迷沢山〜奥手稲山

〜奥手稲小屋に泊まる〜

平成19年2月18日〜19日 奥手稲小屋泊 同行者: 札幌山びこ山友会
 2月17日〜18日と会の山行として奥手稲小屋に行ってきた。二つのパーティにわけ、ぼくは迷沢林道から奥手稲小屋〜奥手稲山〜迷沢山〜上平沢林道のルートのグループの一員だった。
 
 初日の迷沢林道は初めて歩くみちである。とにかく長いとは聞いていたけど、もちろん、途中から離れるつもりでいた。
 インターネットで調べてみると、かなりの急斜面を登っている人もいるようだ。けれども、ぼくらのパーテイは小屋どまりとはいえ、縦走装備ではあるからそんな斜面は歩きたくない。選んだのは650m出尾根の西隣にある小沢づたいに登っていくことだ。
 いくら小雪の今年でもさすがにこの沢は埋まっていた。傾斜もそれほどきつくはなく、しかも深いラッセルもなかった。五人で交代しつつ歩いていくぼくらはさほど時間をかけずに650mの稜線にのることができた。
 ここからはゆったりとした登りに変わり806mポコ、そして迷沢山の西隣にある960mポコをまきながら通過し、あとは平坦な地形を突っ切るように奥手稲小屋に行くだけなのだ。

 もちろん、地形図を見ればわかるけれど、806mポコから上平沢林道を横断するあたりは深く沢がきれこんでいる。トラバースするにしても、注意深く歩くところもある。それでも、かなりの快調なペースで進むことができた。
 スキーで滑るうえでもいい斜面が広がっており(注・・・上手い人にとっては)
MさんやIさんには応えられないだろうなぁ。

午前8時15分に出発して10時過ぎには迷沢山の西隣にある960mポコを巻いていた。もう、この辺からは多少のアップダウンがあったとしても、ほとんど平坦地といってもいいと思う。迷沢山ピークには寄らずその直前でほぼ直角に方向転換して、進路を北にとる。
 このあたりはどこにテントを張ってもそれはすばらしい樹木と雪のなかの御殿となりそうだ。

 今日は薄日がさす気持ちのいい天気だ。吹雪の日にこのあたりを歩くことになればけっこう難儀を味わうことになるのだと思う。視界の効く日は現在地がほぼ特定できるからほんとうに歩きやすい。もちろん、そうはいっても、けっこう立ち止まり地形図とコンパスで確認しつつ歩いていく。常に進行方向の方角を意識している。

 迷沢山ピークの北にある1000mポコを11時20分に着き、そのまま994mポコを目指すことにした。そこから奥手稲小屋めがけて滑り降りる魂胆だ。
ゆるやかに登りそこでシールをはずす。はずすことが暗黙の了解となっている。

 ふかふかの雪のなかを滑る。それほど沈まないがとても気持ちのいい滑りが続く。
 ふと、前を見るとその小屋は雪のなかから浮かびあがったように立っていた。

奥手稲小屋に着いたのは12時15分だったから、4時間で来たことになる。天候にも恵まれ、なんといってもメンバーに恵まれての歩きだったと思う。地図読みにしても全員でおこない、話し合って全員一致できまっていく。ぼくのような初心者でも一人前として扱ってくれてとてもうれしくなる。おまけに、ぼく以外の四人はいずれもスキーがうまい。

 会のメンバー全員が揃ってから、リーダーであり、且つ食事担当もかねているMさんが、ウィンナーの水煮とお汁粉をつくってくれる。なんと美味いのだろう。
 それから、ユートピアゲレンデでひと滑りし、とてつもなく豪華絢爛なディナーになる。
 あとから来たT山岳会のメンバーもうらやむようなディナー・・・。次から次へと出されてくるご馳走の山。食べ過ぎて、白い旗を振ってしまった。これでまた太ったと思う。

 夜、星を見よう、という掛け声とともに思い切って外に出てみる。雲がかかりながらも北斗七星が見える。ほのかな光に照らされてさらさらと雪が映えている。

 小屋のなかは石炭ストーブが赤々と燃えている。身体にダイレクトに語りかけてくるこの熱さは何十年ぶりのことだろう。いつもは灯油ストーブの包みこむようなぬくもりに慣れている体にとっては、あまりにも強すぎてなじめないのだが、幼き頃の思い出とともに次第に懐かしく慣れてくる。

 翌日は朝5時40分に奥手稲のピークでご来光を見ようということで出発。雪あかりのなかで粉雪が舞い始めるなか、だれもがピークを目指し、その後のパウダーの滑りを待ち焦がれる。

 奥手稲ピークには40分程度で到着。そこにはツェルトがあり人が寝ている。
明るくなった疎林のなかをスキーで滑る。このおもしろさ、楽しさは味わったものしかわからない。林間のなかをぬうように滑りいく・・・。

 時間がたつのは早いものだ。この小屋を去らねばならない時がきた。
T山岳会のメンバーも迷沢山ピークに寄り、そこから平和の滝に下りるらしい。
ぼくらのパーティもそのトレースを拝借してしばらく後から歩いていく。

 迷沢山ピークに着く。T山岳会も先に着いていた。それまでの小雪がやみ、光が差し込んできた。その光のなかにその姿を浮かびあがらせていたのは定天だった。

厳しさを身に纏い、だれもかれも寄せつけないように凛としてそびえたつ姿が目にはいってきた。

 T山岳会のメンバーがこのピークから滑り降りていく。ほとんどの人たちがプラブーツなのに、その急斜面をためらいもなく滑る。
 ぼくたちはその後ろ姿を目で追う。

ぼくたちは上平沢林道を使って降りることにした。もちろん、林道をすべて使うのではなく、林間を滑り降り途中で道に合流するのだ。
 十数人がよどみなく降りていくさまは圧巻だと思う。かなりの急斜面ではあるけれど、樹木をかわしながら鮮やかに滑る。

 駐車地点に到着したのは、まだ午前11時10分頃だった。(了)


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