浜益御殿から浜益岳

〜美しい海を見ながら〜

平成18年5月6日  同行者: 札幌やまびこ山友会 3名
 暑寒別山系にはすばらしい山がいくつもある。残雪期でなくては歩きずらいこれらの山のなかに、浜益御殿と浜益岳がある。
 浜益岳には残念な想いが残っている。それは平成16年5月に、寝坊した僕は午前10時に林道から浜益御殿に向かって歩き出した。御殿を越えて浜益岳を目の前にして時間ぎれで撤退したのである。午後1時過ぎだったから、ちょっと無理をすれば行けなくはない場所だったが潔く諦めた。
 途中で会った登山者に聴くとめったにないドピーカンの快晴で、羊蹄はおろか太平洋まで見えたということだった。

 今日もすばらしい天気で胸がたかなる。やまびこの岳友は前夜テン泊し途中の大坂山あたりまで歩いているに違いない。早朝に札幌を出てきたぼくは彼らに追いつくべく快調なペースで歩いていく。
 今日もまたスキーの滑降が面白そうだ。

 大坂山の手前で彼らは待っていてくれた。とてもうれしいものである。感謝である。


 大坂山からは浜益御殿への稜線が見え、いやがおうでも期待感が高まる。御殿までは遠くはない。
もう、心は浜益岳にとんでいる。

 日本海が見える。ここから飛び降りたらそのまま海のなかに入りそうな、そんな距離感を味わう。すべてがのどかで美しい。



 雪は柔らかくなっているものの、スキーで歩くには何の支障もない。ただ、陽射しが強くて朝早いとはとても思えないほどの天気だ。
 広がる風景のなか、御殿へと歩みをすすめる。

 御殿のピークで暫し休憩をとる。直下には一人用のテントがあった。持ち主は雄冬なのかそれとも浜益岳いや群別なのだろうか。
 時間はまだ早く皆浜益岳に向かう。ここからは広がる平坦地形を進むことになる。天候が悪化すると辛いところでもある。
 
 空はどこまでも青く浜益岳のピーク方向もくっきりと見えてきた。さぁ、確実に登ろう。そのピークはもうすぐだ。



 浜益岳からの群別岳周辺の眺望も人気がある。鋭鋒として名高い群別の姿がはっきりと目に映るからだ。これを見たくて浜益岳に来る人も多いという。
 浜益岳の直下でスキーをデポし、つぼ足で斜面を登る。
 

 確かに見る者にため息をつかざるを得ないかのような連なりがあった。ただ、群別の鋭さだけが目立つというのではなくて、その稜線、ひとつひとつの塊りが見事なのだ。
 山頂の標識があるところから、あらためて群別を見る。



 群別から南(右手)にのびる稜線に幌天狗がある。山は広い。
後から登ってくる人たちも一様にこの眺望に見とれているようだ。山はいつだって美しい。人はその美しさをそのままに享けとめているのだろう。眺望の美しさは忘れても、心のなかに享けとめた感情と記憶はいついつまでも残しておきたい。 (了)


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