● 歴史シナリオ(アレクサンダー大王) - Tips ●
「歴史シナリオ」のアレクサンダー大王についても Tips を書きたいと思います。今回は、ゲームの特性上「競り」に重点を置いて書きたいと思います。私の考えた相場などの話になりますので、知りたくない方は読まないほうがよろしいかと思います。
今回も、4人プレイを前提に書いています。「カタン」のエキスパンションなので、経験者向けの文章にします。基本的なことは、「カタン」の戦術論をお読み下さい。今回は特に競りの相場について書きますので、プレイ環境による差は大きいと思います。ひとつの意見だと思っていただければと思います。
1. カタンとの相違点
「アレクサンダー大王」は「カタン」のエキスパンションですが、追加された要素が結構あります。ゲーム上、特に重要な要素を考えてみます。
● マップが固定されている
ほとんどのシナリオにいえることですが、この「アレクサンダー」でもマップは固定です。かなり癖のあるマップなので何回かプレイされてみると分かると思いますが、鉄が入手しにくいです。鉄の扱いはこのゲームの大きなポイントになります。
その他にも、土が極端に少なく、麦も意外と入手困難です。木と羊は安定して入手できます。また、開拓地の建つような場所は生産力があまりありません。「カタン」では全般的にいえることなのですが、マップの特徴をつかむことが勝利への近道だと思います。
● アレクサンダー大王と競り
このシナリオの一番の「ウリ」です。競りによって普通のカタンの価値観を大きく変化させています。ゲーム中に入る勝利点の半分以上は競りによって入手することでしょう。それだけ大事なわけです。
● 手札の制限枚数
7を振ったときの手札の制限枚数が 7枚から 11枚にアップしました。競りの存在と手札の上限から交渉が起こりにくくなっています。また、港はある程度重要です。
● 材料の分配
序盤は各ターンの始めにストックから 1枚ずつ材料を入手できます。はじめは、開拓地がない状態からスタートするので当然ですね。全員が 2軒ずつ開拓地を持つ頃に分配が終了します。そこまでに、地盤を固めなければなりません。
● 金鉱川と金
「海カタン」にもある金鉱川ですが、このシナリオでは金が入手できます。金は盗まれないうえに、競りでオールマイティになるので優秀な材料だと思います。普通の建設には若干使いにくいですが、それでも十分です。
2. 目標の設定
勝利条件から得点の大まかな取り方を考えてみましょう。勝利条件は 14点とかなり高めに設定されています。助言者のボーナスが 2,3,4点と最長交易路の2点がありますから、12点分の建物とボーナスが1つあればいいでしょう。
12点を建物で取るとすると、都市を4軒、開拓地を4軒建てる必要があります。1点はどうにかすると考えると(これが難しいのですが)、都市が3軒必要になります。
なお、このシナリオではもともと発展カードを引くのが困難なので、最大騎士力はとれないものと考えています。ちなみに勝利条件の点数が高いときには、カード戦術はあまり有効ではなくなります。
3. 開拓地の競り
このゲームのメインイベントです。開拓地を競る場所は合計17か所あります。普通に開拓地を建設する場合は、隣接のルールを守るように道をのばしてから、材料を集めて開拓地を作らなければいけませんが、競りでは鉄以外なら何でも使える上、道を延ばすことも考えなくていいのです。
あまり根拠はないのですが、開拓地の競りには最低でも 4 はいうべきでしょう。開拓地を普通に作るのにさえ材料は 4枚必要ですから。道 2本と開拓地だと決められた材料が 8枚も必要になります。その苦労を考えれば 4枚でも安い方なのです。
競りによって建てた開拓地も、あとで建設した開拓地も同じです。開拓地は 1点になることを忘れないでください。開拓地を 5軒使い切ってしまうと、実質上競りに参加できなくなるので気をつけて下さい。
4. イベントチップと追加勝利点
イベントチップも競りによって取られます。イベントチップは 4種類が 7枚ずつあり、競る場所は合計 25か所あります。イベントチップ自体は何も生産しませんが、助言者という追加勝利点につながります。第1の助言者は 4点もあるので、かなり大きいです。
