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● ゲームのらくがき 「ご当地グルメ漫遊記」 ●

 今回は、予定より早く作業が進んでいるので、ゲームのらくがきを先にお送りします。デザイナーズノートは更新ネタの都合で、後ほどアップします。

 プレイ人数は 2〜5人、プレイ時間は 75分程度(長時間ゲームの場合)です。短時間ゲームで 5人プレイだと 45分程度になります。

 今回はドラフト版の説明書からの抜粋ですので、最終版の説明書で記載内容が変わる可能性はあります。(2014/04/19:ルール部分を、最新のドラフト版に更新しています)


- ご当地グルメ漫遊記 -

 おいしいご当地料理を食べに出かけましょう。

 決められた予算内で、目的地を目指しつつ各地を巡り、ご当地料理を食べていきます。
 最初は手頃な料理から舌を肥やし、とびきりのごちそうを目指しましょう。料理は早い者勝ちですが、最後の料理が一番おいしくいただけます。

 おいしい料理や、楽しい旅の思い出で得点を稼ぎ、最も多く得点を稼いだプレイヤーの勝利となります。

●このゲームに入っているもの

 このゲームには、以下のものが入っています。
・マップボード 6枚
(両面で日本マップ/東京マップ)
・得点ボード 2枚
・グルメカード 36枚 (裏面が緑)
・ボーナスカード 12枚 (裏面が紫)
・トラベルカード 24枚 (裏面が青)
・プレイヤーコマ 20個 (5色×4個)
・目的地マーカー 1個
・スタートプレイヤーマーカー 1個
・マニュアル 1冊
・シール 1枚

●用具の説明

・マップボード
 マップボードは6枚に分かれており、日本マップと東京マップが両面に印刷されています。

 マップは、都市を示すマスと、都市と都市を結ぶ路線からなります。

マスにはご当地料理(以下、単に「料理」と呼びます)がいくつか書かれています。料理は野菜、魚、肉の3種類があり、2〜4レベルの3つのレベルに分かれています。
 レベルに等しい金額を支払うことで、その料理を食べることができます。
 灰色の路線は移動力1で移動でき、茶色の路線は移動力2で移動できます。黄色の路線は資金1と移動力1で移動できます。
 日本マップの空港と、東京マップの水上バスは行き先に応じた資金と移動力で移動できます。
 黄色の路線、空港、水上バスのように移動のために資金が必要な路線を有料路線と呼びます。

例1:大分から福岡へは1位動力、熊本へは2移動力で移動できます。
例2:福岡から熊本へはお金1と1移動力で移動でき、羽田空港(東京)と沖縄空港(沖縄)へは、それぞれお金2と移動力2で移動できます。
例3:熊本では、野菜2レベルの太平燕、野菜3レベルのからしレンコン、肉3レベルの馬肉料理が食べられます。

・得点ボード
 得点ボードは2枚を組み合わせて使用します。
 外周の得点エリアは、各プレイヤーの得点を示します。所持金エリアは、各プレイヤーの所持金を示します。目的地到着エリアは、目的地に到着したときにコマを置き、到着時に獲得できる得点と到着順を示します。

・プレイヤーコマ
 各プレイヤーは同じ色のプレイヤーコマを4つずつ使用します。
 ゲームを始める前に、プレイヤーコマのうち 1つに対応する色の「50」と「100」のシールを貼ってください。シールを貼ったコマを、「得点コマ」として使います。

・グルメカード
 グルメカードは、人数に応じて使用するカードが決まっています。
 2人プレイのときは人数アイコンの3+、4+、5+のカードを、3人のときは4+と5+のカードを、4人のときは5+のカードを箱にしまいます。5人のときはすべてのグルメカードを使います。
 使用するグルメカードを、種類とレベルごとに分け、一番低い得点が一番上に来るように得点順に並べます。

 グルメレベルは野菜/魚/肉に分かれており、ラウンド開始時、全員のグルメレベルは、3種類とも「1レベル」です。
 グルメレベルは、対応する種類の「現在のレベルより1つ上のレベル」の料理を食べることで、レベルアップします。このとき、新たなレベルのグルメカードの中で得点が最も低い(一番上にある)グルメカードを獲得します。
 対応する種類/レベルのグルメカードがない場合は、グルメカードを獲得することはできず、グルメレベルを上げることもできません。
 獲得したグルメカードは自分の前に、種類ごとに表向きに並べ、他のプレイヤーから現在のグルメレベルが見えるようにします。
 同じ種類で同じレベルのグルメカードは1枚しか持てません。
 トラベルカードの効果でグルメレベルを上げるときも、対応する種類の「現在のレベルより1つ上のレベル」にしか上げられません。

