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● ゲームのらくがき 「バリュースケール」 ●

 いよいよゲームマーケットの準備期間ということで、後の作業につなげるためのゲームのらくがきをお送りしましょう。出展するときはTIPSをつけることにしています。逆にここだけの要素としてデザイナーズノートらしいものを乗せることにします。

 プレイ人数は 3〜5人、プレイ時間は 30分程度です。


- バリュー スケール -

 3種類の通貨を使い、3種類の交易品を購入して得点を稼いでいきます。最初は全員同じ状態からスタートしますが、購入したモノによって、効果の価値も、交易品の価値もプレイヤーごとに変わっていきます。モノの価値は人それぞれ、うまく自分の有利になるように進めていくのがポイントです。

●このゲームに入っているもの

 通貨チップ(ダカット、フローリン、ギルダー) 75枚
 品物カード 23枚
 ディーラーカード 1枚

●ゲームの目的

 最初に配られた通貨チップを元手に、交易品を購入していきます。購入した交易品や所有している通貨チップには、価値が決まっており、ゲームが進むにつれてプレイヤーごとに価値が変わっていきます。ゲーム終了時に持っている通貨チップと、交易品の価値の合計がもっとも多いプレイヤーが勝利します。

●ルールのバリエーション

 このゲームは、「オークション方式」「入札方式」の 2種類の競りで楽しむことができます。ゲームを始める前にどちらの方法を使用するかをプレイヤー間で決めてください。初めてプレイする場合は「オークション」をおすすめします。

●準備

 各プレイヤーに、通貨チップをダカット7枚、フローリン5枚、ギルダー3枚の合計15枚を配ります。プレイヤーは持っている通貨チップの種類や枚数をほかのプレイヤーに公開する必要はありません。

 品物カードをよくシャッフルし、裏向きの山札にしてテーブルの中央に起きます。山札から3枚カードをめくり表向きにして、山札の近くに置きます。

 適当な方法(たとえば、いちばん最近に両替をしたプレイヤー)でディーラーカードを受け取るプレイヤーを決めます。準備が完了したら、最初の競りが始まります。

●競り (オークション方式)

 ここでは、オークション方式の競りについて説明します。入札方式の競りは、バリエーションルールとして後述します。

・商品カードと競りの開始プレイヤーの選択
 ディーラーカードを持つプレイヤーは、表向きの商品カード(3枚)のうち 1枚、または、2枚を選びます。組み合わせは自由ですが、暴落カード(ダカット暴落、フローリン暴落、ギルダー暴落)は 1枚でしか選べません。
 商品カードの選択時に、山札の枚数を確認してもかまいません。

 品物カードを選んだら、ディーラーカードを持つプレイヤーは、誰から競りを開始するかを選びます。自分自身を選んでもかまいません。

 競りの方法は、品物カードの種類によって異なります。

 A. 暴落カード以外の競り
 ・競り
 プレイヤーは品物カードを獲得するために競りを行います。ディーラーカードを持つプレイヤーに指名されたプレイヤーから時計回りに進行し、自分の手番になったら次のうちどちらかを行います。

  1. 値段をつける
    0以上で、直前のプレイヤーの競り値を超える値段をつけます。手持ちの通貨チップの枚数を超える値段をつけることはできません。競り値は支払う通貨チップの「合計枚数」を示します。支払いの内訳はあとで自由に決めることができます。

  2. 降りる
    競り値をつけたくない、または、つけられない場合は、その競りから降りることができます。

 ・落札者の決定
 値段をつけたプレイヤーが1人になったら、残ったプレイヤーが落札者となります。落札者は、競り値の枚数の通貨チップを好きな組み合わせで支払い、テーブルの中央に置きます。この通貨チップは、落札者以外プレイヤーに分配されます。
 全員が値段をつけずに降りた場合、競りにかけられた品物カードは誰も獲得せず、箱に戻します。

 ・通貨チップの分配
 落札者以外のすべてのプレイヤーは、通貨チップの分配に参加できます。分配は、ディーラーカードを持つプレイヤーから初めて逆時計回りに進行します(ディーラーカードを持つプレイヤーが落札した場合、その右隣のプレイヤーからになります)。

