自分を否定しているかぎり、なにも変わらない

 私は若いときは、だらしなく、約束を守らず、その場しのぎばかりしていて、マージャンやパチンコばかりしていました。 なんとかその場をつくろえば、あとはそのときになればなんとかなるという生き方をしてきました。 いまでもそんなに変わりはないかも知れませんが。 若いときよりは、幾分かはましになったとは思っていますが。 そしてそんな自分が嫌でたまらず、自分を忘れるために賭け事にはまり、当然のこととしてその場しのぎを繰り返してきました。 自分が嫌いで、そのうえこんな自分を産んだ親を恨み、自分の環境を恨んだこともありました。

  でも、そのようなことから得たものは「こんな自分が嫌でたまらない」ということだけだったと思います。 自分を嫌えば嫌うほど現実から逃げるようになったのです。 そしてますます自立心と自信を失っていきました。 うそや言い訳で固めた生き方をするようになりました。 

  いま生きることに悩んでいる人は自分を好きですか、それとも自分を嫌いですか。 自分を嫌いだという考え方には、否定的な生き方しか考えつかないように思います。 自分はなんとかして苦境から抜け出そうとしているのですが、前向きの考えがでてこないで、どうしても後ろ向きの考え方しかでてこないと思います。 少なくても私はそうでした。 たまに前向きの考えが浮かんでも否定的な自分がでてきて、その前向きな考えをすぐに否定してしまうのです。 「どうせ、やっても失敗するに決まっている」、「どうせ、あいつには負けるに決まっている」、「お前はそんなことを言ったり、できる値打ちのある人間ではない」、「だらしないおまえに、そんなもっとらしいことが言えるのか、できるのか」と否定的な自分がささやきかけるのです。 果てしない悪循環が始まってしまうのです。 

  本当の自分の姿を否定しているから、本当の自分が見えなくなるのです。 こんなときは本当の自分を見ているつもりでも、自分に都合のいい自分しか見ていないのではないでしょうか。 「本当の自分は、こんなものではない」と自分に言い聞かせても、現実の自分を変えようがないのです。 なにを、どう考えようと各人の自由ですが、考えただけでは本当の自分が変わることはないのです。 実行しなければなにも変わらないことは、前に書いたとおりです。  苦しみや悩みの真の原因が分からなくなっているのです。 現実の自分を否定すれば、自分自身への言い訳にはなりますが、かえって生きることが苦しくなるだけだと思います。 だから現実の自分を受け入れなければ、問題は解決しないのです。 解決の糸口は、自信を失い無力感に苦しんでいる情けない自分の姿、いろいろな人間関係に否応なく巻き込まれて右往左往している自分を受け入れることなのです。 その勇気と決断力が必要なのです。

  ありのままの自分を直視することは、つらいことです。 でも、すべてはそこからしか始まらないのです。 自分に都合のいい自分から出発しても、自分をごまかしているということは否定できないので、自分を信頼することができないのです。 現実の自分のすべてを受け入れてこそ、真の意味で自分が変われるのです。 自分を否定的に見ている限り、自分を変えようとしても変えることはできないのです。 このことは重要なことです。

  いまの自分を自分として認めないかぎり、生きることは楽にならないのです。 だから自分が強くなるには、一時的にせよ自分が傷つくことは避けられないのです。 自分が傷つかないで、自分を変えることはできないのです。 自分が傷つくことを恐れているかぎり、強くなれないのです。

  決断が必要なのです。

  現実の自分を受け入れることはむずかしいし、とくに否定的になっている自分を受け入れることはなおさらむずかしいことです。 でも、その否定的な自分を受け入れることが必要なのです。 不思議なもので否定的な自分を受け入れることができると、自分を肯定的に考えることができます。 否定的な自分を受け入れたのだから、現実を肯定しているのだといえばそれまでですが、それは理屈だけの話だと言えます。 とにかく一度自分を受け入れてみることです。 どうしても受け入れられないときは、受け入れられるようになるまで待つしかないと思います。 無理にありのままの自分を受け入れようとすると、それも自分に嘘をつくことになるからです。 待つこと、耐えることが必要なのかも知れません。

自分は周囲のことばかり気にしている人間だ
自分の意見を言えない人間だ
ひとりではなにも決断できない人間だ
他人の出世が、これほどまで気になる人間だ
いくら勉強しても分からない人間だ
異性にはもてない人間だ
いつも威張ってばかりいる人間だ
過去にしがみついてばかりいる人間だ
いつもその場しのぎばかりしている人間だ
他人に利用ばかりされている人間だ
結果ばかり気にする人間だ
すぐ感情的になる人間だ (感情を抑えられないのか)
失敗ばかり恐れている人間だ
いつも他人の噂が気になる人間だ
実行力がない人間だ
利己的で思いやりのない人間だ
完全でなければ気の済まない人間だ
親離れできない人間だ
子離れできない人間だ
ひとりで抱え込む人間だ
あきっぽい人間だ
責任転嫁をする人間だ
臆病な人間だ
けちな人間だ
他人の悪口を言わないと気が済まない人間だ
自分の過ちを認めることのできない人間だ
ひとを騙すことが平気な人間だ  (約束を破ることも含む)
「ノー」とはっきり言えない人間だ
親の言いなりになる人間だ
部下に厳しく、上にはごまをする人間だ
自分に甘く、他人に厳しい人間だ
相手を束縛しないと気が済まない人間だ
自分のことをたなにあげて、相手ばかり責める人間だ
利己的だ
本音を言えない人間だ
根暗な人間だ
対人恐怖症の人間だ
いつも他人より優れていなければ気が済まない人間だ

  このような現実の自分の姿を受け入れることがなにより大切なのです。 「受け入れてどうなるのか」と思う人もいるかと思いますが、とにかく現実の自分を「自分はこんな人間なのだなぁ」と認めてみることです。 

  自分を否定するとは、自分に都合の悪いことは棚に上げて

 ありのままの自分を認めて、「いまの自分はこのようなのか」と認める勇気を持つ必要があるのだと思います。 他人に嘘はつけても、自分自身に嘘をつくことができないからです。 そして、いまの自分、いままでの自分の欠点と長所を洗い出してみることが必要だと思います。

 そして、今日よりは明日、明日よりは明後日の自分を想像しながら、気長に自分を変えていくことだと思います。

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