・ボーナスカード
 ボーナスカードは、得点の獲得と目的地の決定に使用します。

・トラベルカード
 トラベルカード(以下、単に「カード」と呼びます)には、旅の手助けをする効果があります。
 各プレイヤーは、3枚までカードを持つことができます。持っているカードは、全員から分かるように表向きにして自分の前に置きます。
 カードは自分のターンの好きなタイミングで使ったり、捨て札にしたりすることができます。
 入手したカードは、次のターンから使うことができます(すぐに捨て札にしてもかまいません)。
 使用したカード、および、捨て札にしたカードは、ただちに捨て札の山の一番上に置かれます。
 捨て札は、カードの山札(以下、単に「山札」と呼びます)の隣に表向きの山にします。捨て札は、一番上のカードのみ見ることができます。
 山札がなくなった時点で、捨て札のカードをすべてシャッフルし、新たな山札とします。
 山札の枚数はいつでも確認できます。


●準備

 ゲームを始める前に、全員で使用するマップとラウンド数を決めます。
 マップは6枚のゲームボードの両面に描かれており、日本マップ(JP1〜JP6の面)と東京マップ(TK1〜TK6の面)の2つがあります。好きなマップを選んでください。
 2つのマップは、目的地の決定方法以外は同じルールでプレイします。
 次に、ゲームの長さを決めます。1ラウンドの短時間ルールと、2ラウンドの長時間ルールの2つがあります。
 プレイ時間は人数によりますが5人の短時間ルールで45分ほど、長時間ルールで75分ほどかかります。時間に応じて選んでください。
 ゲームボードを使用するマップの面を表にし、つなげます。
 次に、得点ボード2枚につなげ、ゲームボードの脇に置きます。
 各プレイヤーは、プレイヤーコマを4つずつ受け取ります。そのうち、シールの貼ってある得点コマを、シールの貼っていない面を上にして得点ボードの「0」のところに置きます。
 ボーナスカードとトラベルカードを種類ごとに分けてシャッフルし、裏向きの山札とします。
 適当な方法で(たとえば、一番最近ご当地料理を食べたプレイヤー)スタートプレイヤーを決め、スタートプレイヤーマーカーを受け取ります。

●ラウンドの準備

 ゲームは、プレイ時間に応じて1〜2つのラウンドに分かれています。ラウンドの開始時に以下の準備を行います。

・初期所持金
 初期所持金は短時間ルールの場合は「28」、長時間ルールの場合は各ラウンド「25」です。全員の得点コマを初期所持金のマスに置きます。

・スタート地点の決定
 1ラウンド目はスタートプレイヤーの右隣(一番最後のプレイヤー)が、ボーナスカードの山札から1枚を引き、対応するアルファベット(ダッシュなし)のマスがスタート地点となります(引いたボーナスカードはそのままにしておきます)。
 2ラウンド目は、1ラウンド目の目的地がそのままスタート地点になります。
 全員のプレイヤーコマを1つずつスタート地点に置きます。残ったプレイヤーコマ1つは、自分の色を示すため自分の前に置きます。

・目的地の決定
 1ラウンド目はスタートプレイヤーが、2ラウンド目は一番最初に目的地に到着したプレイヤーが、ボーナスカードの山札から1枚引きます。
 1ラウンド目はボーナスカードに対応するアルファベット(ダッシュなし)のマスが、2ラウンド目はボーナスカードに対応するアルファベットのダッシュつきのマスが目的地になります。

・マップごとの目的地のルール
[日本マップ]
 日本マップでは、スタート地点と同じボード内か、隣接するボード内のマスが目的地となった場合は、同じアルファベットのもう1つのマスが目的地になります。

[東京マップ]
 東京マップでは、スタート地点と同じボード内か、スタート地点から有料路線を使わず移動力2で到達できるマスが目的地となった場合は、同じアルファベットのもう1つのマスが目的地になります。

・目的地コマの配置とボーナスカードの準備
 目的地のマスに目的地コマを配置します。
 そのあとで、ボーナスカードをすべて集めシャッフルし、ボーナスカードの山札とします。

