人生に一足飛び(安易な道)はない
   「人生に王道なし」

 「学問に王道なし」とは、ギリシャの哲学者アリストテレスがアレキサンダー大王の家庭教師として赴任したときの言葉として、あまりにも有名ですね。 人生にもまったく同じことが言えると思います。 自分に能力や経済力がないのに大きなことに挑戦して失敗するとか、相手に求めてばかりいて、自分は相手になにも与えようとしないとか、基本的なことが抜け落ちていることが、生きることをつらくしているのだと思います。

  だれでも苦労しないで知識や知恵、物心両面の豊かな生活を得たいと思いますが、それはできない相談なのです。 様々の経験を積んで悩み苦しみながら、生きる知恵を身につけていくしかないのです。 それを安直に得ようとすればその場はしのげても、いつかは同じような問題に捕まってしまうのです。 しっかりと身に付いていない知識や知恵で、ものことに対処するから失敗を繰り返し、そして自信を失ったり、相手や社会を恨み、最期には自分さえも恨んでしまうのではないでしょうか。

  人生に王道はなくても、生きることの苦しみやつらさを減らすことはできるはずです。 それがどんなに立派な人でも、どんなに偉い人でも、一足飛びに現在の地位や知恵を身につけたわけではありません。 そのことを分かって欲しいのです。 それなりの努力、苦労や悩みがあったから、ひとかどの人物になれたのです。 ともすれば他の人は簡単に立派になれて、自分だけがいくら努力しても報われないように考えがちですが、それは違うと思います。 だれもが同じような悩みや苦しみの中を、生きてきたのだし、これからも生きていくのです。

  「千里の道も一歩から」始まるのです。 人生は一日一日の積み重ね、一瞬一瞬の積み重ねなのです。 それ以外にはあり得ないのです。 なにごとも一足飛びには、なし得ないのです。 他人の苦労が見えないから、他人は難しいことを簡単にやっているように見えるだけなのです。

  私はよく庭先でアリの行列を見つめることが好きです。 人間の目から見れば動いているのか、動いていないのか分からないようなアリの歩みですが、意外に早いものです。 人生も同じことだと思います。 童話の「ウサギとカメ」の物語も、結局は相手をバカにしたウサギさんが負けてしまったのでしたね。

  毎日のささいなことの積み重ねが大切だと言わざるを得ないのです。 人生はその積み重ねでしかあり得ないのです。 このことは何度も言っていることです。

トップページへ戻る