶたがついたてになります(と、本当にルールに書いてあります)。いろいろな形のダイスを、プレイヤーに割り振ってゲームスタートです。

 いざ、プレイしてみると、どのダイスを振ったらいいかというのが実に悩ましいのです。ダイスは使い切りですが、ダイスを振らないで手番をパスすると、自分とチームメイトのダイスが復活するので、休みどころも重要になってきます。

 悩まずにダイスを振って、出たとこ勝負というのとは正反対で、どのダイスを使って行けばいいか、どこで息を抜くかというのがポイントのゲームだったのです。

 変な形のダイスで、プレイヤーごとに細かく振り分けているのはこのことか、と納得できるほどダイスに無駄な目がありません。実はかなり悩ましいリソースマネージメントのゲームだったのです。

 プレイして、何でスルーしたのだろうと思ったのでした。本当にこれは「参りました」としかいいようのない作品ですね。プレイ人数の幅はそんなに大きくありませんし、そのままプレイすると若干やりにくいのですが、工夫することで、より手軽で悩ましく面白いゲームになりそうです。


●数独 (Knizia) [play:game]

 最後は時間が少々余ったので、こちらも Knizia の作品から、欧米で大人気の「数独」をプレイしました。

 「数独」というと、マスの中に数字を埋めていくパズルなのですが、これは数独をモチーフにしたボードゲームになっています。タイルを引いて、数独のルールにしたがって配置して得点を稼ぐというきわめて簡単な作りです。

 パズルをイメージすると拍子抜けしてしまうほど、タイルの引きに左右されるゲームではあります。が、うっかりしていると高得点を逃してしまうこともあったりするのです。ゲーム自体もきわめてスムーズに進行し、タイルがどこにも置けなくなる「詰み」の状態になってゲームセットです。

 プレイした感想は、「数独」と考えていると間違いなく拍子抜けするかと思います。タイルの引きの要素は強いのですが、まったりとプレイするのにはいい感じのゲームではないかと思いました。


 というわけで、4タイトルでしたがそれぞれに方向性の違う新作がプレイできたのではと思いました。やはり新作をプレイできる機会は大事ですね。今後も、イベントの直後に企画できればと思います。


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