遠かった幌天狗

〜延々と稜線歩き〜

平成18年4月15日  同行者: 息子 札幌やまびこ山友会 2名
 幌天狗は暑寒山系の群別岳から南西に伸びる稜線にある三角点の通称である。この山には平成15年に途中の944m地点まで行き、時間ぎれで戻ってきた記憶がある。熊の多い山域で長さ30cm以上はあるかと思われる足跡がくっきりと残っていた。かなりの巨体だと同行のA氏が言っていた。

 いつかはこのピークまで行きたいと願っていたのだが、今回、やまびこの岳友と息子をともに歩くことができた。
 このルートは遠い。距離がある。林道から一挙に稜線にあがるのだが、そこから見える幌天狗も遥か彼方に見えて、果たして行き着けるのだろうかと心配になるぐらい遠い・・・。



 しかし、ここまできたら止めるわけにはいかない。ただ、進むのみだ。
しばらくはほとんど平坦な地形を歩き、それからもゆったりとした登りを進むことになる。歩いても歩いても先は長い。
 やがて、稜線はやや狭くなる。とはいっても、限りなく充分に広いと言っておこう。斜面はあいかわらず緩やかであり、でも、帰りはスキーで快適な滑走を楽しめる。特に初心者には面白い。
 やがて、右手に黄金山が見えてくる。とはいっても、見るために稜線の南側に寄っていかねば見えない。でも、この位置から見る黄金山はまたいっぷう変わった姿を楽しめるのだ。
 

 ずいぶんと歩いたように思うけど、まだここでも標高700m前後なのだ。めざすピークまではかなりの距離があり、標高差にしても500m以上あるのだ。緩やかな斜面をひたすらに歩く。
 やがて、前回行動停止した944m付近を通過するとやや斜度がきつくなってくるところもある。
しかし、とにかく歩かねばならない。
 

 大陸からの黄砂の影響か雪がところどころ黄色くなっている。歩いて歩いてそれでもピークがやっと手の届く範囲に思える場所まできた。
 そこからはひとりひとり好きなルート取りをしながら歩く。さすがに、ピーク直下は雪の断層があり、注意深く選びながらいく。もうすぐだ。そこからは、あの群別の雄姿が見えるに違いない。



 浜益岳からの群別もいいが個人的には幌天狗からの姿の方が僕の好みだ。ゆったりとした重量感を感じさせる。
 視線を右手にうつすと奥徳富岳(尾白利加岳)が目に映える。この山もまた立派な山に違いない。



 静寂のなかに山々は鎮座している。このピークから群別へ向かっている二人のパーティが見えるがあまりに小さくてほとんど動いていないかのように感じる。

 圧倒的な自然の大きさの前に人は自らの存在の小ささをあえて楽しんでいるかのようにも思える。小さいがゆえに向かっていく自分の存在感を強く感じているのかもしれない。

 さぁ、スキーを滑らせて帰ろう。己の生命の感じるままに(了)


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