7章 信頼の値段
「正直者がバカを見る時代だ」と言われて久しいですが、それだけ人を騙す人が多くなったという事なのでしょうか?
雪印牛肉偽装事件をはじめ、うそがまかり通っている現代においては、「騙すなら上手に騙してね!」と言い切る人がいるくらい、世の中から、誠実さを見ることができなくなりました。
嘆かわしいことですが、我々にもふりかかってくる出来事なので、今後は、見て見ぬ振りをすることはできないでしょうね。
騙す方もしかり、騙される方もしかりということなんでしょうが、しかし寂しい世の中になったものです。
昔、クリスタルキングの「大都会」という曲が流行ったことがありますが、今は大都会に限らず、岐阜の田舎でも裏切り行為は日常茶飯事ですから、騙されないための対策は個々において必要となってきています。
自分だけ筋を通せばまかり通る世の中ではないので、少しばかり、知恵を捻る必要はありますね!
「バカ正直な人」と「誠実な人」とは意味が違います。「頭がいい人」と「賢い人」とは意味が違います。ただ単に自分の信念を押し通すことしかできない単純な人や自分の能力におぼれて状況変化を読み取れない前者の様な人は、今の時代では損する生き方を選んでしまうでしょう。
話が変わりますが、会社でも、従業員はあくまでも使用人なので、いつ会社を裏切るかわからないといった危険性を経営者はいつも感じています。
給料やポジション等で、うまくバランスを取りながら舵取りをするわけですが、やはり生身の人間であるため、いつ、どのような原因で転覆するかわかりません。
給料ダウンや、降格人事、配置転換など、従業員との意思の疎通を十分に図らずして行った行為は、彼らを逆上させてしまうきっかけを孕むであろうし、特に、辞職願いを提出した後や解雇通告を言い渡された後は、彼らの気持ちは、もうすでに次の会社に移っているので、今の会社に義理立てする努力を払い事はしないでしょう。
故に、うらみを抱いている社員の中には、会社に損出を与えるような良からぬことを考えている者もいないとはいいきれない。 例えば、ライバル会社や取引先に悪いことを吹聴したり..........
だから、信頼したいのはやまやまなのだが、最終的に会社の責任をとることのできない従業員に、全幅の信用を置くということはありえないことになる。
会社を裏切らないでいつまでも利益をもたらす、能力のある従順な素直な子羊を求めている経営者の気持ちが分らないでもないが、そんな奇特な人はこの世の中にそう多くはいないであろう。
ならば、業務に対して粛々と遂行する誠実さは、いかにして作り上げることができるのであろうか!
はっきり言って、それは、自社株でも保有して運命共同体にでもならない限り無理であろう!
株を譲渡するような肝の座った経営者なんてそうは多くいないのが現状からみて、この問題はいつまでも悩みの種になるであろう!
話が飛躍するが、ここで、信頼とコストという問題がでてくる。
無条件で信頼するということは、相手に関する様々な情報を集めたり、相手と上手に交渉するための手間暇などのコストをかける必要がなく、物事をスムーズに進行させることができる。
つまり、信用に値するまでのプロセスやそれにかかる経費という無駄が省けるのだ!
新しい人事制度を確立できない会社にとっては、逆に、今の時代こそ、「終身雇用制」という制度を振り返ってみるのも一つの手かもしれません!
絶対的に信頼はできないが、少なくても会社に長く勤めている社員は、新入社員よりは信頼に値することができますよね?
信頼するということは、業務が不適正であるか否かという第3者による余分な計測が必要なくなるということであるし、会社の秘密保持のみならず、時には会社の問題点まで踏み込んで泥をかぶってもらう行為も請け負ってくれるという期待も含んでいる。
ここに、現代においての終身雇用制とは、労働力の確保が目的ではなく、業務に対する信頼を確保する制度に置き換えることができる。つまり、上手に使えば、信頼を担保する良い制度になりえるかもしれないということである。
終身雇用を謳っている会社での給料の中味は、能率給といった評価もあるが、信頼給といった評価もあるような気がする。
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