なぜ、自分だけが変わらなければならないのか、バカバカしい

 このことで、私は何度挫折を繰り返していることか、こんなにむずかしいこともありません。 正直に告白します。

  私はいままでに「自分が変われば、世界は変わる」と言ってきました。 しかし現実にはいくら自分が誠意を尽くしても、説得しても、いくら相手に非があっても相手は全く自分を変えようとしないことも多いはずです。 そんなときに「自分が変われば、相手も変わるはずだ」と言われても、納得できるはずがないのです。 「相手が悪いのに、なんで自分が変わらなければならないのだ」と言って、自分から変わろうとすることを拒否することもごく自然なことでしょう。

  しかしそうだからといって自分も相手も変わろうとしなければ、どうなってしまうのでしょうか。 喧嘩別れをするか、夫婦であれば形だけの夫婦になってしまうのではないでしょうか。 泥仕合を演ずるしかかなくなってしまうのです。 この世の地獄を展開するだけになってしまいます。 それでもいいなら自分から変わる必要はないのです。 もかして自分の対応が変われば、相手の気持ちも変わる可能性もあるのです。 「自分の意見に固守すればじぶんが苦しむ」とも書きました。 ときにはできそうもないことをしてみることで、事態が打開できるかも知れないのです。

  人間の気持ちとしては、相手が悪いのなら相手が変わってくれることを期待しますが、相手が自分の非を認めることは少ないのではないでしょうか。 そうならば、悔しいけれど自分を少しは変えてみることで、相手の態度も軟化するかも知れません。 イソップ物語だったでしょうか「北風と太陽」の寓話がありますね。 有名ですから、だれでも覚えていると思います。 結局旅人にマントを脱がせたのは太陽でしたね。

  暖かい思いやりだけが人の心を変えてくれるのだと確信します。 「負けるが勝ち」と言うことわざもあります。 一時的には負けたようでも、本当は自分が勝っているのではないでしょうか。 本当は勝った負けたの問題ではないのですが。 

  バカバカしくてとてもできそうもない暖かい気持ちがこそが、人間関係の複雑な絡み合いをほぐしてくれると確信します。 でも、本当にできそうでできないことですね。

  人生には理屈や常識ではどうにもならないことが多すぎるのです。 そのようなときに必要なのは、思いやりだと思います。 そのどうにもならないことを、どのように考えるかが人生のすべてを決定すると確信しています。

 人生の問題を本当に解決する唯一のものは、「思いやり」しかないと言わせてもらいます。 分かっていてもできない。 私も、日々このことで苦しんでいます。

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