初春のオプタテシケ

〜トノカリ林道から〜

平成18年5月13日 前日トムラウシ温泉車中泊 同行者: 息子
 平成18年は、右膝の故障のためにほとんど山歩きはしていない。けれども、少ないながらも深く印象に残るものばかりだった。
 それらのなかて゜、5月中旬に息子と初春のオプタテシケに行ってきたが、これも忘れられない山だった。

 札幌を前日の夜に出発し、トムラウシ温泉の駐車場で車中泊となった。朝、道を戻り林道に入った。
林道にもすでに春はあった。さすがに、奥深く入っていくと雪があらわれ、車を道路脇のスペースに停めた。
 途中で雪に難儀していた車の若者たちはどこへ行ったのだろう。下ホロだろうか・・・。我々のほかには誰もいない。山スキーで歩いていると樹木の向こうにオプタテが鎮座しているのがみえた。

 ここは標高約700m地点。ここからさらに1300mの高さを登る。ときどき、遠くで鳥がさえずるのが聞こえるけれど、とても静かなそしてあたたかい空気に満ちている。

 標高1400mからの急斜面では、ぼくのくたびれたシールでは雪をとらえきれない。ずるずると滑り落ちてしまう。やむなく、ピッケルで歩くことにする。雪質は硬くはなく、頂上付近でもクラストすることはないと判断し、アイゼンはつけない。

 登るにつれて山並みが広がってゆく。あのトムラウシから十勝連峰そして下ホロと稜線がかたちづくるコントラストが美しい。とくに、端正な円錐型の下ホロは訪れてみたいと思う。
 
 トムラウシはいつ見ても、憧れの山だ。きっと厳冬期の姿もすばらしいだろう。でも、3月にならないとピークを踏める機会がなかなかないのかもしれない。
 

 スキーのデポ地点からキックステップで慎重に登りながら、約二時間でピークに着いた。

 さすがに、ピーク周辺はまだ冬のさなかにいる雰囲気だ。それにしても、この見渡す限りの広々とした世界は何にたとえたらよいのだろう。
 人の力の及ばぬ領域・・・それこそ、精霊〜カムイの支配する世界とても言えばよいのだろうか?



 冬のオプタテは白金温泉側から北西面の三ルートから登るようだ。ここから見るといずれも急峻で手強そうである。ぼくの手には負えないとつらつら思う。

 降りるときがきた。
あらためて、ハイマツ帯の周辺で滑落停止のチェックをやってみる。とにかく、慌てずゆるりと歩く。踵をしっかりと雪にくいこませる。
 少し傾斜が緩み、安全が確保できるところまでくると、息子は靴をスキーに見立てて”人間ウェーデルン”を始める。やはり、スキーで滑れなかったのが残念だったのだ。

 スキーのデポ地点に戻り、ふっきれたかのようにスキーを滑らせる。とはいっても、ぼくは息子のように上手くはないから、操作に苦心する。

 あとは地図をしっかりと見て、ルートミスせずに戻るだけだ。そして、温泉とソフトクリームが待っている・・・(^^♪



                               (了)


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