今回は、TGFも控えているということで、ゲームのらくがきをお送りしましょう。
今回のテーマは「日本乗車券」です。市販ゲームのバリアントマップになるため、ルールの方は差分だけを、あとはデザイナーズノートみたいなものをお送りします。
プレイ人数は 3〜5人、プレイ時間は 1時間ほどです。東京乗車券より若干ターン数が多く時間がかかりやすい可と思います。
2008年のゲームマーケットで出展した「東京乗車券」ですが、作り出した当初から、ひとつ気になっていたことがありました。それは、東京首都圏マップは首都圏の地理に詳しくないとフルに楽しめないのでは、というところでした。
当初は東京乗車券と平行してマップだけ作っていたのですが、日本地図がきれいに収まりきらないのとバランス鳥に時間がかかりそうだということ、あとは作業量が多いことが途中でわかったので、またの機会にということでしばらく寝かせておいたのでした。
おかげさまで、「東京乗車券」は早い時間帯に作ったぶんがなくなってしまい、再生産の希望もでているという状態でした。再生産のときには、日本版も一緒に出したいという思いはそこからです。
日本列島は、ボードゲームにはあまりには向いていない形といわれています。南北に長く、横幅が狭いので陣取り系のゲームだと地方別に分かれてしまうということがあったりするのです。あとは長方形のボードには海の面積があまりにも多くそのあたりも難しさの一つになっています。
日本乗車券も、この形状にかなり苦労しました。東京乗車券の頃は正方形8枚のマップだったのですが、これでも列車を置くスペースが足りず、全体的に短い路線だらけという感じになってしまいました。
ラミネーター購入から、A4横の横長のボードで作れるようになったのですが、それでも日本列島の形を残そうとするとうまくいかず、マップをデフォルメさせてもまだうまくいかずで、最終的には A4×6枚を組み合わせて作るという風変わりなボードになってしまいました。
それでもまだ、列車の長さとしてはぎりぎりになってしまいました。南北に長いこともありますが、できるだけ駅の数も要所を押さえたいということで作った結果、6本路線が全くないマップになりました。実際には北海道あたりにある程度スペースはあったのですが、本州、四国、九州では場所が取れないということで、マップの特徴にしました。
もうひとつは、本州と北海道、四国、九州を渡る部分がネックになる点です。青函トンネル、瀬戸大橋、関門海峡は、あえて特徴として残すことにしました。
あとは、マップの特徴としては新幹線のルートはすべて無色/短距離にし、それ以外のルートは色つきと極端に分けています。幅の狭い大阪より西は3本路線にしていますが、全体的に場所争いはかなり熾烈です。
このマップでは、3本路線のルールを、「東京乗車券」から変更しています。5人のときは先着3名ですが、4人のときは先着2名までです。これで、4人プレイ時でもかなりの緊張感があります。
ここで話に出てきましたが、チケットの割り振りが一番苦労した点です。横幅が狭い、南北に長いということで、最初は北側と南側の2通りの目的地が書いてあるダブルチケットにしていました。しかし、これだとチケットが簡単すぎるということで、チケットを引ききる自体も出てきました。あと、割り振りが普段の2倍とかなり多いのです。
長距離チケットはそれで勝負が決まることが多いのと、似たような路線になってしまうことからどうしても入れにくいこと、そして、3か所の橋をつぶされるとゲームが終わりかけるということで、見送っています。
その結果、短距離のみの構成で「東京乗車券」よりも短いチケットが多くなりました。得点分布は5点〜9点とかなり低めにつけています。通常のチケットに戻す代わりに地域が広いということで3枚ではなく4枚引くようにしています。短距離路線の多い新幹線ルートに多めの配置にしています。
マップの特性上「東京乗車券」よりシビアになるのはわかっていましたが、そのぶんバランス調整も難しいモノになりました。最初は北海道に誰も行かないことが多かったのですが、途中から、北海道単独でも勝てるような強さになってしまい、バランス調整をしてチケットを極端に減らして今に至るという感じになりました。
九州、四国はそれほどバランス調整の必要はなかったものの、関東は短い路線が多くあまりおいしくないとされて終盤まであいてしまったりしたりもしました。こちらもチケットの振り方で調整しています。
日本海側も、最初は誰も通らなかったのですが、バランス調整をした結果強すぎてしまい、最長路線との兼ね合いで連勝することもありました。現状はチケットの枚数を減らして調整しています。
素点狙いはしにくいのですが、5本路線をコンスタントに押さえる方法もそれなりにいけるようです。特にチケットの兼ね合いで分断されたりした場合に有効になるのではと思います。15点の6本路線が強いというのもありますが、なければないで、5本路線も十分強いことがわかる結果になり新鮮でした。
地理的に誰でも楽しめるようにしたかったのですが、ゲームとしては難度の高いマップになってしまいました。ただ、このゲームの場合プレイスタイルに大きく依存するところが多く、全員でカードを貯めるとまったりとした展開になるようです。
そんなわけで、簡単にですがデザイナーズノートのようなものを作りました。日本マップをまとめるのの難しさがこのゲームでわかりましたが、ここまで持ち込めたのは、やはり地理的に安心できるようなものを作ってみたかったということにつきますね。