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[学級づくり][5年][誉めるときの3つのポイント]

誉めるときの3つのポイント(対象学年 全学年)
               
 私が担任した5年生のクラスでの実践である。
 全学年で実践可能である。


 子ども達を誉めることがいいことは、誰でも分かっている。しかし、実際、誉めることは難しい。
 かつて、私自身、誉めることが下手であった。誉め方がわざとらしかったり、誉めたことが効果がなかったり・・・。
 そんなとき、1つの授業に出会った。

1 衝撃!林恒明氏の授業
 1998年2月14日(土)。「第6回日本体育教育技術学会」が東京学芸大学付属世田谷小学校で行われた。
 そこで、林恒明氏(大阪国際女子大学)の授業が公開された。2年生の基本の運動である。林氏の言葉かけの一部を紹介する。

 ・「1番太鼓、いいね。いい姿勢だ。」
 ・「おっ、5番太鼓がいい。すごくいいね。ほら、見てごらん。みんないい姿勢してるよ。3番もいい。」
 ・「この組、やってみよう。この組うまいところがあるんだけど、どこがうまいかね。探したら、手を挙げてよ。先生いいとこ見つけたって。」
 ・「(かべ登り逆立ちで)それでね。ちょっとこの人、やってみて。ひざがね、伸びた方がかっこいいね。ひざが伸びて、ほら。そうするとなぜいいか。先生でもくぐれるの。わかった。ひざが伸びてるとくぐれるよ。」

  私は、「これだ!」と思った。この、林氏の子どもを「誉める技術」は、学級づくりに通ずるものがある。

2 波紋 <ひとりのよさを、みんなのものに>
 1998年4月。私は5年生の担任になった。林氏の授業から学んだことを、学級づくりに生かそうと考えていた。
 「ひとりひとりのいいところを、みんなが吸収していくような学級に。」と思っていた。「水辺に投じた石の波紋が、広がっていくようなイメージ」である。
 そこで、学級通信の名前も「波紋 <ひとりのよさを、みんなのものに>」とした。また、教室の前面にも、それを掲示した。
 学級開きのとき、そのような教師の願いを話した。

  先生は、今日、みんなに出会った日からうれしいことがありました。なんと、「東田先生、よろしくお願いします。」と礼をした人がいるんです。だれだと思いますか。
  G君です。素晴らしいですね。
  ところでみなさん、今の話を聞いてどう思いましたか。
  「G君、すごいなあ。」と思った人?(全員が手を挙げた。)
  今、手を挙げた人。あなた方は、大きく成長します。素直な人です。素直な人は、人のいいところをどんどん吸収して大きく成長するんです。勉強もできるようになります。心も大きくなります。

3 誉め方
 誉めるときにポイントが3つある。

 ・ 全体にすぐ紹介する。
 ・ 子どもがその状況をイメージできるように語る。
 ・ 教師が心からすごいと思ったことを誉める。
 ・ 全体にすぐ紹介する。

 かつての私は、次のように誉めていた。
  @「おっ。A君、ほうきの使い方がうまいね。ほうきの両面を使ってるね。」
  A「Bさん、Cさん、教室をきれいにしてくれて、ありがとう。」
 こういう誉め方がいいときも、もちろんある。しかし、最近ではこのように誉める。
  @の場合、掃除後、全員が教室に集まってから話す。 
「A君は、そうじのとき、ほうきの使い方がすごく上手でした。片面だけではなく、両面を使って掃いていました。A君のようにすれば、ほうきが反ることを防げます。」
  Aの場合、次の日、全体がそろった教室で話す。
「昨日、放課後、みんなが帰った後の教室に行って、びっくりしました。習字の時間の後だから、少々散らかっているかなと思いながら教室に行くと、BさんとCさんが紙屑を拾ってくれていました。とてもうれしかったです。」
 このように全体の前で誉めると、誉められた本人も、よりうれしいし全体に波及することがある。
 例えば、次の日に、他の子どもが同じようなことをしたとする。それも、全体に紹介するのを忘れないようにしなければならない。
 しかし、私は元来忘れっぽい。その日のうちに、子どもたちのいいところを探して、全体の前で誉めるということができないときがある。
 そこで、私は放課後、子ども達のいい行動を思い出して「指導週計画簿」にメモをしておく。そして、次の日の朝、学級全体に紹介する。
 実はこれがいいのである。朝、教室に入って最初に子ども達に話をする時が、子ども達が一番素直な時間である。
 このときに、子どもを誉める話をするのである。子ども達も、私もさわやかな気持ちで1日を過ごせる。

 ・ 子どもがその状況をイメージできるように語る。

 「Cさんは、何も言われずに国語辞典を引いている。えらい。自主性がある。」
 「D君は、ノートの書き方がいい。みんな見てごらん。」
 「Eさんの発表の仕方、いいですね。『Eさん方式』と名付けましょう。」
 「F君は、分からない人に教えていました。自分が分かるだけで満足していない。優しい人ですね。」
 授業中は、このように具体的に子ども達を誉めることができる。子ども達にとって、誉められた内容がわかりやすい。
 しかし、前述のように、朝の時間に誉めたり、時間を置いて誉めたりするときは、子ども達がその状況をイメージできるように語らなければならない。
 また、「A君を見習いましょう。」等、押しつけがましく言うのはよくない。事実と、教師の気持ちのみ語る方が、子ども達がよく聞く。

・ 教師が心からすごいと思ったことを誉める。

 高学年の子どもは鋭い。教師がすごいと思ってないのに誉めると、誉めても効果がない。しらけて、逆効果になることも考えられる。子ども達は、わざとらしい誉め方などすぐに見抜く。
 誉めると言うことは、教師の人間性にも関わってくる。子どものよさを、より多く見つけられる、感性豊かな教師でありたい。

4 子ども達の表情は語る
 新卒のときも、私は5年生を担任した。
 恥ずかしながら、学級は荒れてしまった。私も、子ども達も表情が険しい。お互いに、目つきも悪い。
 知的で明るい子ども、素直な子どもを育てるなんてほど遠い、という状態だった。
 すべては私の未熟さのせいであった。エネルギーいっぱいの、素晴らしい子ども達だったのに・・・。

 現在教職8年目、新卒以来の5年生担任である。
 ずい分、子ども達の表情が柔らかい。
 これから教師修業を続けていくこと、学級づくりをがんばることが、1代目への恩返しとなるだろう。

                   
九州トークライン(法則化サークル ざっくばらん発行)原稿


文責  東田 昌樹

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