全部で25か所あるので、平均すると各プレイヤーで6枚ちょっとになります。ほぼ全員で競い合う形になると思いますから、第1の助言者は 8〜9枚で確定するでしょう。逆に 5枚以下だと助言者のボーナスは厳しいでしょう。
5. 序盤
ゲームの流れを分かりやすくするために、序盤、中盤、終盤に分けて述べます。序盤は 8つ目の開拓地の競りが起こるまでです。
序盤はストックから材料の分配があります。分配される材料によって多少差が出ますが、競りでひっくり返せるくらいだと思います。序盤はできるだけいい開拓地を 2軒競り落とすのが目標になります。
まず注意しなければならないのは手札制限です。前述したとおり、7を振ったときの手札制限は 11枚です。序盤で手札が半減してしまうと、まず勝てなくなってしまいます。手札制限をオーバーしないように常に気をつけましょう。競りや建設で数を調整してください。
もうひとつ注意したいのは、イベントチップの競りです。イベントチップは何も生産しないので、序盤から力を入れて取る必要はありません。だいたい 1〜2 で競り落とすのが普通でしょう。イベントチップは全部で 9か所あり、実は全体の 1/3 以上です。競り落とす数は少なくても 1枚、多くて 3枚くらいになるでしょう。
序盤は、材料の分配がなくなったあとのことを考えると、開拓地を取ることに全力を尽くさなければなりません。手札制限をオーバーしていない限り、普通の建設はしないほうがいいでしょう。
ただし、不幸にも開拓地の競りに使えない鉄がたまった場合はちょっと考えなければなりません。このゲームは、中盤以降で都市を作ることが困難になります。そのため、序盤のうちに都市を作るのもいいでしょう。都市に必要な材料が4枚までたまったら、都市を作ることを考えてもいいでしょう。交渉であえて鉄を引き取るのも手です。
一番重要な開拓地の競りなのですが、私が考えた相場を紹介します。競りの相場はプレイヤーにかなり依存しますが、ひとつの考えだと思っていただければ幸いです。
● 1軒目 (金3, 木6, 3:1港) [生産力: 7]
相場は 4 です。最初の手札で 5 がいえる確率は 約30% です。1番目のプレイヤーが 4 といったときに 5 をいわれる確率が 約70% もあるので、ちょっと不安ですが 4 でいいと思います。5 で競り落としても悪くないのですが、5枚あるのならもっと生産力の高い 2軒目や 3軒目を狙ったほうがいいからです。
自分で 4 がいえる状況になったら必ず 4 にしましょう。開拓地 1軒が 4 でとれればそれだけで十分です。
● 2軒目 (麦4, 木6, 木11) [生産力: 10]
相場は 6〜7 です。7 がいえる確率は 約20%、6 ならば 約50% です。生産力も高い上に、貴重な麦が入手できるので 7 で競り落としても十分だと思います。運が良ければ 6 で競り落とせるかもしれません。7枚ある時は 7 で取ってしまいましょう。
最大でも 7 までしかつかない割に生産力があります。ここをいくらで競り落としたかで、序盤の相場が決まるでしょう。
● 3軒目 (金10, 木11, 土8) [生産力: 10]
相場は 7〜8 です。2軒目と生産力は同じですが、マップ上に3か所しかない土がとれることと、数字のいい金がとれることで 2軒目よりも 0.5〜1枚くらい高いと思います(2軒目は2ターン早く競り落としているのを差し引いても)。
9 がいえる確率は 約15%、8 なら 約45%、7 なら 約75% です。ライバルは 1人しかいないので、8枚以上ある時でも、7 で様子を見るのも手かもしれません。特に、2軒目が 6 で取られたときは 3軒目は 7 で取るようにしたいです。
● 4軒目 (土8, 木12, 木港) [生産力: 6]
相場は 5〜6 です。実際には 6 ではちょっと高いかもしれません。これまで開拓地をとれなかったプレイヤーが 5 といえばとれるはずです。それでも 1軒目より損しています。本当は 4 で競り落としたいのですが、それができない理由があります。
1軒目を落札したプレイヤーは 6の木を持っているため、木港が欲しくなります。4軒目のタイミングで手札は 8枚くらいあるでしょう。そうすると、競りに使えるカードは 5〜6枚くらいあるはずです。これに対抗するために 5 枚必要だというわけです。
