ギリギリになりましたが、2作品目のゲームのらくがきです。こちらも制作作業はすでに完了したので、デザイナーズノートのみお送りしましょう。ルールブックは こちら からどうぞ。
プレイ人数は 3〜8人、プレイ時間は、人数にもよりますが 5人プレイで 20分程度です。
Web特典として、ルールブックに書ききれなかったバリエーションルールも紹介します。
こちらを見ている方限定で、デザイナーズノートを。
この作品は「500円ゲームズ」の企画作品として作りました。500円ゲームズは、おおざっぱにいうと、制作費 500円以内、頒布価格 500円というレギュレーションで作品を作るというものです。前回も「ダイスチャレンジ」で参加しました。
通常作品の「シティー ブロック」のめどが立った頃からアイデアを出しましたが、今回はかなり苦労しました。ネタは思い浮かんだもののボツになった作品もたくさんあります。他の作品のネタに使えそうなのでここでは書きませんが。
当初は前回同様、ダイスとボードのみで制作費を落とそうと思ったのですが、なかなかいいアイデアがまとまらず、いつもカード印刷をしているところを見ると24枚の最低枚数で、100セットであればレギュレーションの範囲内でできそうだということが判明したので、そちらの線で作ることにしました。
お披露目版はすでにある素材で、この作品のベースとなるゲームを作りました。24枚のカードを 2通りの役割で使ったり、順番に並ぶところとか、得点の入り方は共通ではありますが、もっとランダム要素の強いゲームでした。
このときの終了後の感想戦でいろいろとアイデアをもらいました。サスペンス系のテーマも出てきたのですが、「ファンタジーでやってみたら?」というコメントをいただき、そこからネタをまとめることに。サスペンスはさすがに自分では扱いきれないテーマなので。
アイデア段階でダンジョン攻略のネタはありましたが、要素が「巨竜の歯みがき」に近づいたためいったんボツにしていましたが、テーマを切り出して、融合させることにしました。
あとは、「ダンジョン レイダース」の雰囲気も多少入れています。財宝を狙うというテーマ上、協力体制に見せかけて結局は最終的な利益のためという感じにはなるので。そんな感じでパーティーを組んでダンジョンに挑むというテーマですんなりと決まりました。
キャラクターは RPGにありがちな職業を並べることにしましたが、24個も出てこなさそうだったのと、ダンジョンに配置するカードとキャラクターは分けた方がよさそうということで、15枚と9枚に分けました。キャラクターが 15〜16、ダンジョンに配置するカードが 8〜9という感じですが、奇数と奇数に分けることにしました。
オーダー順にカードをプレイするというのは変わりませんが、キャラクターに応じた能力をつけることに。テーマの選定上、このあたりのイメージがとてもやりやすかったというのはありますね。
モンスターやダンジョンイベントも、2つの選択肢にするというところを残していたため、1枚のカードに両方を書くことにしました。ダンジョンイベントは隊列を動かしたり、モンスターの攻撃に影響を与えるもの、モンスターはキャラクターを脱落させるものと分けました。キャラクターの脱落と隊列順に変更することでシンプルに、読みやすくしています。
モンスターの選別、イベントは、それほど苦労しませんでした。9種類なのでかなり余裕はあります。
このバージョンでもう一度お披露目をして、よさそうな印象になったのでそのまま制作を進めることにしました。このあたりは、ファンタジー系のテーマにしてよかったところではありますね。
システム的なデザインとしては、キャラクターの能力をざっと決めることに。最初から思いついていたのは、前列の方に隊列の好きな場所に移動できるキャラクターを入れることと、真ん中あたりと最後列に防御力の高いキャラクターを持ってくること、後方に防御力はないものの得点が高いキャラクターを入れることくらいでした。
キャラクターのクラスは、手元のファンタジーものの資料や Wizardry などから持ってくることに。JRPGを意識すると特定の作品によってしまうので、あえて海外作品や TRPG寄りに選択しています。
モンスターですが、4種類のタイプを決めてざっくりと割り当てることに。得意ジャンルではあるので、選択肢が多すぎて逆に困るくらいでした。いかにもファンタジーというものを選んでいます。
レトロゲーム風な雰囲気でということで、それらしいデザインにしています。キャラクターのウィンドウ表示あたりは、DQ123 や FC版Wizardryを若干参考にしています。
イラストはドット絵でということで、プロトタイプの最後までできあがるかどうか心配でしたが、海外RPGの素材からドット絵を書き起こしてという作業をしました。個人的に楽しいモンスターを先にやってしまったので、モチベーションが保てるかどうか心配でしたが、キャラクターもどうにかできあがりました。
キャラクターは若干モンスターメーカーの雰囲気になったかもしれません。このあたりはファンタジー感を試されているような感じでした。
ゲーム上、気をつけたのは、最後のダンジョンの処理は完全自動でできるようにするというのがありました。それまでは少ないながらもいくつかの選択肢があるのですが、キャラクターが脱落することもあり、ダウンタイムをなくすというのと、完全に計算できる状態で意図的な操作をしないためというところがあります。
キャラクターの選択は読み上げてテンポよく、ダンジョンの作成は2択ですが悩ましく、最後の探索は自動的にという作りです。
あとは、ともすると殺伐とした感じになるので、ドロドロとしすぎないように気をつけたつもりです。脱落するという用語を意図的に使っていたりするのはこのためです。モンスター絵も気をつけて作ったつもりですが、好みの問題が大きいかも。
最後に、500円ゲームズなのでコストダウンの工夫を。今回は 500円のレギュレーション内でカード、ボックス、簡単なボード、チップをつけています。原価率は通常の作品より高いですが、許容できる範囲には収まっています。
カードについては枚数24枚で安くしていますが、ボックスはサイズが小さくキャラメル箱なのでこちらも安く抑えています。ボードはボックスの外観と同じ用紙を使うことで印刷コストを低減、ラミネートも半分にしています。これで原価率が 5% くらい下がる計算です。チップはいつもの板目紙+シール用紙で。サイズを小さくして数を稼いでいます。
手間をかけて原価を抑える方向で進めたため、制作に時間がかかりましたが、レギュレーション内でいつもと同じようなコンポーネントで出せたのがポイントかもしれません。あとは、3〜8人という多人数対応の作品も実は初めてだったりとか。
ここでは、説明書に書ききれなかったバリエーションルールを紹介します。
3〜4人でプレイするとき、ダミーキャラクターを使用する代わりに、各プレイヤーに 2人ずつキャラクターを受け持つ方法もあります。
イベントカードを各プレイヤーに2枚ずつ配り、残りのカードのうち1枚をボスモンスターに配置します。3人プレイで余ったカードは公開します。
キャラクターカードは、3人でプレイするときは4枚ずつ、4人でプレイするときは 3枚ずつ配ります。ダミーキャラクターは登場しません。
キャラクターを公開するとき、「プレイヤー1人につきキャラクター2人」を公開します。セット内にプレイヤーチップを4枚つけているので、キャラクター 2人を公開してもプレイヤーの識別ができるようになっています。
キャラクターのアクションでは、2人のキャラクターについて、それぞれの行動のタイミングでイベントカードを1枚ずつ配置します。偵察アクションで手札に入れたカードを、2人目のキャラクターの行動まで保持してもかまいません。
得点はそれぞれのキャラクターの所有者について加算します。財宝ボーナスと探索ボーナスの両方で勝利条件の 7点に達する場合も、そのプレイヤーの勝利となります。