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● ゲームのらくがき 「シティー ビジョン」 ●

 さて、ゲームマーケット準備期間恒例のゲームのらくがきです。今回はすでに作業開始から1か月くらいたっているのでもうそろそろこちらでもルール概要を書くことにしましょう。後ほどの作業のためというのはありますね。

 ルール自体は最終版ですが、TIPSなどが追加される予定です。あとはルールブックに起こすときに分量を調整したりということもあります。こちらの要素としては恒例のデザイナーズノートです。

 プレイ人数は 2〜5人、プレイ時間は 30分程度です。


- シティー ビジョン -

 開発が始まったばかりの広大な土地から、都市を発展させていきましょう。交通網を整備し、魅力ある建物を誘致し、都市開発をします。しかし、住民はとても気まぐれで、建設した建物を気に入ってくれるとは限りません。計画的に都市を発展させ、住民を一番満足させたプレイヤーが勝者となります。

●このゲームに入っているもの

建物カード   60枚
初期建物カード 5枚
追加建物カード 5枚
ダイス     6個
得点チップ   64枚
市長カード   1枚
副都心カード  1枚

●ゲームの目的

 ダイスを振って、出た目に従って配置していき、お金を獲得して新たな建物を購入したり、得点を獲得したりします。所定の得点チップがなくなるまでターンを繰り返し、獲得した得点チップの合計と建物の種類によるボーナス得点の合計が最も高いプレイヤーが勝者となります。

●ルールのバリエーション

 このゲームは、「通常ルール」と「短縮ルール」の2種類のルールがあります。「短縮ルール」は「通常ルール」から要素を少なくした短縮版になります。ここでは先に「通常ルール」の説明をして、あとで「短縮ルール」の差分を説明します。


- 通常ルール -

●準備

 各プレイヤーは、同じ色の初期建物カードと追加建物カードを1枚ずつ取り、初期建物カードを全員から見えるように、自分の前に置きます。この場所を自分の場と呼びます。追加建物カードは、初期建物カードの下に重ねておきます。

 得点チップを人数×40点分準備します。1点、2点、5点の得点チップを全て使うと2人分の 80点になります。そこから、1人増えるごとに、10点チップ 4枚ずつ追加するといいでしょう。10点チップも全て使うと5人分の 200点になります。使わなかったチップは脇に置いておきます。

 建物カードをシャッフルし、6枚を全員から見える場所に置きます。これを、公共事業の場と呼びます。それ以外のカードは裏向きにして、公共事業の場の隣に裏向きで置きます。これを山札と呼びます。

 適当な方法で(たとえば、もっとも最近、役所に行ったプレイヤー)、最初のプレイヤーを決めます。最初のプレイヤーは市長カードを受け取ります。

 「通常ルール」では、副都心カードは使用しません。

●ターンの流れ

 最初のプレイヤーから順にターンを行います。各プレイヤーのターンは次の順番に行動を行います。

1. 建物カードを入れ替える
2. ダイスを振る
3. ダイスを配置する
4. 得点、お金を獲得する
5. 建物カードを購入する
6. 建物カードを補充する

1. 建物カードを入れ替える
 自分の場の建物カードが 7軒以下の場合、公共事業の場に出ているカードのうち、好きなカードを2枚まで選び、捨て札にすることができます。捨て札は山札の隣に表向きの山にします。捨て札の中身を確認することはできません。

 その後で、山札から場札に 6枚になるまでカードを補充します。山札がなくなったら、ただちに捨て札をシャッフルして新たな山札にします。

2. ダイスを振る
 プレイヤーはダイス 6個を同時に振ります。テーブルから落ちてしまったりした場合は全て振り直します。

3. ダイスを配置する
 プレイヤーは、振ったダイスを、出目を変えないようにカードに配置します。配置は、下記のルールに従います。

- 1つのスペースに書かれたダイスを全て配置したら、矢印の左側に書いてあるものを全て獲得します。
- 通常の矢印が書かれたスペースは、1回分しか獲得することができません。
- xの矢印が書かれているスペースは、所定のダイスを複数回分配置することで、配置した回数分、獲得できます。
- 出目のかかれていないスペースからは、ダイスを配置することなく、自動的に書かれているものを全て獲得します。
- 出目のかかれたダイスは、その目のダイスを示します。
- 出目のかかれていないダイスは、好きな目のダイスを示します。
- ★の書かれたダイスは、ある1つの目のダイスを示します。同じスペースの★には同じ目を配置する必要がありますが、別のスペースの★は別の目でもかまいません。

4. 得点、お金を獲得する
 配置したダイスに応じて、埋めたスペースに書かれているお金、得点を獲得します。

 得点はただちに得点チップを受け取ります。場の得点チップがなくなったら、ゲーム終了条件を満たしたことになります。以降の得点の支払いは、脇によけた得点チップも使用します。

