なやみや苦しみを減らすことはできても、なくすことはできない
だれでも生きていくうえにおいて、苦しみや悩みがないに越したことはないと思っています。 しかし現実には、苦しみや悩みをなくすことができないのです。 私たちが陥りやすい最も大きな過ちのひとつは、悩みや苦しみはなくすことができると思い込んでいることではないでしょうか。 だから「他人にはなやみや苦しみがなく、楽しそうに生きている」と誤解してしまうのです。 そして他人をうらやんだり、自分の境遇を呪ってしまうのではないでしょうか。 悩みや苦しみをできるだけ少なくなるように、ある程度は自分でコントロールできますが、他人によってもたらされるいざこざは避けようがないのです。 このことは別のページでくわしく書きます。
重要なことは悩みや苦しみをなくすことではなくて、それらに直面したときにどう対処するかということなのです。 なぜなら悩みや苦しみは、生きていくうえで絶対に避けられないことだからです。 その避けられないことを避けようとするから、よけい苦しむことになるのだと思います。 そして自信を失っていく原因になっているのではないでしょうか。 もちろん、自分で悩みや苦しみを避ける努力をすることは大切ですが、それらに直面したときにと゜う対処すべきかさえ知っていれば、悩みや苦しみをあまり恐れる必要はなくなるのです。 多くの場合、その対処法を知らないために悩みや苦しみに対して、過大な不安を抱いてしまうのではないでしょうか。
「人生の諸問題はどう解決するかより、どう対処するかが大切だ」とだれかが書いておりましたが、まさにその通りだと思います。 社会生活をすることは相手があることであり、いくら自分だけが解決しようと焦っても相手が協力してくれない限り、問題の解決はあり得ないのです。 問題を解決することは望ましいことですが、相手の協力を得られず解決できなければ次善の策が必要になります。 その次善の策が「解決することではなくて、対処すること」なのです。 自分で可能な限りの対処をしていれば、結果は思わしくなくても納得できると思います。 それ以外に方法はなかったのですから。 解決しなければ納得できないから、相手を恨んだりして人間関係が壊れていくのだと思います。
どんな生き方をしても、悩みや苦しみはなくならないのです。 ただ、悩みや苦しみの質と量が違うだけだと思います。 自分だけが苦しんでいるのはないのです。 ひとりひとりがそれぞれの問題を抱えて苦しんでいるのです。 自分だけが苦しいのではないと分かっただけでも、生きるつらさは緩和されると思います。 自分だけが苦しんでいるのだと勘違いするから、ただでさえ苦しい人生がますます苦しいものになってしまうのです。
私たちにとって重要なことは悩みや苦しみを避けることではなくて、それらに直面したときにどう対処すべきかを生きる知恵として身につけることです。 これもあとで書くことですが、そのためには現実から逃げ回っていてはならないのです。 どんな生き方をしても、悩みや苦しみがなくなることはないのです。 悩みや苦しみに対する適切な対処の仕方を身につけることこそが大切なのです。
「生きていくうえで、悩みや苦しみは決してなくならない」ということが分かれば、悩みや苦しみが以前と同様ににあったとしても、生きることはだいぶ楽になると思います。 なぜなら「苦しんでいるのは自分一人だけではない」ことが分かるからです。 このこともいくら言っても言い過ぎではないくらい重要なことだと確信します。