お待たせしました。ゲームマーケット前恒例のゲームのらくがきです。ルールブックのドラフト版と、デザイナーズノートをまとめてお送りしましょう。
「サブウェイ ネットワーク」は、プレイ人数は 3〜6人、プレイ時間は 60分程度です。
今回も、ルールブックのドラフト版からの抜粋なので、最終版で記載内容が変わる可能性があります。
地下鉄を敷設して、より魅力的な鉄道網を作りましょう。出発駅から路線を延ばし、路線網の価値を上げていきます。
全部の路線が敷設された時点で、駅や乗客、事業による得点を合計し、最も得点を稼いだプレイヤーが勝利します。
このゲームは、以下のものが入っています。
・マップボード 6枚 (両面で日本マップ/東京マップ)
・行動選択ボード 1枚 (両面で3〜4人用/5〜6人用)
・アクションボード 1枚 (両面で3〜4人用/5〜6人用)
・路線カード 24枚 (裏面が茶色)
・事業カード 12枚 (裏面が黄土色)
・乗客カード 12枚 (裏面が紫色)
・追加駅タイル 12個
・始発駅マーカー 18個 (6色×3個)
・列車マーカー 18個 (6色×3個)
・得点/アクションマーカー 12個 (6色×2個)
・マニュアル 1冊
地下鉄を運営していき、アクションを選んで、出発地マーカーから路線を延ばしていきます。自分の路線に、駅を多く通過させたり、目的に合った乗客を誘致したり、新規事業を開拓することで得点を稼いでいきます。規定のラウンドが終了し、すべての路線が埋まった時点で最も得点の高いプレイヤーが勝者となります。
・マップボード
マップボードは6枚に分かれており、東京マップと大阪マップが両面に印刷されています。
マップには、外周を取り囲む出発駅と、路線カードを置くスペースからなり、マップの左側には得点を示す得点エリアがあります。
出発駅の点線で囲まれた場所に、プレイヤーの出発駅マーカーを置くことができます。出発駅マーカーから自分の路線を延ばしていきます。点線の近くに書かれている数字はその駅を通ったときに入る得点です。
得点エリアは、ゲーム終了時に各プレイヤーの得点を記録する場所です。
・行動選択ボード/アクションボード
行動選択ボードとアクションボードは、対応する人数の面を使用します。アクションボードの上に、行動選択ボードを重ねて使用します。
行動選択ボードは、行動選択順と選択したアクションを示します。アクションボードは、各ラウンドのアクションの内容と、次のラウンドの行動選択順を示します。
・路線カード
路線カードは、プレイヤーが敷設する路線を示します。6方向に路線が延びており、途中駅が2つあります。背景の色は路線の伸びている方向によって分けられています。途中駅は「公共施設」「高層ビル」「デパート」の3種類からなり、後述する乗客カードに影響します。
・事業カード
事業カードは、新規事業の開拓のアクションで使用します。
・乗客カード
乗客カードは、乗客の誘致のアクションで使用します。
・追加駅タイル
追加駅タイルは、追加駅配置のアクションで使用します。詳細は後述します。
・出発地マーカー/列車マーカー
出発地マーカーは、各プレイヤーがどの駅から出発するかを示し、出発駅のスペースに置かれます。列車マーカーは、各プレイヤーの路線がどこに延びているかを示します。
・得点/アクションマーカー
得点/アクションマーカーは、各プレイヤーのアクションの選択順、選択したアクションと、ゲーム終了時の得点を示します。
ゲームを始める前に、全員で使用するマップを決めます。東京マップはTK1〜TK6の面、大阪マップはOS1〜OS6の面です。マップボードを決めた面を表にし、下図のようにつなげます。
アクションボードと行動選択ボードを人数に応じた面を表にします。3人のときはアクションボードの0の列の上に、それ以上の人数のときは1の列の上に矢印が来るように行動選択ボードを重ねます。
各プレイヤーは、色を1色決めて、決めた色の出発地マーカーと列車マーカー、得点/アクションマーカーをすべて受け取ります。
得点/アクションマーカーをランダムに1枚ずつ引き、引いた順に、アクションボードの「行動選択」の数字の下に配置します。これが最初のラウンドの行動選択順になります。
路線カード、事業カード、乗客カードをよくシャッフルし、それぞれ裏向きの山札としてマップボードの近くに置きます。
路線カードをマップボードの人数に対応した数字のマスに、マップの上下と路線カードの上下を合わせた方向で、表向きに配置します。
そのあとで、各プレイヤーに路線カードを2枚ずつ配ります。乗客カードは、上から4枚を表向きにして、全員が見えるところに並べます。
各ラウンドは、3つのフェイズを順番に行っていきます。
1. 行動選択
最初のラウンドはランダムに決めた順番で、2ラウンド目以降は、前のラウンドのアクションに応じた行動順で、このラウンドに行うアクションを選びます。
行動選択の数字の低い順に、下の「アクション」の空いているアクションのマスに自分の得点/アクションマーカーを移動します。選択したマスによって、このラウンドの行動順と、追加アクションが決まります。
2. 新規事業の開拓
事業カードのマスにマーカーを置いたプレイヤーがいる場合にのみ行います。