●初期カードの購入

 短時間ルール、長時間ルールともに、1ラウンド目の開始前に、1枚だけカードを購入する権利が与えられます。
 「プレイ人数+2枚」のカードを山札からめくります。同じカードがめくられた場合は、何枚あるか分かるように重ねておきます。
 最後のプレイヤーから逆時計回りの順に、カードを1枚、購入することができます(購入しなくてもかまいません)。
 重ねられたカードを購入するときは、一番上のカードから入手し、下に重なっているカードの枚数分の得点を獲得します。

例:下図のようにカードが並べられたとき「指定席」を購入すると2点を獲得します。誰かが「指定席」を購入したら、獲得できる得点が1点ずつ減ります。

 スタートプレイヤーの選択が終了したら、残ったカードすべて山札に混ぜてシャッフルし、新たな山札とします。
 そのあとで、山札からカードを4枚、表向きに山札の脇に置き「カード売り場」とします。

●ターンの行動

 各ラウンドはいくつかのターンに分かれており、スタートプレイヤーから時計回り順でターンが回ってきます。
 ターンの行動は次の順に行います。

 1. 移動
2. アクション
  次のうちどちらか1つを実行する。
・料理を食べる
  ・カードを購入する
 3. 目的地到着

 それぞれの行動は、次に詳しく説明します。

1. 移動
 ターンの最初にプレイヤーコマを移動させます。初期の移動力は「2」で、移動力の範囲内で移動を行います(移動力を使い切る必要はありません)。
 消費する移動力は、前述の「マップ」の説明を参照してください。移動について、以下の2つの制限があります。

・人数制限
 スタート時を除き、同じマスに滞在できる人数には制限があります。2〜3人プレイのときは1人まで、4〜5人プレイの場合は2人までしか同じマスには滞在できません。
 人数がいっぱいのマスを通過することは可能です。また、目的地のマスがいっぱいでも目的地へ到着することは可能です。

・連続滞在の禁止
 ターン開始時と同じマスで移動を終了することはできません。ターン開始時、目的地にいた場合は、そのターンでは目的地に到着することはできません。
 例外として、初期の移動力の範囲内で有料路線を使わずに到達できるマスすべてが、人数制限で移動できない場合だけ、ターン開始時と同じマスで移動を終了することができます。

2. アクション
 移動が完了したら、移動後のマスで「料理を食べる」か「カードを購入する」かどちらか1つのアクションを実行することができます(何もしなくてもかまいません)。

2.1 料理を食べる
 到着したマスの料理のうち1つを選択し、料理のレベルに等しい金額を所持金から減らすことで、料理を食べることができます。所持金不足となるような料理は食べられません。
 グルメカードがなくなっていた、すでに到達したグルメレベルの料理を食べた、レベルの高すぎる料理を食べた、などの理由でグルメカードが獲得できなかった場合、料理のレベルに応じて次の得点を獲得します。
 2レベル:2点、3レベル:4点、4レベル:6点

・ボーナスカードの獲得
 3種類のグルメカードのセットができあがったとき(すなわち、3種類すべてのグルメレベルが、2レベル、3レベル、4レベルに到達したとき)、ただちにボーナスカードを獲得します。
 ボーナスカードの山札の上から3枚を引き、そのうち好きな1枚を自分の前に裏向きに置き、残りのカードを好きな順でボーナスカードの一番下に戻します。
 ボーナスカードの山札が3枚に満たない場合は、引ける分だけ引きます。

2.2 カードを購入する
 カード売り場からカードを購入できます。次の順でアクションを行います。

2.2.1 カードの再入荷
 カードを購入する前に、カード売り場のカードをすべて捨て札にし、新たに4枚のカードをカード売り場に補充することができます(しなくてもかまいません)。
 注意:自分以外の全員が目的地に到着している場合「カードの再入荷」はできません。

2.2.2 カードの購入
 カード売り場のカードのうち、好きなカードを好きな枚数だけ購入することができます。
 所持金不足となるような購入はできません。

3. 目的地到着
 目的地のマスで移動を終了した場合、最後のアクションとして「目的地到着」を宣言することができます。
 目的地に到着しなくてもかまいませんが、「連続滞在の禁止」により、次のターンでは目的地に到着できなくなります。
 目的地に到着した場合、得点ボード上の「目的地到着」エリアの中で、空いている一番得点の高いマスにプレイヤーコマを移動し、置いたマスの得点をただちに獲得します。目的地到着エリアにコマを移動することで、目的地に到着したことを示します。
 目的地に到着したプレイヤーは、次のターンからは一切の行動が行えなくなりますが、ターンが回ってくるたびに1点を獲得します。