万が一 4軒目がとれなかった場合は、手札調整のため次の 2つのイベントチップを 2 で競り落としましょう。それすら許されなかった場合は、どこかでバランスが崩れているはずです。
● 5軒目 (麦6, 羊5, 麦港) [生産力: 9]
相場は 7 です。港つきでそこそこいい土地だと思います。手札の状況にもよるのですが、一番手札が多いと思うプレイヤーが 7 といえばおそらくとれるでしょう。ここまでで開拓地がない場合も 7 といえばとれると思います。
● 6軒目 (羊5, 金11) [生産力: 6]
相場は 5 です。生産力のないいわゆる「はずれ」の土地で、欲しい土地があとに控えているだけに難しいところです。根拠はないのですが 5 をいえばまずとれると思います。この辺は 2軒目や 3軒目を取ったプレイヤーにお任せするのが一番ですね。開拓地はどんなに生産力がなくても1点になりますから。
● 7軒目 (麦12, 木9, 土5) [生産力: 9]
相場は 8 くらいでしょうか。生産力はそこそこですが、材料の組み合わせと地理的条件が比較的いいです。ここを取ってしまうとメインの 8軒目が絶対にとれませんが、それを差し引いてもまだいい土地です。10 だとやりすぎな気がしますが、9 なら十分払う価値があるかと思います。
● 8軒目 (鉄8, 麦9, 麦10) [生産力: 12]
相場は 8以上 です。この土地は生産力が高いだけでなく、終盤までは鉄の入る唯一の土地になります。都市にするのが難しいだけにかなり重要です。さらに、あまり関係ないかもしれませんが、地理的な条件もかなりいいです。
この開拓地だけは全力で競りましょう。10 でも 11 でもいいくらいです。それだけ払ってもまだ価値のある土地だと思います。
6. 中盤
中盤は 8軒目の開拓地の競りが終わってから、13軒目の開拓地の競りが終わるまでです。イベントのないところが多い分、建設の機会も多くなると思います。もうストックからの分配が終了しています。ここから先は、自力で発展させなければなりません。
中盤以降はどうやって都市を作るかが重要になってきます。不足分の材料を補うために新たな開拓地を作るのもありでしょう。交渉をさかんに行ったほうがいいのは従来と同じなのですが、手札制限が緩いのと、競りがあるのであまりうまくいきません。工夫して持ちかける必要があるでしょう。
イベントチップの競りが 7回あります。イベントチップの 4連発が終わると全部で 16回競りを行ったことになります。この時点で 6枚くらいとれれば、第1の助言者がほぼ確定します。どちらかと言えば第2、第3の助言者の争いのほうが激しくなりやすいです。
序盤とは違い 1 で落札されることはあまりないでしょう。ただ 4以上というのもなかなか考えにくいです。相場は 2〜3 といったところでしょうか。
イベントチップの競りで大きく出遅れた場合は、あきらめて最長交易路を取りに行くという手があります。通常のカタンと違って、最長交易路はかなり安定しますが、勝利点が2点しかないのであと12点を稼ぐのがかなり困難です。特に 12点目は 4つ目の都市を作るか、発展カードで 1点を引くかしかなくなります。
中盤の開拓地の相場も一応考えてみました。ただし、根拠はあまりありません。参考程度でけっこうです。
● 9軒目 (羊6, 羊港) [生産力: 5]
相場は 4〜5 です。一番生産力の低い土地で、材料も1種類しかなく、地理的条件も悪いです。他のプレイヤーの羊港の評価にもよるのですが、5 くらいがいいのではないのでしょうか。
● 10件目 (羊6, 土10) [生産力: 8]
相場は 6〜7 です。生産力的にはそこそこなのですが、地理的条件が悪いです。ここら辺の相場は難しいですね。都市の材料とは全く違う物なので、思い切って取るべきかどうかが非常に分かりにくいのです。
● 11件目 (木8, 羊3) [生産力: 7]
相場は 6 くらいです。地理的条件がいい場所です。開拓地を建てる場所が多く鉄4も近いからです。ここら辺から、残りの開拓地の数を考えなければなりません。今の状態でちゃんと都市がつくれますか?
