小樽赤岩
〜サウス・ロック〜

平成19年10月13日  同行者: BCCメンバー
 10月も半ばになると小樽の赤岩にも冷たい海風が吹きつけてくる季節となる。岩場にいるとその風は耐え難い寒さになってくる。
 今回はそんな風を避けて、小樽の市街がよく見えるサウス・ロックに行くことになった。いつものようにフェルさんをリーダーにT野さんとの三人である。
 
 道を途中からそれて、藪のなかに入る。しばらく藪漕ぎをすると目指すサウス・ロックに着く。縦に細長い岩場であり、ピンが何箇所かにうってある。最初からトップロープのセットができるのだ。もちろん、まだ、僕にはできないからフェルさんがセルフビレイをしながらセットしていく。T野さんはその様子をしっかりと見ている。とても、研究熱心で意欲的な人だ。ぼくはといえば、暖かい陽射しを浴びながら、小樽の街を見ていた。



 この岩場はあまり人が来ていないせいかもろそうなところが多い。僕たちが攀るところはそれほど高さはないのだが、途中にハングがありここを乗っこすのが辛そうだ。けれど、ここを越えれば傾斜はゆるくなり、ガバもたくさんあることから、一挙に易しくなる。だから、ハングを越えればそこから降りてもいいそうだ。
 フェルさんの評によれば岩場の右側は3級+、左側は5.8ぐらいに相当するのではないかということだ。まずは、その3級+のルートに挑戦することにする。



 T野さんの攀る写真はちょうどハングを超えたあたりである。見てわかるとおり、ハングより上は傾斜はきつくはない。とはいっても、楽々ルートというわけでもないのだ。



 終了点まで到達したT野さんだ。
 ここの右側ルートのハングはさらに右側から廻りこめばさらに易しくなる。けれども、それでは意味がない。難しいところを越えてこそ値打ちのでるものだと思う。
 ぼくも最初はこのハングを突破できなかった。しかし、その突破する「みち」を発見すればその後は難しくはなくなる。失敗しても、何回も何回も挑戦することが大切なことだと考える。

 フェルさんが攀る。
 帽子にはあまり注目しないほうがいいかもしれない(~_~;)。
 
 右側のルートはトップロープからやや離れているため、落ちたときにあるいは降りるときにどうしても左に振られてしまう。そこで、それを防ぐために、生えている潅木を利用してヌンチャクをかませようとしているところなのだ。
 ちょうどハングの上のあたりになる。

 見てわかるように、ホールドは無数にあるのだが、ひとつひとつが脆く崩れ落ちるものもある。現に僕がとりついたときに、一塊の岩がカパッとはがれてしまい、下にいたフェルさんにそっと渡したこともあった。
 確認しながら攀るのである。
 また、取り付き地点もムーブを上手に使わないと意外に登りにくい。もちろん、上級者にとってみれば、全然困難なルートではないだろう。
 一方、左のルートは写真ではわかりずらいのだが、のっぺりとした岩でこちらはホールドが少ない。
 少し小さめのホールドをうまく使って上がることになる。こういうルートはとても勉強になると思う。



 フェルさんがこのセットを終わってから、再びこのルートに挑戦した。やはり、ハングを正面から突破しょうとするとなかなかに手こずった。
 ついで、5.8の左手のルートに挑戦する。ホールドは少ないのだが、僕にとってみればこちらのルートの方が攀りやすかったように思う。ハングも慣れたせいなのかこちらの方がのっこしやすかった。
 
 この岩場は風の強く吹くとき、秋深まったときに向いているのかもしれない。攀って面白い岩場はたくさんあるのだと思う。けれども、冷たい風に身体を震わせて攀るよりも、クライミングそのものを楽しみつつ攀るにはこの岩場があることを有難く思う。

 小樽赤岩の今シーズンは今回が最後かもしれない。それでも、とても貴重な時間を過ごすことができたと思う。
 来春はまた新しい気持ちでこの赤岩に来ることになると思う。それにしても、短い時間のなかで、ここまで育んでくれた友人・仲間たちにあらためてお礼を言いたい。(了)


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