いるかちゃんヨロシク妄想話

巧くんヨロシク

番外編 揺れる想い(巧巳×いるか)

「あの松の木まで2往復!!」

「大会はあさってだよ ラストスパート」

あたしと巧巳は、箱根駅伝に向けて毎日一緒に走ってる。

春海も誘ったけど、忙しいからって断られちゃった。


巧巳と二人でいられるのも、明日まで、か・・・


ザアアン


波の音を聴きながら浜辺で戯れる恋人同士

そんな光景をいいなーって見てたら・・・


「ぎゃー」

ドサーッ


砂に足をとられて激しく転んでた。


「おい 大丈夫か」

「あっ平気 ちょっとひっかけただけ」

「ったくペースあげすぎだぜ おまえって」

「巧巳が遅いんだよっ」


巧巳に手を握られ、助け起してくれただけなのに

あたしは照れて悪態ついちゃう。


「おまえ、ほんとにタフだな

 ――――おい 足ひねったのか?」

「あっ ちがうの ここむかしネンザしたんだ つい気んなちゃって」

(ちっ なんだ)

「そっか・・・ 気ィつけろよ クセんなるから」

「うん」


本気で心配してくれるんだ――――


巧巳にじっと見られるとドキドキしちゃう。

あたし、おかしいよね・・・

春海と一緒の高校に行きたくって、猛勉強して里見学習院に入ったのに。

球技大会の時も、春海と巧巳が並んだ後姿を見て思ったんだ。


カッコイイよね ふたりとも・・・


「正美ちゃんどう?」

あたしは、巧巳に心の中を見透かされたような気がして

話題をかえた。


そうだ、あの時も――――


正美ちゃんの手術が成功した時、ホッとして、ふと思った事は

春海と巧巳ってちょっと似てるというか

同じような境遇なんだなってことだった。


あの頃から


春海のこと想うと、いつも巧巳が出てきて


胸が苦しくなるんだよね


どうしてかなあ・・・


「なに?」


巧巳の手が、あたしの耳元にのびてる。


「髪の毛に貝がらがもつれてる」


あたしの視界には巧巳だけ

瞬く間もなく唇が触れた


ほんの一瞬の軽いキス


あたしは、気づいてしまった。

ずっと、惹かれてたんだ。 


――――巧巳に


「走ろうぜ」


巧巳は立ち上がると、あたしの手を引っ張った。


このまま、ずっと一緒に走っていたいな


手をつないだままで――――


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