事業カードアイコン内の数字の一番小さいマスにマーカーを置いたプレイヤーは、事業カードの山札からカードを3枚取り、中身を見て1枚を手元に置き、残りを次に数値の小さいプレイヤーに渡します。次のプレイヤーは、残りのカードを見て 1枚を手元に置き、残りを次のプレイヤーに渡します。最後のプレイヤーは渡された1枚を手元に置きます。
事業カードのマスに1〜2人しかマーカーを置いていない場合は、最後のプレイヤーは残りのカードを好きな順で山札の一番下に戻します。
事業カードには、流通、飲食、宿泊の3種類があり、それぞれ枚数と得点が異なります。流通と飲食のカードを両方持っているプレイヤーはゲーム終了時に6点のボーナスが加算されます(2枚ずつ持っていても、6点しか加算されません)。
3. アクション
全員の行動選択が完了したら、各プレイヤーのアクションを行います。数字の小さいマスにマーカーを置いたプレイヤーから順に、以下のアクションを書かれている順番に1回ずつ行います。
3.1 出発駅マーカーの配置
手元に出発駅マーカーがあれば、空いている出発駅のマスに配置することができます。自分の列車マーカーがすべて手元に戻っている、すなわち、建設可能な場所がない場合は、必ず出発駅マーカーを配置しなければなりません(最初のラウンドは、必ず出発駅マーカーを配置しなければなりません)。
出発駅マーカーを配置したら、そこからつながっている路線の先端に自分の列車マーカーを置きます。他の出発駅まで到達している場合は、列車マーカーを手元に戻します。
3.2 路線敷設
自分の列車マーカーが置かれている路線に隣接する場所に、手札の路線カードのうち1枚を配置します。路線カードは、カード置き場に重ねて配置する必要がありますが、上下を逆さまにしてもかまいません。
自分の列車マーカーがすべて手元に戻っている場合は、空いている好きなカード置き場に配置します。
カード置き場が空いている限り、路線敷設をしなければなりません。すべてのカード置き場が埋まっている場合は、路線敷設は行いません。
3.3 追加アクション
アクションボードの置かれているマスの矢印の先に書かれている追加アクションを行います。追加アクションには次の種類があります。
・追加駅タイルの配置
マスに書かれた追加駅タイルを、まだ追加駅タイルの置かれていない路線カードに配置します。路線カードに書かれている 3本の路線のうち、好きな路線の上に追加駅タイルを置きます(追加タイルの配置は必ず行います)。
・始発駅タイルの配置
マスに書かれた始発駅タイルを、まだ始発駅タイルの置かれていない始発駅に配置します(始発駅タイルの配置は必ず行います)。わかりやすいように得点のところに配置するとよいでしょう。配置した始発駅の得点を、元の得点にかかわらず、4〜5点にします。
・トンネルタイルの配置
始発駅マーカーも、始発駅タイルも置かれていない、空いている始発駅2つにトンネルタイルを1つずつ配置します(トンネルタイルの配置は必ず行います)。それらのトンネルタイル同士は、路線でつながっているものとして扱います。トンネルタイルの置かれた始発駅は、元の得点に変わらず、1点の途中駅になります。
・乗客の誘致
表向きになっている乗客カードから1枚を選び、自分の手元に裏向きにして配置します(乗客カードは必ず獲得します)。乗客カードに書かれている条件を満たすと得点が加算されます。
・新規事業の開拓
新規事業の開拓は、前のステップで実行しているため、追加アクションはありません。
3.4 ターンの終了
すべてのアクションが終了したら、得点/アクションマーカーを、行動選択のアクションマスに書かれている数字の場所に戻します。これにより、次のラウンドの行動選択順が決まります。
乗客カードが 3枚以下の場合は、乗客カードの山札から4枚になるまで補充します。補充できない場合は、少ない枚数のままとなります。
全員のアクションが終了したら、ラウンドが終了します。
最後から2番目のラウンドと、最終ラウンド以外は、各プレイヤーに路線カードの山札から路線カードを1枚ずつ配ります。
そのあとで、次のラウンドがあれば、行動選択ボードを次のラウンドの場所まで動かし、「1. 行動選択」に戻ります。
最終ラウンドが終了したら、ゲームが終了します。
全員、持っている得点/アクションマーカーを得点エリアの0点のマスに置き、行動選択の早い順に得点計算を行います。
路線の得点は、自分の出発駅マーカーから路線をたどり、通過したすべての駅の得点を合計します。事業カードの得点は、持っている事業カードの得点と、流通、飲食のカードを両方とも持っていれば6点のボーナスを加算します。
乗客カードの得点は、カードテキストに従い計算します。路線を1つ選択するカードが複数ある場合、複数のカードで同じ路線を選択してもかまいません。「複合施設」は乗客カードごとに「公共施設」「高層ビル」「デパート」の好きな1種類として扱うことができます。
得点エリアの合計得点のマスに、マーカーを配置します。全員の得点計算が終わった時点で、最も得点の高いプレイヤーが勝者となります。同点の場合は、行動選択の順番が早いプレイヤーが優先となります。
恒例のデザイナーズノートです。こちらはルールブックには載せないので、ここだけの話です。