●ターンの終了

 ターン終了時に、カード売り場のカードを4枚になるまで、山札から補充します。

●ラウンドの終了

 全員が目的地に到着し、スタートプレイヤーの右隣のプレイヤーまでターンを行ったら、ラウンドが終了します。
 裏向きにしていたボーナスカードを公開し、グルメカードの得点と、ボーナスカードの得点を加算します。

・次のラウンドへの引き継ぎ
 長時間ルールで、1ラウンド目が終了したら、次のラウンドへの引き継ぎを行います。
 各プレイヤーは、得点とカードだけ次のラウンドに引き継ぎます。所持金は1ラウンド目の残りは引き継がず「25」のマスに配置します。
 グルメカードは種類/レベルごとに分け、上から得点の低い順に並べます。
 ボーナスカードはすべてシャッフルし、新たなボーナスカードの山札を作ります。
 カードは各プレイヤーの持っているもの以外をすべてシャッフルして山札を作り、4枚を公開して新たなカード売り場とします。
 2ラウンド目のスタートプレイヤーは、得点が最も低いプレイヤーになります。同点の場合は、先に目的地に到着していた(目的地到着の高い得点にコマを置いた)プレイヤーが優先です。
 得点ボードの目的地到着エリアにある各プレイヤーのコマを、1ラウンド目の目的地マスに移動します。

●ゲームの終了

 規定数のラウンド(短時間ゲームは1ラウンド、長時間ゲームは2ラウンド)が終了したら、ゲームが終了します。
 得点が最も高いプレイヤーが勝者となります。同点の場合は、最終ラウンドで先に目的地に到着した(目的地到着の高い得点にコマを置いた)プレイヤーが勝者です。


- デザイナーズノート -

 2回目の更新では、デザイナーズノートを残しておきましょうか。説明書には書かない、ここだけの話です。

●制作のきっかけ

 冬の風物詩として「桃太郎電鉄」を追いかけていたのですが、2011年にシリーズ休止になってから、うまく日本全国を旅行するゲームができないかといろいろと考えていました。鉄道ゲームだと少し窮屈な感じになるので、テーマを広げて旅行ゲームという題材で考えていました。

 あとは、バリエーションマップをいろいろと作っていましたが、二次創作はいろいろと制約がでてきたりもするので、自分の作品であれば、好き勝手にマップバリエーションも作れるだろうということで、マップの差し替えも可能な形にしようというのももう1つのアイデアです。

 鉄道ゲームではありませんが、根底は 2007年の 18TKから始まる流れで、そこから枝分かれしてできたものという考え方もできなくはないです。

●テーマについて

 鉄道ゲームにすると、他のゲームによってしまいそうな感じがしたので、テーマは旅行にしました。国内はいろいろな場所に行っているので、個人的に作りやすいテーマではありますし、これまで作っていなかったテーマでもあります。

 旅行の目的としては、観光、グルメ、宿泊などがあるのですが、土地ごとのバリエーションがきれいに分かれて、ジャンルも分けやすいのはグルメということで、ご当地料理を食べる旅行にすることに。

 料理ごとにカードを作ったりするとひどいカード枚数になるので、マップにできるだけ情報を書く方向で、まずは 47都道府県のご当地料理をリストアップするところから始めました。47都道府県で、3つずつのご当地料理が出せそうだと分かった時点で、このテーマで進めることにしました。

●日本マップの規模感

 マップの規模感も、取捨選択が大変そうだということもあり、ざっくり 47都道府県に分けて、北海道だけは4つのブロックにわけて 50の地域にすることに。このあたりの個数は「トラベルブログ」のざっくりとした分け方にも影響を受けているかも。ちなみに、このゲームは私家版で日本マップと東京マップを作っています。

 マップにご当地料理まで書く方向に決めていたので、あとはどのように料理を食べていくかを考えることに。当初、野菜、魚、肉、穀物の 4ジャンルに分ける予定でしたが、バランスを考えて 3ジャンルにして、3つのレベルに分けることに。最大で 9種類の料理を食べるということにしました。50マスなのでこのくらいがちょうどいいのではという感覚からです。

