小漁山は遠い〜
〜冬にこそ、登りがいのある山〜

平成20年3月9日 日帰り山行 同行者: 札幌やまびこ山友会 
 久々に山に行ってきた。小漁山である。残念ながら途中の1128Pで行動停止時間となり、諦めた。あと、水平距離にして約700m、標高差にして約100m、1時間もあれば届く範囲であった。
 小漁山は漁岳のほぼ南西にある標高1235mの山である。おもに、残雪期に漁岳から歩くことが多いらしい。その時期であれば、そう難しくない山である。僕にしてみれば、残雪期にピークを踏んでも、さほど意味のあることだとは思えない。

 なにしろ、歩く距離がかなりある。道々の札幌〜支笏湖線のオコタンペ湖への分岐に車を置き、湖までは車道を歩くことになる。
 冬のこの時期の車道はときおり風の通り道となる。今回も、飛ばされるほどの強さの風のなかを歩くこととなった。

 夏には多くの観光客で賑わう展望台も、ひっそりとしている。これから向かう小漁山は雲の中に隠れているようだ。雲を見るだけで、山はまだ冬という感がする。


 朝の日光を浴びての歩きである。今は平坦地であるものの、この先とりつく尾根あるいは沢の急峻さに驚かされる。この山はルート選択がものをいうところだ。メンバーはいずれも厳しい山を歩いているので、全然心配はない。ごく最近も、厳冬期の日高の野塚岳や道北の天塩岳を余裕をもって歩いているメンバーなのだ。


 急峻な沢からつめてきた。かなりの斜度であり、狭くなっていくので上部では3〜4mでキックターンをすることになる。しかし、一挙に標高をあげて、厚く氷のはった小さな沼の端を歩き、一挙に1128Pにあがった。しかし、ここまでで、すでに出発以来、5時間がたっていたのである。

 写真は1128Pの直下から見る漁岳である。その右側に残雪期にトラバースする1175Pが見える。


 1128Pのピークからは恵庭岳、オコタンペ湖そして支笏湖が見える。ここのピークはかなりの斜度があり、スキーを脱いだ。雪質によってはスキーアイゼンをつけるのだが、今回はかなり柔らかであった。細尾根でもあり、下りに備えてスキーを脱いだのであったが、これからの行程を考えて、ここで行動停止としたのであった。


 1128P直下から見る小漁山。中央左手の奥の山がそうである。ここのピークからいったん降りたら、あとは簡単で気持ちの良さそうな歩きだけなので残念ではあったが、何よりも安全を第一とする会だから、行動停止は当然のことだったと思う。リーダーの決定はすばらしいものと思う。


 同じく1128P直下からのフレ岳、丹鳴山方面。


 オコタンペ湖近くの湿地帯から見る恵庭岳。こういうロケーションもこの時期ならでのことだと思う。夏の時期には豊平峡から豊平川の源流を遡り、ここを歩くということも出来るが、歩くのには困難なルートではなかろうか。冬でこそ、自由にルートを設定できる。ここに楽しさがある。


 元来たルートを辿る。周囲の山々の風の響きがこだまする。この地はそよそよと静かな音に包まれているのに、ちぎれるように飛んでいく雲の流れが冬の厳しさを呼び戻す。

                               (了)


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