 自分の手番になったら、テーブル中央の支払いに使われた通貨チップのうち、好きなものを1枚獲得します。これを通貨チップがなくなるまで繰り返します。支払われた枚数によっては、プレイヤー間で獲得できるチップの枚数に差がつきます。

 ・品物カードの獲得
 通貨チップの分配が終わったら、落札者は品物カードを獲得します。
 獲得した品物カードはほかのプレイヤーからもわかるように、自分の前に種類ごとに並べます。

 交易品(貴金属、香辛料、毛織物)は種類ごとに一番最後に獲得した交易品を一番上になるようにします。同じ種類の交易品を2枚同時に獲得した場合は、獲得したプレイヤーは、どの順番で獲得したかを自由に決めることができます。交易品の価値は「一番最後に獲得した」カードに書かれた価値になります。

 B. 暴落カードの競り
 ・競り
 暴落カードは、ゲーム終了時に対応する通貨チップの価値を「0」にしてしまいます。これを避けるためには、通貨チップを支払わなければなりません。ディーラーカードを持つプレイヤーに指名されたプレイヤーから時計回りに進行し、自分の手番になったら次のどちらかを行います。

 - 通貨チップを1枚支払う
 通貨チップを1枚選び、テーブル中央に支払います。このとき、暴落の対象となる通貨チップを使うことはできません。
 (例:ダカット暴落のときは、ダカットを支払いに使うことはできません。フローリンかギルダーを使用します。)

 - 支払われた通貨チップと暴落カードを獲得する
 これ以上支払いたくない、または、支払えない場合、テーブル中央に支払われた通貨チップすべてと、暴落カードを獲得します。暴落カードはほかのプレイヤーからもわかるように、自分の前に置きます。

●品物カードの補充

 ディーラーカードを持つプレイヤーは、山札から品物カードを競りにかけられた枚数だけめくります。これにより表向きの品物カードは 3枚に戻ります。
 山札がなくなったら、ただちにゲームが終了します(表向きのカードが 3枚になるまで補充できてもゲームは終了します)。山札が残っている場合は、左隣のプレイヤーにディーラーカードを渡し、次の競りを行います。

●ゲームの終了と得点計算

 山札がなくなった時点でゲームが終了します。得点は自分の所有する交易品と通貨チップの価値の合計で決まります。

・交易品の得点
交易品の得点はプレイヤーごと種類ごとに決まります。集めた交易品の個数(アイコンの数)の合計に、その交易品の価値(最後に獲得したカードの価値)をかけ算した値になります。

例:(価値3×3個)と(価値5×2個)の 2枚の貴金属カードをこの順番で獲得しました。このプレイヤーの貴金属の価値合計は 価値5×5個 = 25点です。獲得の順番が逆になった場合 価値 3×5個=15点になります。

・通貨チップの価値
通貨チップの価値は、通貨の種類ごとに異なります。対応する通貨の高騰カード、暴落カードを持っていない場合は1枚あたりの価値は1点です。

高騰カードを持っている場合、対応する種類の通貨の価値が、ダカットは 1枚 2点、フローリンは1枚 3点、ギルダーは1枚 5点になります。

暴落カードを持っている場合、その種類の通貨の価値は 0点になります。高騰カードと暴落カードの両方を獲得した場合も 0点になります。

交易品カードと通貨チップの価値の合計が最も高いプレイヤーが勝者となります。


●バリエーションルール (入札方式の競り)

 ゲームになれたら、オークション方式の競りの代わりに、入札方式の競りを選択することもできます。競りがすぐに終了するためゲーム時間の短縮を図ることができます。

・商品カードと競りの開始プレイヤーの選択
 オークション方式の競りと同様、ディーラーカードを持つプレイヤーは、表向きの商品カード(3枚)のうち 1枚、または、2枚を選びます。組み合わせは自由ですが、暴落カード(ダカット暴落、フローリン暴落、ギルダー暴落)は 1枚でしか選べません。
 商品カードの選択時に、山札の枚数を確認してもかまいません。

