シューホンブレース(SHB)のカットラインについて

SHBのカットラインについて解説します。目的を持ったカットラインにしたいものです。

@・F 腓骨頭より1押指半から2押指下で腓骨神経を圧迫しないようにカットします。膝窩部は膝屈曲時に邪魔にならないように1cmほどえぐるように低くします。

A・G ニュートラルの時点で大腿骨内外側顆より水平面で前方に若干出します。仮合せが出来ない場合などはトゥーアウトを7〜8°つけた状態で仮想ラインにて製作します。

B SHBの命ともいえるアンクル部のカットライン。底背屈のモーメントはここで決定されます。アンクルより近位で底屈(背屈モーメント)の調整、遠位で背屈(底屈モーメント)の調整を行います。当製作所ではドクター、セラピストと義肢装具士、あるいは採型担当者と製作技術者の意思の疎通を図るために、Full・2/3・1/2・1/3とカットラインを決定しています。

C 足部内側のカットラインですが立脚中期にアーチが下がり舟状骨を傷つけないように舟状骨は深く被せます。アーチサポートを高くすると内反を助長することになりますが低すぎる場合も前記通りここにトラブルを起こす事があります。ミッドスタンスで足部外反のケースもありますので、この場合もアーチサポートは重要になります。採型前の評価が大切です。

D 第一中足骨に沿うようなイメージで。ここではほぼ直線になります。

E Dからの流れになりますが第一中足骨はすべて被せます。これは将来的に前足部に内反が出現したときにカバーできるようにしておきます。経過観察ののち不必要な場合にはカットアウトします。それからでも遅くありません。靴に入らないという理由だけでカットしてはいけません。トゥースプリングの強度にも関係しています。前足部に内反が出て内壁を乗り越え、その内壁が足底にあたって痛いという訴えを聞く事があります。結構ポイントだと思います。

H 内側のカットラインにあわせます。他動的に装具を背屈させたときに捻じれない様にします。 
プラスチック継手のコストを頂くのですから、しっかりジョイントの調整をします。調整しなくてはジョイントは固定扱いとなりプラスチック継手のコストは請求できない事になっています。手抜きは出来ません。

JK K第五中足骨を被せますがJのラインはHアンクル外側のラインと直線でつなぐイメージです。

他に、背屈角度(膝のコントロールをするのに必要です)、トゥースプリング(立脚後期の推進力に影響)など詳細に決定して行きます。膝折れがあるのかロッキングして歩くので反張膝になっているのか、あるいは内反していないかなど、状態によってマジックバンドの取り付け方を変えたりパッドが必要になることもあります。マジックバンドの長さも長ければ装着に手間取ったり短ければ粘着強度に問題が出たりしますしヒールカットについてもカットする事により背屈モーメント(装具を底屈させたときに背屈方向に戻ろうとする力)が小さくなりロッキング歩行をする人には禁忌です。靴に入らないという理由だけでカットする事は避けなければなりません。このシンプルな装具にこれだけの情報が入っているんです。

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