 お金は、次の「5. 建物カードを購入する」ために使用します。

5. 建物カードを購入する
 自分の場の建物カードが 7軒以下の場合、「4. 得点、お金を獲得する」で獲得したお金を使用し、建物カードを購入します。建物カードはお金が足りる限り何枚でも購入することができます。購入したカードは、全員から見えるように、自分の場に配置します。

 1人のプレイヤーが獲得できる建物カードは 8枚までです(初期建物カードは含みません)。9枚以上の建物カードは購入できません。獲得したお金は、そのターン内でのみ有効です。余ったお金は次のターンには持ち越せません。

6. 建物カードを補充する
 公共事業の場が 6枚になるように、山札から建物カードを補充します。

ターンが終わったら、左隣のプレイヤーのターンになります。ダイスを渡すとよいでしょう。

●ラウンドの終了

 市長カードを持つプレイヤーから、市長カードの右隣のプレイヤーまで、全プレイヤーの1連のターンをラウンドと呼びます。ラウンドが終了したら、次の判定を行います。

・追加建物チェック
 建物カードを8軒購入したプレイヤーが1人でもいる場合は、全プレイヤーは、追加建物カードを公開します。

 自分の場に、(初期建物カードを除き)建物が8軒あるプレイヤーは、追加建物カードを全て公開します。7軒以下のプレイヤーは、「補助金」の部分だけが見えるように公開します。

 次のターンから見えている部分にもダイスを配置できるようになります。以降、建物カードを 8軒購入したプレイヤーは、追加建物カードを全て公開し、次のターンから全部のスペースにダイスが配置できるようになります。

・終了チェック
 最初に準備した人数×40点の得点チップがなくなり、脇によけておいたチップを使用していた場合、このラウンドでゲームが終了します。準備した得点チップがちょうど 0点 のときも、ゲーム終了を満たします。

●得点計算

 ゲーム終了時に、自分の場にある建物の種類に応じ、都市ボーナスを加算します。

- 住宅地、商業地、工業地、エコ建物、それぞれについて 3軒以上建設している場合、1軒につき 1点を獲得します。
- 住宅地、商業地、工業地 の3枚組 1つにつき 5点を獲得します。

 複合施設は、ゲーム終了時に住宅地、商業地、工業地の好きな1つとして扱います。複数の複合施設を持っている場合、建物ごとに別のものを選択することもできます。

 獲得した得点チップと、都市ボーナスの合計が最も高いプレイヤーが勝者です。同点の場合、それらのプレイヤーのなかで「シティーホール」を建設しているプレイヤーがいれば、そのプレイヤーが勝利します。いない場合は同点です。


- 短縮ルール -

 「短縮ルール」では、建物カードの買い物を省略し、自分の都市と副都心の建物を使って都市を発展させていきます。ゲームの流れは次のようになります。

●準備

 副都心カードをテーブル中央に置きます。建物カードをシャッフルし、3枚を表向きにして副都心カードの隣に置きます。副都心カードを含めた 4枚のカードを「副都心の場」と呼びます。

 各プレイヤーに建物カードを5枚ずつ配ります。配られたカードは他のプレイヤーに見えないように手札として持ちます。

 残りの建物カードは裏向きの山札として、全員の手が届くところに置きます。

 得点チップは全員の手が届くところにまとめて置きます。

 適当な方法で(たとえば、もっとも最近、役所に行ったプレイヤー)、最初のプレイヤーを決めます。最初のプレイヤーは市長カードを受け取ります。

●手札の交換

 最初のプレイヤーから順に、不要なカードを好きな枚数だけ裏向きの捨て札にし、5枚になるまでカードを補充します。これを、全プレイヤー1回ずつ行います。

●建物の公開

 全プレイヤーは、自分の都市として建物カードを 3枚選びます。全員が選んだら同時に公開し自分の前に置きます。
 自分の前に出したカード 3枚と、副都心の場のカード 4枚をあわせて、自分の場と呼びます。

 ※ 副都心の場にあるカードと、自分の出したカードをあわせた 7枚のカードがあなたの都市になります
 ※ 都市ボーナスは、7枚のカードで判定します。
 ※ 副都心パークは、複合施設、特殊施設、エコ建物として扱います。ゲーム中の他の建物や都市ボーナスに影響します。
 ※ 自分の出したカードの合計コストは、ゲーム終了時に得点チップで支払わなければなりません。

●ターンの流れ

 最初のプレイヤーから順にターンを行います。各プレイヤーのターンでは、次の順番に行動を行います。

1. ダイスを振る
2. ダイスを配置する
3. 得点、お金を獲得する

1. ダイスを振る
 プレイヤーはダイス 6個を同時に振ります。テーブルから落ちてしまったりした場合は全て振り直します。

2. ダイスを配置する
 プレイヤーは、振ったダイスを、出目を変えないようにカードに配置します。配置は、下記のルールに従います。

- 1つのスペースに書かれたダイスを全て配置したら、矢印の左側に書いてあるものを全て獲得します。
- 通常の矢印が書かれたスペースは、1回分しか獲得することができません。
- xの矢印が書かれているスペースは、所定のダイスを複数回分配置することで、配置した回数分、獲得できます。
- 出目のかかれていないスペースからは、ダイスを配置することなく、自動的に書かれているものを全て獲得します。
- 出目のかかれたダイスは、その目のダイスを示します。
- 出目のかかれていないダイスは、好きな目のダイスを示します。
- ★の書かれたダイスは、ある1つの目のダイスを示します。同じスペースの★には同じ目を配置する必要がありますが、別のスペースの★は別の目でもかまいません。

