● トラベルカタン ●
前々から、小型版のカタンが発売されるという情報は流れていたのですが、日本で発売されるとはあまり思っていませんでした。見つけたら買いたいと思っていましたし、カタン普及の目的もあるので、購入しました。
このコーナーでは、ボックスの内容と新旧日本語版との違いなどを紹介したいと思います。
- サイズの比較 -
まず、ボックスの写真をご覧ください。
「トラベルカタン」の一番のウリは、サイズの小ささにあります。箱のサイズは Kosmos の 2人用ゲームのサイズです。これなら旅行に持っていっても、そんなに負担にはなりません。箱ごと持っていけるので、楽に管理することができます。
ただ、携帯性でいけば、旧日本語版(ドイツ語版)の内容物を別の袋に入れるという方法があります。もとの「カタン」を箱ごと旅行に持っていくのは大変なのですが、袋に入れるとけっこうコンパクトにまとまります。
マップの大きさは、トラベルカタン < 新日本語版 < 旧日本語版 となりますね。サイズ的には微妙な違いですが、箱に入っていると万一の時でも安心です。
- 内容物 -
同じ「カタン」ですから、材料やコマなどといった内容物はほぼ同じです。ただ、独特なのはゲームボードでしょう。あとで詳しく述べますが、ゲームボードはプラスチック製のボードが 1枚になっていて、土地タイルや港はボードに入れるような形になります。
タイルは、かなり小さく砂漠以外は真ん中に穴があいています。ボードには数字チップに相当する物が印刷されており、穴を通して数字が見えるようになっています。港は、土地タイルの外側に入れるところがあるので、シャッフルした上で入れていくようになります。
街道、家、都市には出っ張りが付いています。ボードに穴があいており、適当な場所に差し込んで使うことになります。サイズはかなり小さいですから、なくさないように注意してください。ちなみに、コマの材質はプラスチックになっています。まあ、サイズが小さいのでしょうがないのですが。
写真は、上から旧日本語版、新日本語版、トラベルカタンのカードとコマです。一目見た感じだと、トラベルカタンは家と都市の区別が付きにくいかもしれません。
カードは新日本語版とは違い、もとのバージョンよりもさらに小さくなっています。カードの材質は、もとのバージョンと同じだと思うのですが、サイズが小さいので強度が落ちています。シャッフルもしにくいですね。
ついでに、建設コストや最長交易路などのカードも小さくなっています。このあたりは、もとの「カタン」のミニチュア版だと思っていただければと思います。
その他の用具ですが、数字チップはありません。その代わりにボードに数字がついています。泥棒コマはプラスチック製で、数字のところがちょうど隠れるようになっています。
サイコロも、プラスチック製のやや小さめの物が 2つついています。携帯用なので、サイコロを振る場所は工夫する必要があるかもしれません。
ルールですが、旧日本語版対応なのでページ参照などがずれています。日本語ルールと照らし合わせたときに、かなり大変な思いをするでしょう。ドイツ語版ベースで見た感じは、普通のカタンと同じでした(文章までは読んでいませんが)。
新旧日本語版と、トラベルカタンの特徴をまとめてみました。
項目 |
旧日本語版 |
新日本語版 |
トラベルカタン |
携帯性 |
そこそこ |
やや低い |
やや高い |
マップの大きさ |
大きい |
やや小さい |
かなり小さい |
マップの安定性 |
やや悪い |
ややよい |
よい |
カードの大きさ |
そこそこ |
大きい |
かなり小さい |
プレイしやすさ |
しやすい |
そこそこ |
ややしにくい(?) |
準備の早さ |
そこそこ |
はやい |
そこそこ |
ルール |
やや使いにくい |
使いやすい |
使いにくい |
全体的に見ると、多少のプレイアビリティーを犠牲にして携帯性を追求した感じです。この評価はあくまでも私の主観的なものなので、人によって違ってくるかもしれません。参考程度にどうぞ。
- マップについて -
「カタン」の場合、別バージョンが出ると一番気になるのがマップについてでしょう。ここでは、どんな感じのマップができるかを紹介します。
先ほど、内容物のところでも述べたとおり、マップはプラスチック製のボードに埋め込むようになります。もとのカタンと違うのは次の 2点です。
1. 砂漠が中央に固定される
砂漠は常にマップ中央になっています。ということは、土地的に極端に楽なマップや厳しいマップができにくいです。砂漠の位置も入れ替えられるともっとよかったのですが、カタンフリークのたわごとなのかもしれません。初級者にとってはそんなに大きな問題ではないと思います。
2. 数字チップが固定されている
一番大きな特徴は、数字タイルが固定されていることだと思います。
どちらかといえば、こちらのほうが経験者にとっては痛いです。数字が同じになるということは、いい土地が同じような場所にできることになりますから。
ちなみに、通常に数字チップをアルファベット順に置いたときとは並びが違うようです。それ以上の解析は、ここでは避けておきます。ただ、6 と 8 が隣り合っているとかというひどいものではないので、安心してください。それなりに練られていると思います。
数字チップが固定されていると、何度かプレイすると飽きられてしまうかもしれません。対処策としては、もとのカタンや新日本語版から数字チップを取り出して、それを使うのがいいでしょう。ただ、土地が見えるかどうかが問題です。
私の経験からいうと、数字の固定さえどうにかすれば大丈夫だと思います。数字チップが用意できない場合、連続プレイは避けたほうがいいでしょう。
- まとめ -
これまで、トラベルカタンと従来のバージョンを比較してきましたが、トラベルカタンはあくまでも携帯用だということを考えれば、そんなに悪くはないと思います。ただ、実際にプレイしていないのでプレイアビリティーが極端に悪いと問題ですが。
PC を例に考えてみると、従来のカタンを高性能なデスクトップマシンだとすると、新日本語版は初心者向けのモデル、トラベルカタンはサブノート PC あたりに相当すると思います。
従来のカタンは、基本セットにあたるのでとにかく拡張性に優れています。マップも好きなように組めますし、エキスパンションにも完全対応しています。
新日本語版は、ルールの読みやすさなどといったプレイアビリティーの高さがウリです。これからカタンを始めようという方に向いているのかもしれません。カードの文章も一番分かりやすいので、初心者に優しい作りだと思います。
トラベルカタンは、携帯性に優れています。通常のカタンをプレイするのには十分なセットが小さな箱に収まっていますから。文字通り旅行先など、テーブルがあるかないかが分からないようなところでも十分プレイできると思います。
頻繁にプレイしたり、他のエキスパンションをプレイしたいというパワーユーザーにはもとのカタンを。はじめてカタンをプレイするときには新日本語版を、移動中など場所が狭いところでもプレイしたいときにはトラベルカタンをという選択になるでしょう。