 品物カードを選んだら、ただちに競りが始まります(競りの開始プレイヤーは指定しません)。競りの方法は、品物カードの種類によって異なります。

 A. 暴落カード以外の競り
 ・競り
 プレイヤーは、品物カードを獲得するために競りを行います。全員で秘密裏に支払いに使用する通貨チップを準備し、同時に公開します。品物カードが不要なときは「0枚」を入札してもかまいません。

 ・落札者の決定
 公開した通貨チップの枚数が最も多いプレイヤーが落札者になります。同数でトップの場合は、ディーラーカードを持つプレイヤー初めて時計回りに一番近いプレイヤーが落札者になります。落札者は、支払いに使用したチップをテーブル中央に支払います。この通貨チップは、落札者以外プレイヤーに分配されます。落札者以外のプレイヤーは、入札したチップを自分の手元に戻します。

 全員が「0枚」を入札した場合、競りにかけられた品物カードは誰も獲得せず、箱に戻します。

 ・通貨チップの分配
 オークション方式と同様です。ディーラーカードを持つプレイヤーから初めて逆時計回りに進行します(ディーラーカードを持つプレイヤーが落札した場合、その右隣のプレイヤーからになります)。自分の手番になったら、テーブル中央の支払いに使われた通貨チップのうち、好きなものを1枚獲得します。

 落札者は、オークション方式と同様に、競りにかけられた品物カードを獲得します。

 B. 暴落カードの競り
 ・競り
 全員で秘密裏に、暴落カードを回避するために支払う通貨チップを選択し同時に公開します。暴落の対象となる通貨チップは、公開時に所有者の手元に戻します。

 支払った通貨チップの枚数が最小のプレイヤーは落札者となります。最小のプレイヤーが同数の場合は、ディーラーカードを持つプレイヤーの右隣から初めて、逆時計回りに最も近いプレイヤーが落札者になります。落札者は、暴落カードと、全員が入札した通貨チップをすべて受け取ります。


●デザイナーズノート

 これまで作っていなかったジャンルに、「競りゲーム」がありました。プレイヤー間でバランスをとるため、プロトタイプでの一人テストプレイが回しにくいという理由もありましたが、いつかは作ってみたいと思っていました。

 そんな中で思いついたのが、プレイヤー間で最終的な価値が違うという要素でした。うまく自分の有利なように誘導して効率よくできないかという感じです。競りの対象の得点が人によって変わるのは従来でもありましたし、競りに使用するお金がそのまま価値になるというのも従来の要素ですが、そこからひとひねりを加えることにしました。

 通貨を何種類かに分けて、種類ごとに最終的な価値が異なるようにしようという要素です。得点がつかない通貨はその人にとっては不要で、競りに回した方がいいですし、逆に得点が上がった通貨はほかのプレイヤーよりも価値が上がり集めようと動くことになり、競り値に影響が出るだろうというもくろみです。

それに伴い、通貨の分配のルールができました。交易品の得点も、獲得したカードの順番で依存することにして、テクニカルになったので、競りの対象は、ディーラーがある程度自由に決められるようにしました。そんなこんなで、かなりテクニカルな競りゲームになりました。

 トリックテイキングで、テクニカルでトリッキーなものは「変態トリックテイキング」と呼ばれることがあるのですが、そんな感じの競りゲームになので、Auction-H という仮称をつけていました。正式名称は「モノの価値は人それぞれ」というコンセプトから、価値基準を表すバリュースケールという言葉にしました。

 競りゲームの特徴として長考になりやすいというのもあり、メンバーによってプレイ時間が長くなるという難点はあるのですが、それを解消するために入札ルールのバリエーションを入れました。性質上、暴落カードの入札で事故が起こりやすいのですが、それも含めて経験者向けのルールということにしています。

 コンポーネントの数をできるだけ少なくするというコンセプトもあり、使用するカードはわずか 24枚です。カードの枚数が多すぎるとゲームが長すぎるため、このくらいのバランスにしています。

 ディーラーの競りカードの選択や競りスタートの選択、通貨の取捨選択など、悩ましい要素を詰め込みました。少ないコンポーネント、短いプレイ時間ですが、濃密なゲームになればと思っています。


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