反面教師

  私たちは人付き合いをするときに、自分と考えを同じくする人や、気のあった仲間とつき合いたくなるのは、しごく当然のことです。 しかし、それが楽しいことには相違ありませんが、人間としての幅を広げてくれるかどうかは別の問題です。 人間としての幅を広げるためには、自分と違った意見や人々とつき合うことが非常に大切なことなのです。 決して楽しいことではありませんが、経験を広めるという意味で大切なことなのです。

  私たちは嫌いな人とはつき合わないようにしますが、実はそのような人たちとのつき合いの中にこそ、自分を成長させてくれるものがあるかも知れないのです。 やっぱり、ないのかも知れません。  理屈では分かっていることなのですが、実行することは難しいことです。 自分はなぜ、その人が嫌いなのか、その人のどこが問題なのか、それを知ることが大切だと思うのです。 ことわざに「他人の振りみて、我が振り直せ」ということわざがあります。 これは「自分が他人にされていやなことは、自分は他人にしないようする」ということです。 

  「相手の嫌な面を見て、それを教訓として自分は同じようなことはしない」と決断できれば、嫌な人とつき合う意味があったのです。 嫌な人と積極的につき合う必要もないとは思いますが、相手から近づいてきたらおつき合い程度につき合っておけばいいと思います。 反面教師とは偉大な教師だと思います。 自分はそんなに苦労しないでも、生きていくうえでの大切な知恵を授けてくれるのですから。

  人生においては、自分の嫌いなことや嫌いな人からなにを学ぶか、なにも学ばないかは、その人の将来に決定的な影響を与えます。 あの人は嫌いだと言ってもいいのですが、自分はなぜその人を嫌いなのか、それを知ることが大切だと思います。 その人のどんなところが嫌いなのかが分かれば、「自分は同じようなことをしない」と決心することができるはずです。 なぜなら自分がされて嫌なことは、他人んもされて嫌なはずだからです。 それさえ知ることができれば、つき合う必要はないのですが、普通の人には難しいことなのです。 他の人の言動を分析して、それを自分に置き換えて考えることは大切なことです。 ここで忘れて欲しくないことは、いままで言ってきたことと矛盾するようですが、相手のことばかり考えてもいけないと言うことです。 最終的には自分を中心に考えなければならないのです。

  とくに同じことを言われてもなんにも気にならない人と、いいち気にさわる人とがいると思います。 なぜ同じことを言っているのに、受け取る側の感じ方が極端に違ってくるのでしょうか。 それは話すことの動機にあると思います。 事実を素直に話して自分の責任をとろうとしているのか、責任逃れのために言い訳に終始しているのか、そんなことが受け取る側には直感的に伝わるのだと思います。 言い訳に終始する姿は、とても見られたものではありません。 このような人こそ、最良の反面教師でしょうね。 

  そのようなことから学ぶべきことは、言うまでもありません。 言い訳や自己保身に必死になるくらい、みっともないことはありません。 そのような人は言い訳が終わると、必ずと言っていいほど周りの人の了解や同意を求めてきます。

  あまり苦労をしないでいい思いをしたいなら、反面教師に徹してはどうでしょうか。 反面教師は、それほど偉大な教師だと思います。 他人の欠点は見えても、自分の欠点は見えにくいものなのです。 だから反面教師は、自分を考える上で重要なのです。 反面教師は自分が笑われることなく、してはいけないことを教えてくれるのです。 こんなありがたいこともないと思います。

 お金も、時間もかけずに、人生の大切なことを教えてくれる反面教師は、考えようによっては大変ありがたい存在といってもいいのではないでしょうか。 反面教師を大いに活用しましょう。

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