3. 得点、お金を獲得する
 配置したダイスに応じて、埋めたスペースに書かれているお金、得点を獲得します。

 得点はただちに得点チップを受け取ります。場の得点チップがなくなったら、ゲーム終了条件を満たしたことになります。以降の得点の支払いは、脇によけた得点チップも使用します。

 簡易版ルールでは、証券取引所のボックスに書かれているとおり、お金2につき 1点を獲得します。お金は次のターンに持ち越せないため、余ったお金1は消失します。

ターンが終わったら、左隣のプレイヤーのターンになります。ダイスを渡すとよいでしょう。

●ラウンドの終了

 市長カードを持つプレイヤーから、市長カードの右隣のプレイヤーまで、全プレイヤーの1連のターンをラウンドと呼びます。短縮ルールでは、3ラウンドが終了したら、ゲーム終了です。

●得点計算

 ゲーム終了時に、自分の場にある建物(副都心の場にある4枚のカードと、自分の前にある3枚のカード)の種類に応じ、都市ボーナスを加算します。

- 住宅地、商業地、工業地、エコ建物、それぞれについて 3軒以上建設している場合、1軒につき 1点を獲得します。
- 住宅地、商業地、工業地 の3枚組 1つにつき 5点を獲得します。

 複合施設は、ゲーム終了時に住宅地、商業地、工業地の好きな1つとして扱います。複数の複合施設を持っている場合、建物ごとに別のものを選択することもできます。

 短縮ルールでは、自分の前にある 3枚のカードについて支払いを行います。3枚のカードのコストの合計分だけ得点チップを支払います。万一、手持ちのチップで支払いきれない場合は 0点です。

 支払い終了後の得点チップの合計が、最も高いプレイヤーが勝者です。同点の場合、それらのプレイヤーのなかで「シティーホール」を建設しているプレイヤーがいれば、そのプレイヤーが勝利します。いない場合は同点です。


●デザイナーズノート

 このゲームのアイデアは、プレイヤーごとに得点できるで目の組み合わせが変わるダイスゲームをと思って作ったものです。

 いろいろとアプローチはあったのですが、徐々に形を作っていくような形にし、お金を元に購入していくという方法をとりました。このあたりはデッキビルドの考えかたもちょっと入っています。中央の場からの購入なので「アセンション」に近いタイプです。

 このあたりでダイスを住民に見立てて、「シティープラン」のテーマに合わせることにしました。素材が流用できるというのもありますが、住民の気まぐれさなどもうまく出ていると思ったので。それに伴い、建物の種類のボーナスという要素が入りました。

 「シティー プラン」にない要素として「お金」があります。「シティー プラン」にもコストの概念はあり、コスト操作系は交通関係の建物が割り当てられていたので、新しいカテゴリーとして「交通」を追加しました。流通がよくなると、資金も流れやすくなるという寸法です。その代わり、電力の要素が切り捨てられています。

 カード自体は「シティー プラン」がベースにあったので、イメージが作りやすかったのですが、いざプレイしてみると、バランス調整にだいぶ時間がかかりました。数値バランスも原作よりも解像度が低いので、1コストの差がなかなか埋められないのと、速攻とそれ以外のバランスが取りにくいというのがありました。

 数値を大きくすると解決はするものの、今度は計算が大変になりすぎるという問題があり、数値バランスとしてはほぼ1周して元に戻って微調整を加えたという感じになりました。ここ最近のゲームの中で、一番バランス調整に苦労した作品かもしれません。

 ダイスゲームならではの要素を入れたかったのですが、これは追加建物に入れることにしました。同じ目3つの「物産館」はまだ現実的な確率で出ますが、夢の「万博会場」は 1.5%ほどの確率です。出ればかなりの点差をひっくり返せる強力なものですが、チャンス自体は終盤にならないと訪れません。テストプレイでもそれなりの回数見ています。

 「短縮ルール」は、制作の終わりの方で思いついたものです。デモプレイ用に簡易版のアイデアがあったのですが、そこから要素をちょっと付け加えての短縮ルールにしました。思いついたアイデアが、場の組み合わせということで、俳句の上の句、下の句のようなそんな感じもします。運の要素は大きくなりますが、ダイスを振る楽しさに若干特化した形にしました。

 素材としてはだいぶそろっているので、今回の「シティー ビジョン」のような新しい仲間が今後増えるかもしれません。


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