● 12件目 (木5) [生産力: 4]
相場は 4 です。1点を取るための開拓地です。生産力、地理的条件ともに最低です。木港を持っていないと使える気がしません。でも、1点分の価値はあるので 4 くらいが相場でしょう。
● 13件目 (木5, 羊9) [生産力: 8]
相場は 6〜7 です。12件目と比べていい土地です。生産力もありますし、場所もそんなに悪くありません。この辺になってくると、開拓地の軒数の関係でライバルが減ることがあります。
7. 終盤
終盤は13件目の開拓地が競り終わってから、ゲーム終了までです。第2の鉄の生産地と、イベントチップの連発があります。
終盤で一番気をつけたいのは、助言者の地位です。チップの数が同数の場合は、先に集めたほうが有利なのを覚えておきましょう。先行すれば 1つ少なくてすむわけです。順位が「確定」する場合があります。確定しているのにうっかり値を付けてしまい、無駄な材料は使わないようにしましょう。
終盤も、いかに都市を作るかが重要です。勝利条件が 14点と高いので、本当に終盤まで交渉が行われてもいいはずです。あと、マップが広いので得点計算の際には十分注意しましょう。8軒目の開拓地を取ったプレイヤーが必ずしも勝っているとは限りません。
時間切れ終了になりそうな場合は、頭ひとつでもいいから抜け出したほうがいいでしょう。時間切れで同点の場合は、助言者の地位が高いほうが勝ちなので気をつけて下さい(終わる頃に気をつけてもしょうがないのですが)。
終盤の開拓地の相場です。イベントチップが絡むので、若干安くなるかもしれません。
● 14軒目 (金3, 鉄12, 鉄10) [生産力: 7]
相場は 7 くらいです。第2の鉄の1軒目です。生産力は低めなのですが、近くにいい鉄の産地があります。鉄をまだ取っていないプレイヤーは必死になって取って下さい。終盤にくると 金3 はあまりいい土地ではありません。
● 15軒目 (鉄10, 鉄2, 木11) [生産力: 7]
相場は 6〜7 です。鉄の生産地の競りはこれで最後です。これも生産力はあまりありません。近くの鉄が魅力的ですが、地理的条件は 14軒目ほどよくありません。
● 16軒目 (麦3, 麦8, 羊11) [生産力: 9]
相場は 6〜7 です。ここまでくるとライバルも少なくなるので、もうちょっと安く競り落としてもいいかもしれません。ゲームが終盤になると生産力より得点が欲しいところです。
● 17軒目 (羊3, 麦8, 鉄港) [生産力: 7]
相場は 6 くらいです。鉄港はほとんど役に立たないでしょう。イベントチップの順位が確定している人が取りそうな感じです。
8. 交渉
前に述べたとおり、手札制限が緩いことと、競りがあることから交渉の頻度は減ると思います。そのため、港がより重要になるでしょう。中盤以降、4:1交換だけで都市を建てるのはとても大変です。鉄か麦を自力でとったり、専門港を使ったりするのがいいでしょう。
序盤では都市にする開拓地がないのと、開拓地の競りで鉄は使わないことから鉄が不要になります。これを生かして序盤で都市を作ってしまうのも手です。分配で鉄や麦を多くひいたときには覚えておいてそんはありません。序盤の鉄ならば、1:1でも交換可能です。
麦が必要な場合は鉄と麦以外の2枚を出せばもらえると思います。金だったら1枚でもいけるかもしれません。ただし、これはメンバーによるので本当にもらえるかどうかは分かりません。
中盤以降は鉄が高騰します。鉄の産地が1か所しかないからです。どうにかして鉄を作るのですが、このときに専門港が役に立つでしょう。金は競りで使うため材料に交換しないほうが無難です。鉄を交渉で手に入れるのは困難でしょう。
勝利条件の関係で、終盤でもどんどん交渉したほうがいい場合があります。トップに追いつくために、自分とトップ以外のプレイヤーがお互いに1点上がるのは悪いことではありません。
9. おまけ
最後にどうでもいいようなことを書きます。
このシナリオでは、土港がありません。土はあくまでも道の材料と、2種類のイベントチップの対象だけになります。都市を作るのには向かないので気をつけて下さい。
最大騎士力を取るのは困難だと書きましたが、カードを引くこと自体はそんなに悪いことではありません。どのカードももとのゲームより役に立つからです。騎士カードは競りに使えば、ほとんど無料でとれます。問題は、都市を作るのに忙しくカードを引く暇がないことです。
とりあえず、こんな感じでしょうか。今回はプレイ回数 3回で書いたものなので、経験に基づいて書くのにはちょっと少なかったかもしれません。また、競りの相場を中心に書いたので本当に参考になるかどうか心配です。終盤の相場は、メンバーによって特に変動するところでしょう。