2004年4月に新発売になった、スタンダードカタンとポータブルカタンの比較検証になります。ボックスの内容と、旧バージョンとの違いを中心に紹介していきましょう。
文中の「旧カプコン版」は 2002年にカプコンから発売されたバージョン、「クラシックカタン」は 1995年のドイツ語版/トライソフト版を指します。
まずは、外観から。外箱は旧カプコン版より横幅がちょっと狭くなっています。タイル類が重いので、持ってみると意外と重く感じるかもしれません。値段は 3780円(税込み) と国産ボードゲームらしく手頃です。
コンポーネントのサイズは、マップ関係はスタンダードカタンと同じで、カード関係は旧カプコン版と同じサイズになっています。
サイコロはプラスチック製のものが 2つ付いています。今回はカプセルはなく、サイコロがそのままはいっています。開拓地、都市、街道はプラスチック製で目に易しくはないが、なくしにくい蛍光色です。開拓地、街道の底面には出っ張りがあり、タイルを組み合わせたときにできる穴にきれいにはめることができます。
土地タイルは、スタンダードカタンの 1.5倍の厚さがあり、6つの頂点部分は、コマを固定させるための穴が開いています。片面印刷で数字チップは印刷されていません。マップのところでも紹介しますが、今回は 19枚独立のタイルになっています。
カードは、旧カプコン版と同じです。コンポーネントが大きくなっているので、以前のようなアンバランスさはあまり感じられなくなりました。
旧カプコン版では、2パーツはめ込み式のマップでしたが、スタンダードカタンでは 19枚のタイルを自由にシャッフルして組み合わせることができます(クラシックカタンと同じです)。
数字チップも 18枚が独立して付いています。生産力のドット表記も、アルファベットも付いているのでクラシックカタン風に配置することもできます。ちなみに、日本語版では完全ランダムで 6 と 8 が三角形に固まるとやり直しになります(クラシックカタンの配置法も説明されています)。
港ですが、外周の海とセットで 6つのパーツに分かれています(凸タイプ 3枚、凹タイプ 3枚を組み合わせる)。片面印刷なので、港の組み合わせは概算で 12通りになります(ループしていることと、凸凹の順でつながないと組み立てられないのに注意)。構造上、3:1港が 4つ以上、特殊港が 3つ以上続くことはありません。
マップの組み立ては、港タイルを先に組み立ててから、土地タイルを入れていくようになります。最後の土地タイルを入れるのが大変かもしれませんが、いったん組み立てるとゲーム中にずれることはありません。
付属のルールブックについては、旧カプコン版から質が高いと思っているので、特にコメントすることはありません。
携帯性ですが、タイルが独立になったこともあり、クラシックカタンに近いくらいの携帯性はあります。タイルも大きめで丈夫なので、ゲーム会への持ち出しにはいいかもしれません。細かいところでは、コマが色別に袋に入っています。コマはなくしやすいので、こういう配慮はうれしいですね。
日本語版ではあまり考慮しなくてもいい、拡張性についてですが、コンポーネントのサイズが同じになったので、無理をすれば拡張可能になりました。さすがに海カタンは厳しいですが、都市と騎士あたりならけっこう快適にできるかもしれません(城壁の上に都市がのらなくなりますが)。
外観は、さすがにポータブルです。厚みはありますが、ポケッタブルシリーズとかのサイズと同じか一回り大きいくらいでしょうか。お値段も 1334円とかなり安くなっています。カードゲームに匹敵するくらいの値段です。
サイズ自体は「ポータブルカタン」と同じか一回り大きいくらいです。ボードは2つ折りになっており、広げた状態で固定することが可能です。
土地タイルと港、泥棒コマの裏にはマグネットが付いておりボードや土地タイルにくっつきます。開拓地、都市、街道、数字チップにもマグネットが入っていて、土地タイルにくっつくようになっています(ボードにはつきません)。
建築コストの脇には、コマを置くスペースがあるのですが、コマは建築コスト表にくっつくようになっているので、しっかりと管理することができます。さすがにコマは 1枚板なので、ちょっとチープな感じがします。手で取りはずすとけっこうバリが残るので、気になる方は注意です。
マグネットの強度ですが、コマと泥棒、数字チップを置いた状態でボードを逆さにしても 1つも落ちませんでした。風などで飛ばされる心配もありません。
