自分を受け入れるとは、どんなことか

 人生相談などで、よく「自分を受け入れる」という言葉が使われますが、「自分を受け入れる」とは具体的にどんなことを言うのでしょうか。 分かったようで分からない言葉の代表みたいなものだと思います。 「自分自身を受け入れる」ということは、

現実のありのままの自分を認める
現実のありのままの自分を納得する
現実のありのままの自分を知る
自分自身に対する恨みや憎しみを捨てる (相手に対する恨み、憎しみを捨てることでもある)
ある意味では「あきらめる」というか、開き直る
現実の自分が抱いている様々なことを水に流す (忘れる)
現実のありのままの自分に素直になる

  もっと分かりやすくするために、「自分を受け入れられない」とはどんなことを考えれば、分かりやすくなると思います。 自分を受け入れられないとは、

周囲のひとの言動がいちいち気にする自分だということを認められない
そのことを隠すために威張ったり、大言壮語を言う自分だということが認められない
自分は気の小さい人間だということを認められない
そのことを隠すために威張ったり、大言壮語を言う自分だということが認められない
無価値観に悩んでいる自分だと言うことを認められない
それを隠すために立派なことばかり言うが、なにもできない自分だということが認められない
自分は社会や特定の相手に恨みを抱いているということを認められない
それをかくすために、相手に取り入ろうとしている自分だということが認められない
自分は優柔不断な人間であることを認められない
それを隠すためにわざとらしく振る舞っている自分だということが認められない
自分勝手な人間だということを認められない
それを隠すために、いつも相手に同意を求める自分だということが認められない
いつも相手を非難することによって、自分を正当化している自分だということが認められない
自分はみんなに嫌われている人間だということを認められない
自分を正当化することによってしか、自分を認められない自分だということが認められない
自分はなにごとも努力が長続きしない人間だということを認められない
相手に責任転嫁をしている自分だということが認められない
いつも自分自身をごまかしている自分だということを受け入れられない  (嘘やその場しのぎをしている)
弱い自分を見つめることが恐ろしくて、それから逃げている自分だということを受け入れられない

  要するに本当の自分を認められないことを「自分を受け入れられない」というのです。 自分を受け入れることは、これらと逆のことですから分かりやすいと思います。

 自分を受け入れられないと言うことは、自分で理想とする自分から、現在の自分のあり方が「ほど遠い」ということでもあると言えます。

  問題は、「なぜ本当の自分を受け入れられなくなったのか」ということです。 現実が怖くて、現実から逃げだそうとしたことに根本的な理由があるのではないでしょうか。 現実から逃げているかぎり、すなわち経験を逃げているかぎり、自分を受け入れることはできないのです。 そんな弱い自分を認めることができなくなってしまったからです。 こんなところに、プライドという変なものが顔を出してくるのですね。 本当のプライドとはほど遠い「偽物のプライド」が。 つらくて苦しいから現実から逃げれば、楽になれると思って現実から逃げれば逃げるほど、生きることはつらくなってしまうのです。

  現実を見つめようとしないかぎりは、つらい生活が続くことになるのです。 現実を見つめても、一時的にはつらさを味わわなければならないのです。 いずれにしても、苦しみを経験しなければ、苦しみから抜け出すことはできないのです。 このことだけは、忘れて欲しくないのです。

  現実の自分がどんなに嫌いでも、いつかはそれを受け入れなければ、苦しみから抜け出せないのです。 嫌いな自分を直視しなければ、自分は変われないのです。 自分自身に嘘をついているかぎり、本当の自分を知ることはできないのです。 なぜなら、現実を自分の都合のいいように見てしまうからです。 

  自分を否定しながら自分を好きになろう、自信を持とうとしても、それはできない相談ではないでしょうか。 なぜなら本当の自分というか、もう一人の自分が「おまえは弱いやつだ」ということを知っているからです。 自分をだますことは容易でないし、だますことはできないのだと思います。 「自分はこのような弱い人間だ」と認められるところに、自分を変える出発点があるのではないでしょうか。

  ここの自己矛盾を来すから、自分を否定しながら自分を好きになることができなくなるのではないでしょうか。

  自分を受け入れる鉄則は、「どんな自分であっても、ありのままの自分を知って、それを認めること」以外にないと言えます。 そのためには自分が傷つくことは避けられないのです。

 一時的にせよ、自分がいまより傷つかないで自分を受け入れよう、認めようとするから、いつになっても自分を変えることができないのだと思います。 自分を受け入れるには、いまより自分がもっと傷つくことを避けられないのです。

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