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● ゲームのらくがき 「東京乗車券」 ●

 今週は、更新ネタがないということで2周連続で、ゲームのらくがきをお送りします。リミックスになりますが「東京乗車券」をお送りしましょう。単独作品として、既存ゲームに手を加えるのは「ビバあいづでいこう」以来かもしれません。あちらも Alan R. Moonのゲームからの鉄道ネタですが、こちらも同じ方向性です。

 マップ、ルールなどは固まっていない所があるので、今回は全面的にデザイナーズノートのような感じでいきます。プレイ人数は、4〜5人を想定しています。3人でもプレイ可能とは思います。プレイ時間はリメイク元と同じなので60分程度でしょう。


●製作のきっかけ

 前々から、オリジナルで60〜90分クラスの鉄道ゲームを作りたいと思っていたのですが、なかなかアイデアが固まらない状態が続いていました。

 去年くらいから、鉄道ゲームをいろいろとプレイする機会に恵まれ、「レイルバロン」「蒸気の時代」「1830」などの名作をプレイすることができました。これらの作品は面白いのですが、時間がかかるのが難点としてありますからね。

 そうこうしているうちに、「アメリカ横断鉄道ゲーム会」の話が出たり、「18TK」のテストプレイに参加したりと、鉄道ゲーム熱が上がり、もうちょっと手軽な線でマップを作ってみたら楽しめるのではないかということで、マップを書き起こしたのがきっかけです。

●地図作り

 ゲームの要となるマップですが、前々から東京を舞台とした鉄道ゲームを作りたいというアイデアはあったので、ベースとなる素材はある程度入手済みでした。

 とりあえず、JRに乗っているとやたら目につく、首都圏鉄道路線図と、私鉄とJRのつながりというゲーム的においしいところが抽出されているSuica/Pasmo路線図を元に対象となる都市を列挙していく作業を行いました。

 首都圏の路線は、おおよそ山手線を中心に各方向へ放射線状に伸びているので、西、南、北、東と各方向に伸ばすように、あとは、その間を結ぶ路線を入れて、適度に間の駅を採用してという感じでした。

 あとは、地下鉄から各社路線への相互乗り入れが多いという特徴はあるのですが、乗車券で立体交差を表現することができないため、ばっさりと切り捨てました。山手線内というのも切り口としてあるのですが、路線が混み合っていることと、交通の便がよすぎるということであきらめています。

 各方向にどこまで伸ばすかですが、「桃太郎電鉄TOKYO」のマップ範囲くらいかと漠然と思っていました。西は中央線で八王子、北は宇都宮線と京浜東北線で大宮までというのはほぼ確定していたのですが、南と東をどこまで伸ばすかで若干悩みました。

 八王子からのアクセスとマップの広さを考えて南は横浜止まりにしてあります。主役は東京なので、それをカバーできればという感じですね。メインの路線は東海道本線と、京急をイメージしています。

 東は津田沼、船橋あたりまでと悩みましたが、こちらは駅の数が少ないため千葉までは入れることにしました。そこまで入れて、路線的に面白いところということで、蘇我も入れてあります。これは、遠征で実際にこの区間に行ってなかったら入らなかったであろう駅ですね。総武線、京葉線を意識しています。

 あとは、それぞれの主要路線を結ぶ路線ですが、武蔵野線や、高崎線、八高線、横浜線を外回りにして、南武線と私鉄を加える感じにしました。

 路線を交差できないという強い制約があるため、泣く泣く落とした路線も数多くあります。逆にその効果で、井の頭線や南武線の交差する駅が登場したりして若干偏っているかもしれません。縦軸をゲームで表すのは難しいのですが、可能な限り表現したかったという思いはあったりしますから。

 西側は、行く機会もそう多くないのと、路線があまり込み入っていないことがあり、あっさりと作りました。つくばエキスプレスを部分的に入れたら、例外的に地下鉄が入ってしまったりといううっかりもありますね。

 路線の長さは、実際の距離と乗っている時間的感覚をベースにざっくりと決めていきました。これを元に、マップに起こしていきます。

 マップは、実際の地図にある程度沿うような感じで作ってみたのですが、実際にやってみるときれいにボードに収まらないことが判明し、若干ゆがませることにしました。電車に乗っていると、位置関係が分かりにくくなるというのはありますが、この作業をすると新たな発見があったりします。

 都市の位置を決めて、それを結ぶ路線を引いて、長さの微調整をしてというのを繰り返し、ようやく形になりました。乗車券のマップデザインは実際に列車を配置するということもあり、かなり難しいというのが分かりました。

 2本路線の選択ですが、これは、主軸となる主要路線を2本に、それ以外を1本にということにざっくりと決めました。4方向と入っていましたが、常磐線があるので主要路線は5方向ですね。

 そして、最後の作業は色決めです。これは、全部の路線の長さと割合を出して、元のゲームのデータも取った上で、できるだけ均等になるように割り振ることにしました。無色は山手線+その近辺と決めていたため、複数方向に伸びる路線では、かなり難しいパズルになっています。国分寺や、船橋ではほぼ全色が登場しています。

 あとは、入れたかった遊びとして、若干ですがラインカラーにあった色をつけるようにしています。

 実際にプレイしてみて、東京近辺の競争があまりに激しかったので、3本路線を導入したりしています。このあたりは若干変わるかもしれません。

 長くなりましたが、こんな感じでマップを作っていきました。初期版完成までおおよそ2週間ほど。マップ作成は数日でやってしまったような間があります。

●チケット作成

 これもまた面倒な作業です。元のゲームではチケットが30枚あり、分布を見たりしていたのですが、マップによってかなり性質が異なる部分があり、一旦作ったものを作り直しています。この部分は調整もできていないので変更の可能性は大いにあります。

 チケット作成の前に、やるべきことがひとつあります。駅間の最短経路を求めることです。これは、スクリプトでざっくりとプログラムを組んで処理しました。

 修正後のものは、方面ごとに所属する駅数に比例する形でチケットを割り当て、なるべくうまくばらけるように都市の設定をおこないました。1ターンで完成しないことと、できるだけ2通り以上の距離の近いルートがとれること、完全なサブセットを作らないこと、を念頭に置いています。

 修正前のものは、長距離チケットがあったのですが、マップの特性上、ショートカットの路線があり、あまり長距離チケットに向かないこと、距離が稼げるのは中央線を横断する方向しかないことから、思い切って短距離チケットのみの構成にしました。これがゲーム的にどう影響するかは見切れていません。

 なお、「東京乗車券」では、最長路線ではなく最多チケットのボーナスを採用しています。名称はそれらしく「東京周遊賞」としました。バランスとしてどうなるかは分かりませんが、最長路線を引くよりもあっているような気がしています。


 とりあえず、マップとチケット作成の手順などお送りしてみました。これという手段があるかどうかは分かりませんが、後で自分で振り返るためにも書き残してみました。

 せっかくいい題材があるので、日本マップも作ってみたいところではありますが、東京マップ以上に困難なのが予想されます。南北に長い路線なので、チケット達成のためには駅舎がないと厳しそうですね。あとは都市の選定も難しいような気がします。


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