カードは短冊状になっています。サイズは小さいのですが厚みはそこそこありますね。シャッフルはさすがにやりにくいのですが、手に持ったときは意外としっくりと来ます。デザインの都合で裏面の印刷が若干ずれることがあります。チャンスカードと資源カードの境目が気になるかもしれません。
コンポーネントを丁寧に袋に入れて、ボードをたたんだら、入りきれなくなりました。まあ、ちょっとした工夫で外箱に入れることはできるのですが、人によっては気になるところかもしれません。
マグネットとはいえ、コマはなくしやすいようです。コマ置き場に全部くっつけた状態で袋に入れると、だいぶなくしにくくなるとは思います。
ちなみにサイコロは、小さいものが 2つ付属しています。コマがずれないので、ボード上で振るのもありかと思います。
土地タイルは、3つのタイルからなる三角形のパーツが 6つで、裏がマグネットのため片面印刷になっています。砂漠は中央に固定ですが、これは大きな問題にはならないと思います。マップの組み合わせは概算ですが 87480通りだと思います。
港は、ボード上に 3:1 港が印刷されており、特殊港を重ねるという形になります。論理的にはクラシックカタンと同じことになり、組み合わせは概算で 1680通りでしょうか。どう配置するかでちょっと悩むかもしれません。
数字タイルは、土地タイルにも印刷されていますが、ちゃんと 18枚用意されています。コマと同じく裏面はマグネットで、アルファベットも、ドット表記も付いています。このあたりは本格的です。
ルールブックは 2色刷ですね。図が少なめではありますが、十分な情報は書いてあると思います。
携帯性は、ポータブルというだけあってかなり高いです。カードゲーム 2つちょっとのサイズで納まるはずです。トラベルカタンの正方形の箱とくらべたらいうまでもないです。プレイアビリティーもある程度備わっているとおもいます。
拡張性については、このセットでは考えなくていいでしょう。拡張するのが目的のセットではないですし、十分なマップバリエーションも作れますから。
今回も特徴をまとめてみます。クラシック、旧カプコン版、スタンダードカタン、トラベルカタン、ポータブルカタンの 5つの比較です。あくまでも主観の評価なので、参考程度に。
項目 | クラシック | 旧カプコン | スタンダード | トラベル | ポータブル |
---|---|---|---|---|---|
携帯性 | そこそこ | やや低い | そこそこ | やや高い | 高い |
マップの大きさ | 大きい | やや小さい | 大きい | 小さい | 小さい |
マップの安定性 | やや悪い | ややよい | よい | よい | よい |
カードの大きさ | そこそこ | 大きい | 大きい | かなり小さい | 小さい |
プレイしやすさ | しやすい | そこそこ | しやすい | ややしにくい | そこそこ |
準備の早さ | そこそこ | はやい | やや遅い | そこそこ | そこそこ |
ルール | やや読みにくい | 読みやすい | 読みやすい | 読みにくい | そこそこ |
スタンダードカタンはクラシックとほとんど同じ性能です。入手しやすさ、拡張性、デザインの好みなどで分かれるかもしれません。ポータブルカタンの性能は携帯用のトラベルカタンよりかなりいいと思います。
スタンダードカタンとポータブルカタンの用途などを中心にちょっとまとめてみます。
スタンダードカタンですが、日本語版独自の癖のある部分がかなりなくなったと思います。これは個人的にはうれしい変更だと思います。「カタン」を取り巻く環境が変わり、値段も安くなったので、「カタン」単体で楽しむなら、よほどのことがない限りスタンダードカタンという選択になるのではと思います。
用途としては、ゲーム会などを中心に持ち込んだり、紹介したりと外に出すことの多いプレイヤーに向いているかと思います。プレイアビリティーも高いので、新規プレイヤーへの紹介にもいいですね。
一方のポータブルカタンですが、旅行の時に荷物を減らしたいという用途が主だと思います。まあ、多少の荷物を犠牲にして大きなカタンを持ってくることもままあるわけですが。
さらに、値段の安さも相まって「試しに買ってみる」というやり方もできるのではと思います。私が「モノポリー」のルールを知るきっかけになったのはポケッタブルの「モノポリー」だったりします。
置き場所も、資金もそんなにないけど、新しいものを「開拓」したいという時に巡り会うと、かなり衝撃的なのではと思ったりします。未来のボードゲーマーを作るきっかけのゲームになればという感じですね。