 3種類、3レベルときているので、ご当地料理の数も各都市で 3つずつという決まりにしました。この決まりはマップごとに非対称でもいいのかもしれませんが。

 当初、場所によって料理の得点を少し変更する案もありましたが、そこはあまり気にせずに、レベルごとに決まった得点が入ることに。その代わりに、料理は早い者勝ちにという基本的な部分が徐々にきまっていました。

 移動は、サイコロを振らず固定の移動力で、カードを使ってプラスできるような感じに。そして、旅行を有利に進めるカードを入れることもこのあたりで考えています。攻撃カードを入れず、うまくできるようなものがないかを考えることに。

 基本的な部分が決まるまでは、脳内でシミュレーションしていますが、今回はこのステップにかなり時間がかかった感じです。

●マップの作成と肉付け

 ご当地料理のネタができた時点でマップを作ることに。都市間のつながりは都道府県境をすべて1移動力の路線にすると、いろいろとおかしな部分が出てきそうだったので、2移動力を消費する路線を作ることに。日本マップの長さの部分は、航空路線も少し加えることでカバーしています。この部分は未公開の「日本漫遊記」で作った部分ですね。

 あとは、ひたすらデータをマップに書き起こす作業を。今回、ネタができてから、テストプレイが可能な状態になるまで相当時間がかかっています。それらしいものができたので、軽くセルフテストを回すことに。

 当初、移動力は 3 でしたが、いろいろなところに行けてしまうので 2 に制限したり、料理も順不同でしたが、高い料理が優先的に取られることが分かったので、低いレベルから順にして、高いレベルの個数を減らす方向にしたりと大きな調整を入れています。ざっくりバランスをとって、破綻はしなさそうだということが分かったのでテストプレイに出すことに。

●先手番有利の解消

 テストプレイで出てきたのは、先手番が有利という点でした。手数を稼げるカードは初期から存在していたのですが、それだけでは解消できず、高レベルの料理の得点を低い順にしてみてはというアドバイスもあり、同じことをちょうど考えていたので採用することに。これにより、かなりじりじりとした感じが出てきました。

 あとは、カードの購入とご当地料理を食べるアクションをどちらかしかできないように変更しています。これもジレンマ感がでてきますし、先手番がいいカードを刈り取るのも防いでいます。

 もう一つ、初期のカード購入のフェイズをここで入れています。カードが自由に買えない状態だと、いいカードが出たタイミングでカードを購入できる方が有利なので、基本は先手番有利なのですが、ここの順番をひねって、後手番の方にいいカードか、得点が入るようにしています。手順を稼ぐカードを買えば、1手のアドバンテージを取れますし。

●バランス調整

 初期の段階でバランス調整を入れたのは、最高レベルの料理の扱いでした。これを自由にとれるとマップの制約が出てこないので、最高レベルの料理は自力で食べるようにしています。

 オールマイティーの「特製弁当」は、中間レベルの料理に使って実は1枠余裕が生まれるのを期待していたのですが、得点効率から最低レベルの方に使われることが多かったので、中間レベルのみに制限しています。最高レベルへの奇襲という使い方になるので、しまりが出てきた感はありますね。

 ご当地料理は、隣接マスの構成が全く同じにならないことと、行きにくい場所にレアな料理を置くことをそれなりに考えるくらいで、プレイングでバランスをとってもらう方式に。結果として、大きめの変更点は、極端に特定の料理が少ないところを変更したくらいでした。

 カードの得点と、料理の得点のバランスはギリギリまで悩みましたが、どちらでも勝てるように作ったつもりではあります。料理一辺倒の場合も、うまくカードを使わないと得点が伸びないですが、カードにお金を使いすぎると、効率のよい料理が他のプレイヤーに流れていくという感じです。

●プレイ時間

 最初のテストプレイから、1ラウンドでも 45分くらいかかるので、その点だけを少し気にしていました。カード引き継ぎがあり、2か所の目的地を目指す 2ラウンドのルールがおすすめではあるのですが、75分クラスになるので逃げ道を用意した感じです。

 おそらく、これまで作ったオリジナルの作品の中で一番プレイ時間がかかるものになったかと思います。ゲーマー向けのゲームとして作っているのでそれほど問題にならないかと思いますが、じっくり楽しんでいただければということで。


