双珠別岳

〜すばらしい展望の山〜

平成19年3月3日  同行者: 札幌山びこ山友会 1名
 日勝峠から日高側の七合目から登る双珠別岳という山がある。地形図にも記載されていないこの山は最近のインターネットの普及にともなってマイナーな山からメジャーな山に変わりつつある。
 双珠別岳は実はもうひとつあるのだ。こちらは更に日高側にあり、なかなかに厳しい稜線を見せている。この山にはHYMLの仲間であるganさんが沢登りによって登頂している。その記録はganさんの昨夏に出版された本にも詳しく記されているが、冬の登頂についてはまだ聞いたことがない。でも、きっと誰かがピークに行っているに違いないと思う。ただ、山スキーではこちらの双珠別岳よりは難しいのではないかと思う。

 今回も会の仲間とともに歩いてきた。国道の七合目の標識を過ぎてしばらく走ると右手に駐車場がある。そこに車を置き出発した。
 国道を横切り、林のなかに入るが、けっこう人がきているとみえてトレースがある。
 ほどなく、林道にぶつかるのでこの道を歩いていく。この山のルートはとてもわかりやすく間違う心配があまりない。それでも、要所要所では、地形図とコンパスで現在地を特定しながら歩く。

今年の暖冬のせいか雪質があまりよくない。重い雪でこの状態のなかで滑るとしたら、けっこう辛い思いをするかもしれない。けれども、初めてきた山だけにそれ以上に期待に胸がふくらむ想いだ。

 林道をしばらく歩いたのちに、トレースどおりに林のなかに入っていく。このトレースはもうひとつの林道もまたぎつつ、疎林の斜面に続いていくのだ。

しだいに高度があがるにつれ、沙流岳や日勝ピークが顔をだしはじめる。天気はうす曇りでときどき日差しが射すようになってきた。

気がつくと広大なゲレンデとも言うべきか、白い斜面が大きく横たわっている。
斜度もゆるくこれほどまでに巨大な斜面は初めてである。その奥にピークの前峰らしきものが見えている。意外とピークは近そうだ。
 風が強いのかカリカリした雪もある。ピークに近づくにつれてシュカブラもある。それでもピークを前にして自然に足の運びが早くなる。

 雲も薄くなり青空が広がりはじめる。ただ、風が強く吹き飛ばされるまでもないが、さきほどまで暑くてウェアを脱いでいた身にはとても冷たく感じる。ピークに着いたらすぐにウェアを身に着けよう。

 ピークの周辺はハイマツ帯なのだ。歩きずらいが圧倒的な眺望が広がるにつれてそんなことも気にならない。
 もう一つの双珠別岳も見える。なかなか、かたちのいい山だ。
 ピークからは、まずは尾根続きの狩振岳を見た。さほど遠くない。いい斜面も見える。今度きたときは、あそこまで行こう。
 

日高の山々も見えてきた。おなじみの沙流岳。その沙流岳がとても可愛らしく見えるほど背後の山並は大きく高い。

きっといつの日にか、あの稜線を歩くことができるだろう。いや、それはわからない。わからないけれども、ひとつの夢として持ち続けていこう。
 さらに、日勝ピークが見える。あそこのゲレンデも素晴らしいし、その右側には通称、堀ゲレンデと呼ばれる斜面が光っている。

ぼくたちはピークを跡にしておりはじめたけど、時間もまだ早くてこの景色のなか、なにか立ち去りがたい感覚があった。だから、ザックを置いて、また登りかえして滑った。残念ながら雪質は重たいままではあったけど、この空気がいい、この広がりがいい。心も大きく広がるようだ。(了)


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