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● レイルウェイ リクエスト ●

- デザイナーズノート -

●制作のきっかけ

 2023の秋のゲームマーケットは制作期間が長かったので、久しぶりに時間のかかるゲームを作ることにしました。

 アイデア自体は前からあった、鉄道をテーマにしたゲームを仕上げることにしました。ゲームマーケットが終了した 2023年5月下旬から、アイデア収集とネタ出しを始めて、1か月半くらいかかりました。

●アイデア出しの段階

 入れ込みたい内容はある程度決まっており、普通列車、特急列車、新幹線の各カテゴリーでの需要の取り合い、ラウンドに応じた流行、ある程度ランダムで列車が登場するというあたりです。

 ベースとなるアイデアは「オートモービル」や「電力会社」の発電所まわりと順番決定のあたりでしょうか。「オートモービル」は経済ゲームで、生産した車を売却し、利益を上げるゲームですが、アイデアを抽出した感じです。

 カード枚数はあまり多くしたくないので、32枚に収めるように、なおかつ、構造上点差がつきにくいゲームなので、確定要素が出過ぎないように調整する感じでした。

 順番選択も、点差がつきにくい構造になっているので、得点有利は手番不利に設定しています。アクション選択は、種類数が少なめで、カードで選ぶような感じになっていました。

 セルフテストの段階で、点差がつきにくいゲームだとは思っていたのですが、大まかな形になったので、いったんお披露目して、色々と意見を聞いてみることにしました。

●テストプレイ

 秋のゲームマーケットのエントリー回りの作業が完了し、当選の通知が来てすぐの 7/15 にテストプレイを開始しています。

 得点要素が少ないので、1つ軸を足してもよさそうだということと、アクションはボードにして列車のバリエーションを増やすこと、使用済みの列車の扱いあたりのアイデアをもらい、3連休を利用してフィードバックをかけることに。

 5人までプレイ人数として入れたかったのですが、列車の数が増えたのでちゃんと入ることになりました。列車の登場順は、最初は枚数のずれがないように手作業でチェックしていましたが、バランス調整の段階で簡単なプログラムを組んでシミュレーションをした上で、ちょうどいい感じにしています。

 7/17 のテストプレイで、満足度の要素とパワーアップの要素を追加し、よさそうな感じになったので、この方向で進めることにしました。

 テストプレイの早い段階で、フェイズがかなり多くなることが分かっていたので、フェイズの流れを文章に落とし込んでいました。最終的には10個のフェイズに分かれています。

 これ以降は、列車とパワーアップの数値調整が中心でした。自由座席のアイデアは当初からありましたが、得点バランスが難しい漢字でした。4ラウンド目に登場する 4席の列車の得点は、席が埋まったときにかなり高くなるように調整しています。

 プレイ順ですが、高得点のプレイヤーが不利になりすぎるということで、アクション選択以降は、このラウンドで獲得した列車の順に変更しました。強い列車は単純に有利なので、その分の調整ということで、これにより、1ラウンド目と、以降のラウンドの動作差分も吸収できたりとか。

 アクションは、調整中盤に1つ増やし、調整終盤に1つ入れ替えています。差がつきにくいゲームなだけに、アクションの選択は悩ましくなったかと思います。

●タイトルの決定

 前回の制作から、AIの活用をしていますが、今回は、試験的に ChatGPTでタイトルを考えてもらうことにしました。テーマと、ゲームの内容、2単語から3単語という制約条件でいくつか候補を出してもらいました。

 頭文字が同じタイトルを多く生成してきたのと、鉄道ゲームと分かる要素として Railway が使われていたので、「Railway Request」を最終案にしました。Request は可算名詞で、一般的な「鉄道需要」では複数形を使いそうですが、ChatGPTに確認したところ、単数形のほうがタイトルとして分かりやすいとのことで、こちらを採用しています。

 毎回ですが、採用にあたって、BGGとゲームマーケット公式サイトで検索し、タイトルのかぶりをチェックして、Google検索での検索性も確認しています。

 なお、今回も、ボックスアートとカードイラストはAI生成を活用しています。プロンプトを作るのに時間がかかりますし、1つのテーマで 50〜100個くらい生成して選択しましたが、生成中はほかの作業ができたりもするので、最終的な所要時間の短縮になりました。

●Tips

 需要と供給がテーマなので、ほかのプレイヤーが持っている列車のタイプをよく確認しましょう。1ラウンド目は、新幹線と特急の需要が少ないので、少ない需要を無駄に取り合わないように気をつけましょう。

 基本的に、数字の大きな列車のほうが強い上に、乗客の優先順も高いです。多少のアクション選択順の不利は返せるくらいになっています。

 特に 2ラウンド目は、列車のパワーアップにも気を回すようにしましょう。1ラウンド目の列車と2ラウンド目の列車が最終的にパワーアップになりやすく、相性のよいものと悪いものがあります。

 満足度は、少なくとも1は獲得できるようにしましょう。単純に2点の価値があります。上位のボーナス点は、ゲーム終了時に入るので、列車の獲得順に影響しません。ただし、パワーアップとの兼ね合いで、過当競争にならないように気をつけましょう。

 アクションにも相性はあります。序盤ほど需要に余裕があるので「F. 臨時列車」が効果的です。自由座席で好きなだけ乗客が乗る場合は「B. 企画切符」、満席で得点が高くなる列車は「A. 早割切符」といった感じです。


 デザイナーズノートをお送りしました。フェイズ数が多く、ボリュームのある作品ですが、選択の場面はラウンドごとに 3回しかないので、1つの選択が重いゲームです。じっくりとの楽しんでいただければと思います。