- ご当地グルメの紹介 -

 ゲーム中に登場するご当地グルメをいくつか解説していきましょう。

●日本マップ

・鮭のルイベ(道北)
 ルイベは冷凍保存した魚を凍らせたままで味わう北海道の郷土料理です。ラーメンやスープカレー、豚丼など近代的な料理が多いですが、こちらはアイヌ料理ですね。

・笹かまぼこ(仙台)
 かまぼこは地方によっていろいろな種類がありますが、仙台近辺だとこれですね。魚のすり身を笹の葉の形に成型し、焼いたものです。魚料理のカードイラストに登場しています。そのままいただいても、わさび醤油でいただいてもいいですが、サラダに入れても合うのです。

・福島餃子(福島)
 せっかくなので地元から。売り出したのはここ最近ですね。戦後満州からの帰国者が店で提供したのが発祥とのことで、円盤餃子が主流です。宇都宮は「昼の餃子」に対して、福島は「夜の餃子」といわれており、お酒と一緒にという楽しみ方でしょうか。それほど大きくなく、野菜が多めで個数は多めに食べられますね。

・ちたけそば(栃木)
 「ちたけ」というキノコを出汁にした栃木の郷土料理です。ちたけとなすを炒めて汁を作り、つけそばやかけそばとしていただきます。その土地に根付いた郷土料理ということで選んでいます。

・なめろう(千葉)
 房総半島沿岸部に伝わる郷土料理で、アジ、サンマ、イワシなどの青魚を日本酒と、ネギ、シソ、ショウガなどと一緒にたたきにしたものです。名前のいわれとして「皿についた身まで舐めるほどおいしい」という説もあります。漁師料理ですね。なめろうを焼いたものは「さんが焼き」と呼ばれます。

・ローメン(長野)
 マトンなどの肉と野菜を炒め、蒸した太めの中華麺を加えた、伊那地方特有の麺料理です。ラーメン風のものとソース焼きそば風のものがありますが、独特の風味があります。マトンは伊那地方の羊毛生産の副産物からとのことです。マトンの独特の風味で、好き嫌いは分かれるかもしれません。

・朴葉みそ焼き(岐阜)
 飛騨高山地方の郷土料理です。自家製のみそにねぎなどの薬味、椎茸などの山菜をからめたものを朴の葉に載せて焼いたものです。焼かれたみその風味がよい素朴な料理です。肉などが入ると一品料理になります。焦げやすいので火加減に気をつけながらといった感じでしょうか。

・飛鳥鍋(奈良)
 奈良地方の郷土料理で、鶏ガラの出汁とともに牛乳を加えた鍋料理です。鍋に牛乳という組みあわせは、妙な感じもしますが、実際にやってみると意外に合います。体が温まる料理ですね。

・なれ寿司(和歌山)
 魚を塩と米飯で乳酸発酵させたものです。冷蔵庫がなかった時代の保存技術から生まれたものですね。なれ寿司を郷土料理とする地方は多いですが、和歌山ラーメンのサイドメニューに「早すし」として登場するのが独特だと思います。これが、こってりとした少し動物くさい感じの和歌山ラーメンとあうのです。

・ののこ飯(鳥取)
 「いただき」とも呼ばれる、鳥取県弓ヶ浜地方の郷土料理です。油揚げの中に生米と野菜などを入れて炊きあげたものです。名前の由来は、防寒用の綿入れ(ぬのこ)に似ていることからついたとのことです。

・鯛飯(愛媛)
 愛媛県の郷土料理で、地方によって、丸ごと焼いた鯛を醤油や塩で味付けした炊き込みご飯の上に載せて加熱するものと、鯛の刺身をご飯に載せ、タレと生卵、薬味を混ぜたものをかけたものの2つに分かれます。後者の宇和島地方の鯛飯を食べたことがありますが、鯛の身と生卵、タレがよくマッチします。

・シシリアンライス(佐賀)
 佐賀市ご当地グルメで、まかない飯が発祥のようです。ご飯の上に甘辛いタレで炒めた薄切り肉とためねぎを載せ、その上にレタスやトマト、きゅうりなどの生野菜を盛りつけ、仕上げにマヨネーズをかけたものです。トマト、ゆで卵、キュウリやレタスの色合いがイタリアの三色旗のイメージとなり、シチリア島(シシリー島)にちなんでついたとのことです。

