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伝統的言語文化「ことわざ」の授業
                                                            TOSS熊本 ・ 東田 昌樹


1 コトワザ教育の第1人者、庄司和晃氏の指導を向山型で授業する

庄司和晃氏は、「コトワザ教育」について次のように述べる。『コトワザ教育のすすめ』庄司和晃著(明治図書)

 みごとなる文化遺産を、「経験」や「科学」の尊重にのみ走らずに、未来のために新しく生かし切って行く必要があります。                       

 庄司氏は、実践としてコトワザを創作させている。子どもにオリジナルのコトワザを作らせているのである。 この部分を追試する。「向山型」でやる。
 次の原則に従って授業を組み立てる。

  1 局面を限定する。
 2 説明をしない。
  3 変化のあるくり返し

2 「オリジナルことわざづくり」の授業

6年生の授業である。
 漢字指導を5分間ほどやったので、35分程度の授業である。
 「ことわざの勉強をします。」と言い、黒板に「ことわざ」とタイトルを書いた。子どもはノートにタイトルを写す。

 「サルも木から落ちる」ということわざがあります。どんな意味か知っている人?

 10人の手が挙がる。
「上手な人も失敗するという意味です。」「油断をしてはいけない。」
  的確な答えが出る。辞書を調べる子どももいた。

 「サルも木から落ちる」と同じ意味のことわざがあります。1つでも知っている人? 

 次のことわざが、子どもから出された。
「カッパの川流れ」「泳ぎ上手は川で死ぬ」
 以下のことわざを追加して教えた。
「弘法にも筆のあやまり」「テングにもとびそこね」「よく走るものはつまずく」
「テング」と「よく走るもの」については、述語の部分を考えさせてから教えた。
 黒板に書き、子どもはノートに写す。

  今度は、オリジナルのことわざを作ります。ここに書いてあるのと同じように、「上手なものも失敗する」という意味のことわざです。(1 局面を限定する)

「1つ書いたらノートを持ってきなさい。」と指示した。ノートを持ってくる出足は、最初は不調だった。
 しかし、1人目が持ってきてその内容を読んでやると、次々に持ってくるようになった。具体的なヒントになったようだ。(2 説明をしない)
 ノートに書いたものを黒板に書かせていった。以下のものが出された。

   1 漁師も魚をとりそこね
   2 忍者も忍び誤る
  3 元気なものほど病気になる
   4 ツバメも空から落ちる
   5 猫もねずみに逃げられる
   6 ホストも男は落とせない
   7 東田君もミスをする
   8 猫に負けたとら
   9 猛獣も獲物をとりそこねる
   10 農家も野菜をくさらせる

発表させると、「なるほど」という声があがる。書いたものは全部発表させた。
  第1席を「10 農家も野菜をくさらせる」にした。

 今度は、意味も含めてオリジナルのことわざを作りなさい。

 同じように、1つ書いたらノートを持って来させた。次々に黒板に書かせていった。今度は意味も黒板に書かせた。

 黒板に書かれたことがヒントになる。説明してはだめである。(2 説明をしない)

次々に子どもは見せに来た。

 子どもが黒板に書いたのは、次のものである。

 1 自分で自分のまぶたを見る(無理なこと)
 2 イスが人間に乗る(反対のことをしている。
 3 空をふらせる(無理なこと)
 4 うまい人も練習あり(うまい人も練習をしてもっと強くなる)
 5 青い空も赤くそまる(ちがう姿があるということ)
 6 自分の背中を見る(無理なこと)
 7 焼いた魚を海に帰す(生き返らない)
 8 年末ジャンボで3億円は当たらない(めったにないこと)
 9 わなをしかけて自分ではまった(悪いことをたくらむとバチが当たる)
 10     寝ているのに催眠術をかける(しても意味がないこと)
 11      バイオリンを棒でひく(やろうと思えばできるかもしれない)

 全員ノートに1つは書くことができた。
 
第1席を「7 焼いた魚を海に帰す」にした。

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