問題と悩みは同じことか

 大きな問題を抱えているのにあまり深刻に悩まない人もいれば(単にことの重大さに気づいていないという人もいる)、大した問題でもないのに深刻に悩んでいる人もいます。 この違いはどこから生じるのでしょうか。 客観的に見れば大した問題ではないのですが、当人にしてみれば大問題だということなのです。 問題は客観的な大きさが重要なのではなくて、あくまでも「自分にとってはどうなのか」ということがすべてなのです。

  問題を抱えていることは、弱い人間だと言うことになるのでしょうか。 強い人間なら問題は抱えていないのでしょうか。 生きているかぎり多かれ少なかれ問題を抱えていない人はいません。 (あまり考えもしないで気楽に生きている人は別です。)  単なる問題と、悩みに発展してしまう問題とは、どこが違うのでしょうか。 もちろんその人の考え方によって、問題のままで解決することもあるし、悩みとなってから解決することもあるのです。 どのような人が問題を問題のままで解決でき、どのような人が問題を悩みにまで発展させてしまうのでしょうか。 この違いは、生きていくうえでどうしても知っておきたいことではないでしょうか。 

 その人がどれだけの自信を持っているか、どれだけの常識を持っているか、いままでどんなことをどれくらい経験してきたのかが、問題を悩みにもしてしまうし、問題が悩みになる前に問題のままで終わらせてしまうのではないでしょうか。 ひとつのことが問題で終わるのも、悩みになってしまうのも、その人の考え方次第だと思います。 冷たい言い方になって申し訳ないのですが、人生経験の多少によって生きることが楽にもなれば、苦しくもなるのです。 だから「現実から逃げてはならない」と言いたいのです。 このことについてはいろいろと書いてきましたので、理由はここでは省略します。

 人生には解決しようにも解決できないことも多いのです。 相手が自分の思うように動いてくれなければ解決できないこともあるし、物理的に解決できないこともあるのです。 このことを知らないから、あるいは知っているのにいざというときに思い出せなくなってしまうから、人生がますます複雑になってしまうのだと思います。 「生きていくには相手がある」、「相手によって、対応の仕方が違ってくる」と言うことを見落としてはならないのです。 苦しくなると、どうしてもそのようなことを忘れて、自分のことばかり考えてしまいがちになって無用のトラブルを起こしてしまい、ますます解決をむずかしくすることも多いのです。 多いと言うよりは、そのようになってしまうことが大部分ではないでしょうか。 私の半生を振り返ってみると、そう言わざるを得ないのです。

 または相手によく思われようとして、八方美人になってしまうから問題の解決が一層むずかしくなってしまうことも、忘れてはならないことです。

さて、前置きはこれくらいにして本論に入ります。

 「どう考えても解決できないことを解決しようとする」、「解決できることを解決しようとしない」ことが、問題を悩みにしてしまうのではないでしょうか。 自分にはなにができて、なにができないのか、それはいままでの人生経験に照らしてみなければ分からないのではないでしょうか。 人生経験に乏しければ、この判断がつきにくくなるのは当然だと思います。 人生経験が豊富でも、この判断はむずかしいのですから。 自分はあとどれくらい努力すればできるのか、とんなに努力してもできないのか、それさえ見極めることさえできれば生きることは本当に楽になるはずです。

  ただ、このことを自分が努力することを避けるための、方便にしてはならないことは当然です。 自分を誤魔化すため、弱い自分を正当化するための道具にしてはならないのです。 

 人生経験の多少が、すなわち自信の多少にもなるのです。 いまつらいから、苦しいからと言って現実から逃げ回ることが、将来自分にどのような形で災難となって降りかかってくるかは、容易に察することができるのではないでしょうか。 そうならないためには、毎日のささいなことをひとつひとつケリをつけていくしかないと思います。

 問題が解決する(ケリをつける)とは、必ずしも問題がなくなることとは限らないのです。 この時点以降は「もう、この問題では悩まない」ということだと理解します。 なぜなら問題によっては、自分だけではどうすることもできないことがあるからです。 そのようなことでも、自分の考え方次第では「もうこれ以上悩まない」とすることも可能なのです。 極端な話をすれば、これ以上悩むも悩まないもその人の考え方次第なのです。 このように考えられるまでの過程が大変なのですが。 (言い過ぎかも知れませんが。) このように考えるには、絶対に八方美人になってはならないのです。 八方美人になっているかぎり、相手の協力がなければ解決できない問題は、常に悩みに変化してしまうのです。

 だからこそ、自分の考え方で生き方をすることが楽に生きる秘訣になるのです。 自分なりの生き方とは、勝手気ままな生き方を指しているのではありません。 念のため。

 問題と悩みをはっきりと区別して考えることが、生き方を大きく左右してしまうと思います。  こんなことを書いていながら、私も難しいことだと思っていますが必要なことでもあると思います。 なにか出口が見つからなくなったときは、参考になるとおもいます。 「迷ったら原則に戻れ」と言います。 原則を忘れてしまうから、ささいなことが大きな問題に見えてしまうのだと思います。 問題は分割して、単純にして考えると解決しやすいはずです。 あとは、それらを組み立て直せばいいのですから。 あの問題もこの問題も一緒にして考えしまうから、どうしたらいいか分からなくなるのではないでしょうか。

トップページへ戻る