・りゅうきゅう丼(大分)
 大分県の郷土料理で、新鮮な魚を醤油、酒、砂糖でつけ温かいご飯に載せた漬け丼です。こちらも漁師料理が発祥ですね。名前の由来は、琉球(沖縄)から鹿児島を通って大分に伝わった調理法という説があります。

●東京マップ

・雀焼き(千住)
 名前は雀焼きですが、千住の名物料理の方は魚料理です。小魚を背開きにして串に刺し、たれをつけて焼いた料理です。さばいた雀の肉を開いた形に似ていることなどから名付けられたとされています。東京マップでは珍しい、地方の名物料理です。

・ももんじ屋(両国・亀戸)
 江戸時代に鉄砲などで捕獲したシカやイノシシなどの肉を扱う店のことです。両国のものは1718年創業のイノシシ肉料理のお店です。「ももんじ」はイノシシ、シカ、タヌキなどの野獣を総称した語とのことです。

・コロッケそば(新橋)
 コロッケそばは、関東ローカルグルメのようです。かけそばにコロッケをトッピングしたもので、立ち食いそばに安いコロッケという組み合わせが特徴です。関東の濃い汁と、ふやけたコロッケが何とも言えない組み合わせになります。発祥は銀座のようですが、立ち食いそばのつながりで新橋に配置しました。

・鉄火巻き(品川)
 鉄火巻きは品川発祥ということで入れました。マグロの赤身を芯に、酢飯とのりで巻いた細巻き寿司です。名前の由来は諸説ありますが、鉄火場(賭博場)でばくちをしながら食べられる料理という説があります。この説だとサンドイッチと似たような感じですね。

・からし焼き(赤羽・十条)
 十条の名物料理で、炒めた肉と豆腐をたれで煮込み、唐辛子、ニンニクで味付けし、ショウガ、ネギ、キュウリを載せた料理です。いかにもスタミナがつきそうな料理ですね。これも、東京マップでは数少ない名物料理として上げています。

・ホットドッグ(新宿)
 新宿は名物料理というよりも個性的なお店ということで出してみました。お店の名前は出しませんが、駅ビルにある小さなビアカフェです。ホットドッグは看板メニューから出しています。このお店は朝 7:00 から開いているので、早めの朝食にもいいところですね。

・黒豚とんかつ(恵比寿・目黒)
 このエリアは名店揃いではありますが、思い入れのあるお店ということで選びました。中目黒のとんかつ店です。塩でいただくロースカツもおいしいですが、塩カツ丼もさっぱりとした感じでおいしくいただけます。

・枝豆(成城・狛江)
 狛江の名物ということで出しています。なぜ枝豆が名物になったかというと、狛江市の形が枝豆の豆の形に似ているからとのことです。東京都下は畑も見られますが、市の形から名物になったというのは聞いたことがなかったので、選びました。

・おでんそば(立川)
 立川駅独自の立ち食いそばのメニューが由来です。普通の立ち食いそばですが、トッピングがおでんのさつま揚げ(または、ゆで卵)というところが独特ですね。大きめのさつま揚げを、おでんのように和からしをつけていただくのも楽しみ方のひとつです。東京都下では数少ない魚料理の分類にしています。

・レッサーパンダのしっぽ(日野)
 日野市は新撰組で有名ですがご当地グルメと直接結びつかず、引っ張り出してきた料理がこちらです。日野市にある多摩動物公園のフードコートのメニューからです。ソーセージをポテトで包み揚げたもので、レッサーパンダのしっぽを模しています。

・稲城梨(稲城)
 稲城市の名産は梨ということで、稲城梨をご当地グルメとしてあげています。船橋市にすっかり押されていますが、稲城梨は稲城市内だけで生産され市場に出回らない梨とのことです。梨の生産は江戸時代から始まったのだとか。

・シナモンロール(多摩センター)
 ここも、ご当地グルメの選定は難航しましたが、近隣のテーマパークからネタを出しました。シナモンロールに似た名前のキャラクター郡がいるので、キャラクターとからめて施設内で提供しているのではと思っていたら本当にありました。元ネタのメインキャラクターはかわいらしい姿ですが「白い犬の男のコ」とのことです。


 というわけで、各マップからご当地グルメをいくつか出してみました。日本マップは選択肢が広く、選定も比較的楽でしたが、東京マップはネタ出しが難航した場所が何か所もあります。


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