オムシャヌプリ

〜ニオベツ川南西面直登沢から〜

平成19年8月26日 翠明橋公園にて前泊 同行者: 札幌やまびこ山友会 8名
 ぼくの所属する会の沢企画担当となった。初級者向けの沢の担当である。昨年も担当だったのだが、右膝の故障で参加することができなかった。ちなみに、昨年は野塚岳のニオベツ川の南面直登沢で、この沢は少し易しすぎたという話を聞いた。
  そこで今回はそこよりも難しいオムシャの沢を選んだのである。当初は「北海道の山と谷」に記載されている野塚川からの沢を遡行する予定だったのであるが、HYMLのGanさんの沢の本に今回の沢について記載されていたので、飛びついたのである。

 前日の夜は野塚トンネルの手前にある翠明橋公園で泊まった。美味しい湧き水のあるすてきなところである。
 翌朝5時45分出発である。国道をやや降りて林道に入り、ニオベツ川に入っていく。山にはガスがかかり行く手の高きあたりは見えない。あまり暑くはならないだろうけど、滝で濡れることがわかっているから、衣服が乾きずらいかもしれない。でも、耐えられない寒さにはならないだろうと想う。

 本流からオムシャへの二股に着く。とても小さな可愛い沢だ。水の量も少ない。けれども、そこかしこにあるごつごつとした岩からは、やはり日高の沢だと感じる。きれいだとか、美しいという形容ではなくて、荒々しいダイナミックな逞しさを秘めている。

 今回、ぼくは担当者としてトツプで遡行することを決めていた。小さい沢とはいえ、何があるか、そして何が起きるかわからない。現われてくる滝はまずぼくが登っていかねばならないだろう。多少の緊張感が身を包む。

 最初の滝が現われる。(当然ながら、写真を撮るときはトップではなくなる(^^♪)

 歩き始めの頃はさすがに滝もそう多くはない。しかし、詰めるにしたがって、それが多くなってくる。
上の写真はぼくの記憶に間違いがなければ、標高580mの滝だったと思う。ここは難しいところもなく、どんどん登ることができる。
 やがて、680mの滝にさしかかる。Ganさんによれば、人によっては確保が必要なところだという。ここも別段難しいところはなく、全員さくさくと登ってしまう。
 この滝でザイルが必要かも、と想っていただけに安心する。もう、ザイルも必要ないだろう。

 この滝でも結構な高度感がある。この沢の滝はまったく滑らないところと滑りまくるところとが混在している。どんなに小さな滝であっても慎重に足をはこぶ。一人として怪我・事故が起きるのを防がなければならない。

 美しい滑滝もある。けれども、この滝は滑りやすく気を抜くことができない。

 荒涼としたなかにも、どこかに侘び寂びの世界を感じることができる。この空間に身をおくことができる喜びが湧き上がる。ただただ、無心に前に向かって歩んでいく。

 ところどころ水が伏流となっているところもある。かなりの斜度だ。

 ぼくは、現われてくる滝という滝のほとんどは直登した。ついてくるメンバーもまた直登してくる。極端には難しくないとはいうものの、微妙な登りもあるのだ。

 標高785mの大滝がある。残念ながらここの写真を撮るのを忘れてしまった。少し登ってはみたものの、上部はホールドがなく、つるつるだ。右岸から行くことも考えたが、勝手な行動は慎まなければならない。降りて右の枯れ沢を登り、トラバースして本流に戻る。

 この滝は斜度はないものの滑りやすく、手がかかる。
 標高千m前後からは、ひっきりなしに滝が現われ普段興奮することのない僕でさえも嬉しくて足の運びが早くなる。

 水流が途切れても沢形は残る。これをつめていくと稜線にあがり、約20分もかからずにオムシャヌプリのピークに着く。残念ながらガスが流れ周囲の眺望はまったくなかった。でも、素適な沢を歩くことが出来たぼくはこれで充分満足だった。

 下降沢はオムシャのコルから降りていくのだが、水もなく、岩だらけのまったく面白みのない沢だった。
                               (了)


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