秋向けに別の作品を考えていたのですが、春開催が 6月中旬、秋開催が11月中旬と、あいだの期間が短く、すでに 10月中旬のイベントラッシュも見えていたので、手がかからない作品を作る方向にシフトしました。
以前からアイデアとしてあった、アクション選択の鉄道ゲームを作りたいというところがあります。雰囲気としては「Age of Steam」のリメイク版の「Steam」に近い感じです。ドラフト形式のカードゲームをお蔵入りさせていたのですが、そこからのアイデアの継承になるでしょうか。
鉄道ゲームなら路線を引きたいということもあったのですが、タイルを作るには時間もコストもかかるので、カードでうまくできないかと思っていたところで、春の作品「ステステレイルロード」に出会いました。カードで路線敷設するタイプでもそれらしくなることもわかり、「メトロ」や「インディゴ」のように内側に伸ばす形をとることにしました。
コンポーネントが少なく、マップが小さな鉄道ゲームということで、プロジェクト名は Kotetsu とつけています。借りのタイトルがすぐに出ればそちらを使うことが多いのですが、今回はなかなか出てこなかったので。
少ない枚数で、路線を引いてマップを完成させようとすると、扱える地域には制限があります。カードの構成をあれこれ考えていたら、複雑な路線にならざるを得ないことが分かったので、これは山手線内の地下鉄にしようと早い段階で絞り込みました。
マップの形が先に決まっていたので、そこから適当に駅名を割り振って、得点をつけてという感じです。実際の路線では考えられないような変な路線ができあがったりもするのですが、そこも含めてのゲームということで割り切りました。実際の移動に忠実にすると春の「ご当地グルメ漫遊記」にマップがよってしまうというのもあるので。
地下鉄から連想できるものをいろいろと出して肉付けをします。駅を通過することで得点というところは考えていて、複数の得点手段が欲しいので、ボーナスカードとして乗客カードと、事業カードの2種類を作ることに。ここのバランスが一番悩ましいところでした。
もう1つ入れたかったところは、始発駅同士をつないで路線を延長するというトンネルです。思っていた路線がすぐに終わってしまったプレイヤーの救済もありますが、長距離路線の夢も広がるので採用しています。
最初は、使うカードをすべて使い切りでプレイしたのですが、2時間クラスの重いゲームになって、メスが入りました。1つは得点のデノミを行って計算を簡単にすること、もう1つは、手持ちのカードを減らして選択肢を減らすことでした。どちらも、1回目のテストプレイの段階で意見として出て、自分自身もそうした方がいいと思ったので、手をつけることに。
得点のデノミは、カード上の途中駅を1つに減らすことも考えたのですが、そうすると、路線敷設の妙味がなくなるので、そこだけは変更せずに、他の数字をスケールダウンしました。セルフテストで1つに減らしたものでプレイしたら、一気に面白味がなくなったので。
プレイ時間の問題は、手札を2枚にするだけで一気に解消しました。60分ゲームであれば想定範囲内ですし、路線敷設の関係上ラウンド数は変えられないので、それ以上は変更していません。
大まかなバランスはほぼとれて、あとは、数値調整のフェイズに。人数による得点の入り方の違いと、大人数時に事業カードが強すぎる問題があり、事業カードの得点はプレイするごとにみるみる下がっていきました。乗客カードはあまりバランスをいじっていません。
最終的には、ほぼ限界まで得点を下げ、多人数のときは行動順でのアドバンテージも若干落とすバランスにしました。それでも、タイル配置系のアクションよりも得点は入るようになっていますが。
「シティー ビジョン」のようにデノミ後のバランス調整に苦労することが想定されていたのですが、乗客カードは強弱があっても問題ないデザインだったことと、アクションタイルの数値バランスも結局は選択の優先度でカバーできる範囲だったので、影響を大きく受ける事業カードの調整だけで済みました。
アクションボードでのボーナスアクションと、行動順と、次ターンの行動選択順は、このゲームの妙になると思っていたのですが、効果の強弱を比較的わかりやすく作ったので、大きな変更はあまりありませんでした。といっても、多人数では相対的に強くなる事業カードの順番を遅めて、行動選択権も落としていますが。
今回は、6月21日にお披露目で、8月23日でほぼ調整完了と、バランス調整的には 2か月くらいで完了しました。
バランス調整の中盤で、形状を変えなければ、マップバリエーションが作れそうということで、急遽、大阪マップを用意しました。大阪はここ最近は年2回いっていますが、取材不足のところはあり、ある程度は想像で得点をつける作業に。駅の選定も大阪環状線だけだと少し狭いので、外側に広げたりしています。
こうしてできあがったのが、海沿いの西側に高得点が少ない、若干偏りのあるマップです。東側から順に埋まっていくので、東京マップよりも展開が難しいかもしれません。
恒例のルールブックのドラフト版とデザイナーズノートをお送りしました。今回はもう1作品ありますが、こちらはルールブックがない(ポストカードに直接印刷)のでどうしようかと思ったりとか。