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● イーストワード トレード ●

- デザイナーズノート -

●制作のきっかけ

 今年春のネタ出しのときに、エンジンビルドをやってみたかったのでネタはそのときから温めていました。最終的にはだいぶ変わりましたが、リソースをやりとりするタイプのゲームを限られたコンポーネントでどう実現するかとかもやってみたかったりしました。

●アイデア出しの段階

 生産、加工、売却のアクションがあるゲームということで、色々とネタを出していました。当初はエンジンビルドにすべく、建物効果で回す感じにしました。

 もう1つのテーマとしては、できるだけ「コンポーネントを共有しない」というものもありました。これも、バリエーションのためほんの少しだけ共有するコンポーネントはありますが、最低限にしています。

●最初のテストプレイ

 ネタがなかなかまとまらず、7月下旬に1回テストプレイを回すことに。セルフテストは何回か回しましたが、要素を減らして、プレイ時間を短くということになり、色々と切り詰めることになりました。同時アクションにしようかどうかは迷ったのですが、プレイ時間の短縮のために、採用しました。

 建物の代わりとなる要素として、地図上を駒が動くようにしています。これも直線的なパラメーター上げから、平面的な位置取りの要素を入れています。契約達成も取り入れて、ボーナスアクションを入れてという感じに大きく調整しています。お盆休みも挟んで、1か月くらいかかっています。

●タイトルとテーマの決定

 テストプレイの中盤で、カタログ原稿の締め切りの方が先に来たので、テーマをざっくり東方交易にしています。

 カタログに作品情報を載せるのに、タイトルが決まっていないと、やりにくいので、簡単に Eastward Trade にしました。Forward to Eastern World は微妙に韻を踏んでいますが、少しタイトルが長かったので、基本通りに 2単語にしました。ボードゲームでのかぶりはありませんが、ちょうど Steam で「Eastward」という作品が出ているのは確認しています。

 この時点で登場する要素はまとまったので、後は肉付けという感じですが、ヒストリカルチームからのコメントもあったりとか。テーマを決めるにあたり、ある程度の下調べはするのですが、しっくりこない部分なども色々と調整したりしていました。

●中盤以降の調整

 プレイ時間がだいぶ短くなり、方向性も決まったので、少しずつ要素を調整することに。

 特殊契約カードは、中盤で追加になりました。イメージとしては、テラフォーミングマーズの会社などで、バリアブルプレイヤーパワーを途中でつける感じにしています。これだけ、最初に各プレイヤーに配るのでコンポーネントを共有することになりました。ゲーム終了時ボーナスもこのときに合わせて追加しています。

 継続効果と特殊マスは、調整の終盤で追加しました。テストプレイをしていて踏まないマスが出てきたので、有効活用のためということもありますし、派手な効果も追加しています。

 コショウボーナスの得点は、終盤までかなり調整が入りました。最初は少なすぎ、途中からは多過ぎで、終盤は頭打ちになるような感じにしています。頭打ちまで集めると必要なアクションもかかるので、契約次第で選ぶ形になります。

●プレイのバリエーションとポイント

 大元が、加工のゲームなので、金の入手を第一のポイントにしました。どの戦略をとるにしても金は必要です。序盤のボーナスは 2点と小さめですが、どれもアクションに微妙に制約がつきます。移動は契約達成でも満たせますが、「1点以上の得点を取る」が意外と難しいです。

 特殊契約が一番大きく効いてきますが、ゲーム終了時ボーナスの内容、継続効果の内容、コショウがあるかどうかあたりが判断基準になります。特殊契約に1つ以上コショウがあれば、コショウを集める戦略で最大点が狙えます。契約を数多く達成する戦略もありますし、素点を稼ぐ戦略もあります。この2つはゲーム終了時の 3点ボーナスが少し効いてきます。

●なぜ紙ペンゲームにしなかったのか?

 ともすれば、紙ペンゲームにもできそうな内容ですが、リソースを回すことを中心にやりたかったので、早い内からキューブを使うことにしていました。

 副次的なものとして、途中から追加した、地図上を移動する要素も、キューブで表現した方がやりやすいということで、こちらも最終的にコンポーネントは共通になりました。この形式の個数管理は、過去作品「ダンジョン チャージ」でもやりましたが、こちらは個数制限に微妙に引っかかる妙もあります。


 というわけで、今回もデザイナーズノートをお送りしました。