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● updn (アップダウン) ●

- デザイナーズノート -

●制作のきっかけ

 春のゲームマーケットの作品のストックは、2022年8月くらいからアイデア出しを始めていたようです。ストックは 5つくらい作りましたが、うまくまとまらずに秋のゲームマーケットの開催を待つことに。

 ゲームマーケット終了後の 12月はアイデア出しの続きをしており、2つくらい出ており、いったんセルフテストまで回したものもありましたが、ボツにして、別のものを考えていました。

 12月24日の深夜遅くに、突然アイデアが出てきたので、9行ほどのテキストにまとめました。タイトルもほぼアイデア段階で出てきた感じです。コンポーネントもゲームマーケットチャレンジのレギュレーションに合致するので、そのまま進めることに。

●アイデア出しの段階

 ドミノを使ったトリックテイキングゲームはいくつかあるのですが、ゲームマーケットの出展作品では見ていないような気がしたので、そのあたりから掘り出すことにしました。

 ドミノ系のカードを使ったゲームとして、オインクゲームズ版が流通している「スカウト」が簡単に思いつきますが、ストップ系のゲームでジャンルが異なるものと、カードの位置を変えられないことが特徴なので、方向性は全く違うと判断しています。

 ゲームマーケットチャレンジのレギュレーションはカード32枚以内ですが、ダブルエイトドミノでダブルをのぞくと、28枚になるので、そこをベースに考えることに。

 片方がスートになるというアイデアは、思いついた段階から出ていました。親を取りやすいのでポイントトリックテイキングでマイナス点ありまでは思いつきましたが、最初は得点条件をラウンドごとに買えるバルビュ式を考えていました。

 構想段階での懸念点として、コントロールできるか、カウンティングできるか、トリックテイキングのテクニックは使えるかを上げていました。

 セルフテストを回して、懸念点はそれなりに解決できそうで、ゲームとしては面白い動きになりそうだということで、そのまま進めることにしました。得点を特定条件にすると、トリックの勝者がコントロールできすぎて有利になるので、マイナスカードを散らすことにしました。

 追加の得点条件として、特定トリックに登場するボーナスカードを入れて、取りたいトリックと取りたくないトリックを見えるようにし、軽いゲームなので、少しパーティーゲームよりに、プラスマイナス反転を入れることに。3人プレイのときの「あまり1枚」は、ボーナスカード扱いにすることで、公開情報にもすることで、解決させました。

 ここ最近は、紙ペンゲームを中心に、ソロプレイと2人プレイを考えていましたが。今回はメカニズム的に、ソロプレイにしづらいということもあり、切り捨てることにしています。

●テストプレイ

 年末年始のお休みを挟んで、1月中旬にお披露目して、フィードバックをもらいました。

 トリックの勝者が場をコントロールできすぎるので、調整が必要なことがメインの調整項目になり、合計数が強いカードが勝利条件にするというアイデアが出てきました。これにより、ディスカードとラフができるようになりました。

 ボーナスカードの回りもアイデアを出してもらい、強弱弱点の追加と、プラスマイナス反転が常に最終トリックに出てくるように調整が入りました。

 調整後のルールで再度プレイして、ある程度動いたのでそのまま進めることに。平行して、ドミノのトリックテイキングで類似のゲームがないか念のためリサーチした方がよさそうという話も出てきました。

 リサーチの結果、スートを選べるものもごく少数ありましたが、切り札はダブルタイルになることがほとんどで、類似の作品はなさそうでした。

 2回目のテストプレイで、特に3人プレイで1トリックも取れないような手札が来たときに救済がほしいということで、0トリック宣言を入れました。

 プラスマイナス反転があるので、0トリック宣言に失敗したときの減点と、プラスマイナス反転の処理順の問題が出てきます。これについては、4人プレイ時には達成難度がはね上がり活用しにくい点も考慮して、リスクのある「マイナス点を取りに行き、最後にプラスマイナス反転を取るプレイ」への活用も許すことにしました。

 0トリック宣言を表示するものがあったほうがいいのですが、リファレンスシートとし、付属ドキュメントとすることで、カード枚数は 32枚以内に収め、ゲームマーケットチャレンジのレギュレーションを満たすことにしました。

●タイトルの決定

 今回は、ゲームの構造と一緒にタイトルが思いつきました。「ドミノ」のようにカードを上下反転しても読めるタイトルということで、アンビグラムになる「up」「dn」を使ったタイトルで、語順をどうしようかは少し考えましたが、分かりやすく「updn」にしました。Google検索にかけ、BGGを調べましたが、この表記だと被らないので。

 読み方がわかりにくいタイトルなので、「updn」(アップダウン)と読み方を指定するような命名にしました。過去の作品も通して、この方法で名前をつけたのは初めてです。

 これを書いている時点で、偶然、春のゲームマーケットで音読すると似たようなタイトルのゲームがありましたが、同発のタイミングでアイデアが被るのはしかたがないと思っています(過去に、同発でテーマが被ることもありましたし)。

●Tips

 最初に配られたカードで、トリックが取れそうかどうかを予測しましょう。全体的な数字が高いときは、トリックを取りやすく、低いときは取りにくいという特徴があります。特に序盤は、マストフォローに引っかかりやすいので、「8」を含むカードでトリックを取ることができます。

 リードで、ゲームをコントロールできます。マイナス点のカードが入っているので、リードで強いカードを出すのはリスキーです。しかし、マイナス点を集めるプレイに活用することもできます。弱いカードからリードして、マイナスをつかませることもできます。  各数字は 7枚ずつしか入っていないので、同じ数字で 2回リードすると、別のスートで切られる可能性が出てきます。「8」をスートとして指定することで、強いカードを吐き出させて「7」を強くするという切り札狩りに近いテクニックもあります。

 フォローする側は選択肢が限られていますが、マイナスカードをいかに押しつけるか(または、自分で取るか)、特定の数字を消して、切り札を作るかなどの選択肢がとれる場合もあります。

 強弱反転のトリックは扱いが難しいのですが、特にプラス点がつく場合は、積極的に取りに行くのがいいかと思います。マイナス点がつく場合のために、逃げられるカードを持っておくといいかもしれません。

 最終トリックのプラスマイナス反転は、どのカードを残すかである程度コントロールはできます。取りたいか、取りたくないかを早いうちに決めて、取りたくない場合は強いカードを消費し、取りたい場合は強いカードを温存するといった感じです。もちろん、マストフォローに引っかかって破綻することはありますが。

 0トリック宣言ですが、得点が伸びにくいゲームではあるので、3人プレイの場合は狙える手札では、積極的に狙っていいかと思います。4人プレイは成立難度が高いので、強い手札で、プラスマイナス反転とセットにして、マイナス点を集めていくプレイでの活用を狙うのも手です。


 今回も、デザイナーズノートをお送りしました。経験者向けの変則的なトリックテイキングですが、プレイ感はそこまで重くないので、手軽に楽しんでもらえればと思います。